べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

まるでなにごともなかったかのように

2020年02月24日 14時36分05秒 | 掌のものがたり


いっしょに生きてくれないか
と 男はいった

いっしょに死んでくれたらね
と テーブルの向こうで
女の唇がほころんだ

ふたりの間で
グラスの氷が微かな音をたて
そうして
夜は静かに更けていった

ふたりが求めあったのは
思いやりのこもった嘘
それだけだった

やがて朝が訪れ
ふたりは籠の中の小鳥をときはなった
うすく霞んだ水色の空の彼方へ




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