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理念とビジョン:「全文」 「ダイジェスト版」
第6章の目次
需要サイドに着目したエネルギーの研究開発
スウェーデンでは、これまでにもエネルギーの供給サイドの研究開発と同時に需要サイドの研究開発にも力を入れてきました。ここでは、さまざまな研究開発プロジェクトの中から、主に需要サイドの研究開発について、現在、どのような研究開発が行われているかを若干説明します。
スウェーデン電力庁の節電プロジェクト
スウェーデンの総発電電力量の五〇%を担うスウェーデン電力庁の節電プロジェクト「プロジェクト2000(UPPDRAG 2000)」では、先ず第一に電気の使用をどのように圧縮可能なのかを調査します。家庭用電気暖房、電灯、各種電気機器、産業用プロセス電力、その他の電気の利用などがその調査対象です。
1986年に開始されたこのプロジェクトでは、社会全体の電気の利用を考慮して、電力庁の電力供給地域の全域(5地域で各1か所ずつ)で調査が進められています。
①カーリックス(Kalix) 家庭用/商業用
②ヴェンネス(Vännäs) 〃
③ティールプ(Tierp) 〃
④モタラ(Motala) 産業用
⑤トロールヘッタン(Trollhtätan) 〃
プロジェクトは2期に分かれ、第1期(1986年~1987年)は準備調整期間で、第2期(1988年~1992年)は実施期間です。この間に大規模に電気の有効利用の可能性を検討します。1990年代中期の発電量1KWhのコストと節電量1KWhのコストとを同程度にすることがこのプロジェクトの目標です。
スウェーデン・エネルギー開発公社の研究開発プロジェクト
需要サイドの研究開発を促進するため、スウェーデン・エネルギー開発公社(SWEDCO)という組織が1988年に設立されました。この公社の会員はいずれもエネルギー関係の企業や協会などの団体です。主な加盟企業や協会としては、国営の発電会社である電力庁(VATTENFALL:SSPB)、スウェーデン第2の発電会社シードクラフト社(SYDKRAFT AB)、自治体の発電部門、ガス協会、地域暖房協会などがあります。エネルギー開発公社はさまざまなプロジェクトを持っています。エネルギー開発公社のプロジェクトは「既存技術の改良」と「実証レベルに近い新技術のさらなる開発」に重点がおかれていますので、技術開発に当たっては、その当初から次の3要素を考慮にいれた技術開発をめざしています。
①環境にやさしい技術
②競争力のある経済性を持った技術
③技術的に確実性のある技術
エネルギー開発公社のプロジェクトの中には、パイロット・グループ・プロジェクトと呼ばれる一連の興味深いプロジェクトがあります。このプロジェクトはスウェーデン国内に散在するエネルギー供給会社10社が共同で一つのグループを作り、現行の電力市場を変更して電気の有効利用を高めようというもので、およそ50のプロジェクトが組まれています。このプロジェクトの推進のために、エネルギー開発公社は加盟各社に研究開発費の50%を助成しています。
スウェーデンは南北に長い国ですから、地域におり、エネルギー事情が大きく違います。そこで、このグループに参加しているそれそれの電力会社、エネルギー供給会社がそれぞれ独自に工夫を凝らし、電力消費をどの程度減らせるかを考えようというわけです。
電気は非常に使いやすいエネルギーですから、使うままに任せておけばその需要は増えていきます。しかし、電気は使用の段階ではクリーンですが、発電の段階では必ずしもクリーンではありません。どの様な発電方式をとるにせよ、必ず環境への負荷を伴います。
ですから、このパイロットプロジェクトが第一にめざしていることは「電力需要の圧縮」です。続いて、「環境への負荷の低減」と「危険性の低減」です。電力需要の圧縮目標として、現在の販売電力量の10%削減を掲げています。
1990年10月現在、スウェーデン・エネルギー開発公社の研究開発プロジェクトは大きく4つに分けられます。
①環境技術:燃焼施設からのばい煙の低減
②発電用新技術:固体燃料、ガス、風力の開発
③電気の有効利用:節電技術、価格、負荷あるいは機能制御などによる消費者、
流通業者、生産者間の合理化技術の開発
④電力多消費産業:製造工程および機器の開発
