べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

小夜時雨に濡れたアスファルトの下で

2010年11月07日 11時52分11秒 | 哀愁

取り返しのつかない時を重ねてまいりました
長い年月をかけて

だからもうよいのです
こうして冷たいアスファルトの下に横たわるのは
わたしのせめてもの罪滅ぼし

いまここに・・・・
雨に濡れたこのアスファルトの下に
わたしが横たわっていることなど
誰ひとり気づくものはありません
それは取るに足りないことなのですから

夜の帳が下りたのでしょうか
人通りが途絶えて
いまはとても静かです
やわらかな雨音だけが
わたしの耳にとどいてきます

きっとわたしが横たわる地の上では
街灯の淡い光が
小夜時雨に濡れたアスファルトの表面を
艶やかに照らしていることでしょう
そうして 暗闇の濃さと深さが
さらに増していくのです

わたしはここで眠ります
冷たく濡れたアスファルトの下で
密やかで美しい雨音に
凍えた耳をかたむけながら




*ルビ*小夜時雨=さよしぐれ
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