どこかへ行きたい
それがきみの口ぐせ
ここではないどこか遠くへ
寂しくなると
きみはつぶやく
誰も知らない遥か遠くへ
哀しそうに
きみはつぶやく
どこかへ行きたい
それがきみの口ぐせ
ほら
いつのまにか窓が濡れている
どうしてだろう
こんなとききまって雨が降りだすのは
どこかへ行きたい
だれも知らない遠いどこかへ
ため息まじりにまた
小さくきみがつぶやいた
雨音に耳をかたむけながら
心の中を手さぐりしても
なぐさめの言葉が見つからなくて
ごめん
とひとこと
ぼくもつぶやく
どうしてだろう
こんなとききまって雨が降るのは
どこかへ行きたい
遥か遠く誰も知らない高く空の広がる場所へ
雨の雫が心細げに
戸惑いながら冷たい硝子をつたい落ちてゆく
★photo:Bogna Kuczerawy★ ↓ポチッっとね