べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

翼は歌を運ぶためにあるということを

2013年02月02日 12時03分27秒 | 慰め種

小鳥たちは歌います
羽ばたくことの喜びについて

小鳥たちは歌います
高く舞いあがることのときめきについて

小鳥たちは歌います
空の果てしなさについて

小鳥たちは歌います
地平線と水平線は
どちらも緩やかに丸みをおびている
ということについて

小鳥たちは歌います
遠く旅立つことへの憧れについて

小鳥たちは歌います
朝焼けと夕焼けの違いについて
あるいはまた共通点について

小鳥たちは歌います
季節の移ろいゆくさまについて

小鳥たちは歌います
朝露のきらめきについて

小鳥たちは歌います
木洩れ日の描きだす模様の
揺らめきとやさしさについて

小鳥たちは歌います
陽だまりのやわらかさについて

小鳥たちは歌います
雨の雫の冷たさについて

小鳥たちは歌います
雨あがりの清々しさについて

小鳥たちは歌います
虹の儚さについて

小鳥たちは歌います
せせらぎの心地好い音色について

小鳥たちは歌います
水面(みなも)のきらめきの透明感について

小鳥たちは歌います
降り積む雪の静けさについて

小鳥たちは歌います
草木の芽吹くたまらなさについて

小鳥たちは歌います
花の香りの魅惑について

小鳥たちは歌います
果実の瑞々しさについて

小鳥たちは歌います
おしみない大地の御恵(みめぐみ)について

小鳥たちは歌います
巣作りの楽しさについて

小鳥たちは歌います
産み落とされた卵の
色つやと愛おしさについて

小鳥たちは歌います
簡素でつつましい寝床について

小鳥たちは歌います
夜のしなやかさについて

小鳥たちは歌います
こらえきれない睡魔について

小鳥たちは歌います
闇のしじまの深さについて

小鳥たちは歌います
夢のとりとめなさと曖昧さについて

小鳥たちは歌います
時の流れのやすらかさと残酷さについて

小鳥たちは歌います
鳥かごの存在の哀しさと愚かさについて

小鳥たちは歌います
運命をうけいれることの寂しさについて

小鳥たちは歌います
いまこうして在ることの不確かさについて

小鳥たちは歌います
風の生まれて消え去るそのさまについて

小鳥たちは歌います
意味ありげなことの無意味さについて

小鳥たちは歌います
無意味に思えることのその意味について

小鳥たちは歌います
なにはともあれ それでもなお
この世界は美しいということについて

小鳥たちは歌います
生かされて在ることの不可思議について

小鳥たちは歌います
慈しみ深い御業(みわざ)について

小鳥たちは歌います
いつも許されているということを

小鳥たちは歌います
いつも愛されているということを

小鳥たちは歌います
翼は歌を運ぶためにあるということを

小鳥たちは歌います
悲しみに満ちたこの空の下で



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コメント (2)
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