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第6章の目次
需要サイドに着目したエネルギーの研究開発
スウェーデンでは、これまでにもエネルギーの供給サイドの研究開発と同時に需要サイドの研究開発にも力を入れてきました。ここでは、さまざまな研究開発プロジェクトの中から、主に需要サイドの研究開発について、現在、どのような研究開発が行われているかを若干説明します。
スウェーデン電力庁の節電プロジェクト
スウェーデンの総発電電力量の五〇%を担うスウェーデン電力庁の節電プロジェクト「プロジェクト2000(UPPDRAG 2000)」では、先ず第一に電気の使用をどのように圧縮可能なのかを調査します。家庭用電気暖房、電灯、各種電気機器、産業用プロセス電力、その他の電気の利用などがその調査対象です。
1986年に開始されたこのプロジェクトでは、社会全体の電気の利用を考慮して、電力庁の電力供給地域の全域(5地域で各1か所ずつ)で調査が進められています。
①カーリックス(Kalix) 家庭用/商業用
②ヴェンネス(Vännäs) 〃
③ティールプ(Tierp) 〃
④モタラ(Motala) 産業用
⑤トロールヘッタン(Trollhtätan) 〃
プロジェクトは2期に分かれ、第1期(1986年~1987年)は準備調整期間で、第2期(1988年~1992年)は実施期間です。この間に大規模に電気の有効利用の可能性を検討します。1990年代中期の発電量1KWhのコストと節電量1KWhのコストとを同程度にすることがこのプロジェクトの目標です。
スウェーデン・エネルギー開発公社の研究開発プロジェクト
需要サイドの研究開発を促進するため、スウェーデン・エネルギー開発公社(SWEDCO)という組織が1988年に設立されました。この公社の会員はいずれもエネルギー関係の企業や協会などの団体です。主な加盟企業や協会としては、国営の発電会社である電力庁(VATTENFALL:SSPB)、スウェーデン第2の発電会社シードクラフト社(SYDKRAFT AB)、自治体の発電部門、ガス協会、地域暖房協会などがあります。エネルギー開発公社はさまざまなプロジェクトを持っています。エネルギー開発公社のプロジェクトは「既存技術の改良」と「実証レベルに近い新技術のさらなる開発」に重点がおかれていますので、技術開発に当たっては、その当初から次の3要素を考慮にいれた技術開発をめざしています。
①環境にやさしい技術
②競争力のある経済性を持った技術
③技術的に確実性のある技術
エネルギー開発公社のプロジェクトの中には、パイロット・グループ・プロジェクトと呼ばれる一連の興味深いプロジェクトがあります。このプロジェクトはスウェーデン国内に散在するエネルギー供給会社10社が共同で一つのグループを作り、現行の電力市場を変更して電気の有効利用を高めようというもので、およそ50のプロジェクトが組まれています。このプロジェクトの推進のために、エネルギー開発公社は加盟各社に研究開発費の50%を助成しています。
スウェーデンは南北に長い国ですから、地域におり、エネルギー事情が大きく違います。そこで、このグループに参加しているそれそれの電力会社、エネルギー供給会社がそれぞれ独自に工夫を凝らし、電力消費をどの程度減らせるかを考えようというわけです。
電気は非常に使いやすいエネルギーですから、使うままに任せておけばその需要は増えていきます。しかし、電気は使用の段階ではクリーンですが、発電の段階では必ずしもクリーンではありません。どの様な発電方式をとるにせよ、必ず環境への負荷を伴います。
ですから、このパイロットプロジェクトが第一にめざしていることは「電力需要の圧縮」です。続いて、「環境への負荷の低減」と「危険性の低減」です。電力需要の圧縮目標として、現在の販売電力量の10%削減を掲げています。
1990年10月現在、スウェーデン・エネルギー開発公社の研究開発プロジェクトは大きく4つに分けられます。
①環境技術:燃焼施設からのばい煙の低減
②発電用新技術:固体燃料、ガス、風力の開発
③電気の有効利用:節電技術、価格、負荷あるいは機能制御などによる消費者、
流通業者、生産者間の合理化技術の開発
④電力多消費産業:製造工程および機器の開発
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