べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

偶発的な出来事

2008年08月27日 21時18分09秒 | 哀愁

あなたのうるんだ眼ざしが
ぼくにはどうにも耐えきれなくて
その薄いまぶたを
そっとふさいでみたのです
やさしく軽やかに
ゆっくり唇を押しあてて





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とるにたりないことだけど

2008年08月16日 11時36分08秒 | 慰め種

たいせつなものをいっぱい失くして
そのかわり といってはなんですが
かけがえのない想い出を
たくさん たくさん
手に入れることができました
時はこちらの都合なんておかまいなしに
さっさと過ぎ去ってしまうもの
なんてことは
ミツバチの赤ちゃんだって知っている

自由に空を舞うために生まれてきた
愛らしい小鳥たちが
たとえ狭い籠にとじこめられても
美しく歌うことを忘れないのは
どうしてかってことを
考えてみたことあるかしら

モグラは人生の大半を
暗い地面の下で暮らしているけど
けっして
お陽さまの温もりがきらいなわけじゃなくて
ただそんなふうに
生まれついてしまっただけなんだってことにも
少しは思いを巡らせてみなくちゃね

芽吹いたばかりの木の葉の子供があくびして
空に浮かんだ雲の中では
生まれたての雨粒が泣きべそかいてる
けれどちょっとみたところ
そんなことにはまったく無関心を装って
星たちはきょうも
飽きることなく同じ軌道を描いてるの

きょうはきのうと変わらない
でもなにかが少し違ってる
たわいもないテントウムシの世迷言に
寝ぼけまなこのタンポポが
てんで気の抜けた相槌をうったりしてるけど
あしたはもう少し
なにかが変わっているかもしれないわ

だからこそ
たとえ
途方に暮れてしまうようなことがあったとしても
そよ風が吹けばやさしい気持ちになれるし
夕焼け雲を目にすれば
つい涙ぐんでしまうことだってあるのかもしれない
でもね
そんなことはよちよち歩きのカルガモの
小っちゃな女の子だって知っていること





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Bonnie&Clydeのように

2008年08月10日 17時02分48秒 | 哀愁

どこまでも落ちてゆこう
生きることも
死ぬことさえも叶わぬのなら

朽ち果ててしまったささやかな夢
声にならない孤独な叫び
明日を見失った寄る辺なき魂

どこまでも落ちてゆこう
愛することも
憎むことさえ許されないなら

この世のつまらぬしがらみを
すべて残らず断ち切って
美しく汚れた底なしの沼に
からみあうように身を沈めよう
深く深くひそやかに

ふるえる嗚咽
哀しい抱擁
かりそめの愛

月の満ち欠けにうねり狂う波のように
激しく静かに身もだえながら
凍えるような唇づけを
幾たびも 幾たびもかさねよう
永遠に醒めることのない香しい眠りが
ふたりを別つその日まで






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遠まわり

2008年08月07日 22時14分57秒 | 慕情

家路についた道すがら
いっしょに過ごした一日を
やさしい気持ちでふり返りながら
つい頬が緩んでしまいます

まだできたての想い出が
ひとつ ふたつ またひとつ
ぴちッ ぱちッ ぷちッと
まるで
ぽっかり宙に浮かんでは
はじけて消える
シャボン玉かなにかのように
つぎからつぎへと生まれては消え
また浮かんでは
はじけて消えて
そうしてつい
小さな笑みがこぼれてしまうのです

だからおねがい
このままさよならするのはつらいから
ほんのも少し 遠まわり







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