べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

袋小路の画廊

2019年02月17日 12時44分16秒 | 掌のものがたり


ふと 
名もない駅で降りてみました
名もない駅前広場を横ぎって
名もない通りを歩いてみます

いくあてもなく
名もない裏路をさまよって
陽のあたらない袋小路の突きあたり
そこに名もない画廊がありました

遠慮がちに覗いてみると
画廊の中はうす暗く
人の気配はないようです
そっと扉を押しあけて
足を踏み入れてみました

名もない画廊の壁には
名もない画家の絵が
たった一枚
掛けてありました

誰かに観せるために
描かれたものではないようです
だってこんな
名もない町の路地裏の
袋小路にたたずむ小さな画廊を
わざわざ訪れる人がいるとは
思えませんから

名もない画家の名もない絵は
ただひっそりと
そこに在るのでした

名もない町の裏通り
名もない画廊の壁に飾られた
名もない画家の名もない絵を
どこにも行き場のない
名もないわたしが観つめています



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