
雲のすき間に
わずかながら光が射して
空から雨の
最後のひと粒が落ちてきました
その雫には世界が映りこんでいて
とてもきれいなものでした
けれどそのことに
気づくものなど誰もいません
美は世界の細部にまで
いきとどいているというのに
そのわけを知るものは
誰ひとりいないのです
★photo:Henri Cartier-Bresson★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

日記をつけようと思い立ち
真っ新なノートを手にいれた
けれど書き残すほどのことがなにもなく
ひっそり途方に暮れている
C'est la vie
土砂降りの雨の中
傘もささずにさまよった
とても愉快な気持ちでいたのに
夜になって熱が出た
C'est la vie
話があるのというから
いそいそ出掛けていったのに
いい加減つきまとわないでとなじられた
そんなつもりは微塵もないのに
C'est la vie
散歩の途中みつけた路辺の花
翌日ふたたび訪ねてみると
すでにだれかに摘みとられたあとだった
あんなにつつましく咲いていたのに
C'est la vie
大泣きしている自分を
滑稽だと思っている自分がいる
笑っている自分を
可哀想にと眺めている自分がいる
C'est la vie
眠り薬をたくさん飲んで
果てない眠りにつくつもりが
夜明けととも目が覚めた
しかも気分はいとも爽快
C'est la vie
近道をしようと思って路地をゆく
そうしてようやくたどり着いた先は
袋小路のどん詰まり
あげく方角さえも見失う
C'est la vie
それが人生
人生なんてそんなもの
なるようになるさそれだけのこと
運が悪けりゃそれまでさ
C’est comme ca
★photo:unknown★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

生きるということは
他者の命を犠牲にするということ
そうまでして生きたいとは
望まないけれど
世界はそのようにできている
けれど見方を変えるなら
生きるということは
他者のために
犠牲になれるということ
世界はそんなふうにもできている
★photo:unknown★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

二日ばかり降りつづいた雨があがったので
朝はやく野原へでかけてみました
ほんのつかのま目にしないうちに
草は背丈をまし
木々の緑はその濃さが
いちだんと深まったような気がします
小径はぬかるんでいましたが
レインブーツを履いてきたからへっちゃらです
空に浮かんだ白い雲を映しだした大きな水たまりに
片足を踏み入れたちょうどそのとき
どこからともなく吹いてきた風が
頬をなでるようにして
やさしく通り過ぎていきました
そこには少しばかり
初夏の香りがふくまれていたような気がします
それでおしまい
わたしの中のなにかが
静かに終わりを告げました
★picture:Claude Monet★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
灯が消えそうになったら
新しいマッチを擦ればいい
また灯が消えかかったら
さらに新しいマッチを擦ればいい
やがてマッチが尽きてしまったら
夜が明けるのを待てばいい
それでも朝が来なければ
黙ってそのことを受け入れて
静かに微笑んでいればいい
なにも悲しむほどのことでは
ないのですから
★picture:Paul Klee★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

こんなところに ぽかり
あんなところにも ぽかり
ぽっかり ぽかり
ひなたでタンポポがわらってる
★photo:Ynon MabetMark Rothko★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

目ざめてすぐに
窓を大きく開けはなつ
と 冷たい空気が流れこんできて
季節が部屋に満ちてくる
春には春の
夏には夏の
秋には秋の
冬には冬の
それぞれの季節が
部屋いっぱいにいき渡る
毎日おなじようでいて
少しずつなにかが違う
とくべつな朝
★photo:Florence Menu★ ↓↓↓ ポチッっとね


べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの〝スケッチブックを小脇に抱え〟
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
あの子どこの子 知らない子
ひとりとぼとぼ歩いてる
足もとばかり見てるから
お空の虹にも気づかない
遠くを指さし教えてあげたら
その子は静かに微笑んで
そっと地面を指さした
そこには
小さなお花が咲いていた
ひっそりと
恥ずかしそうに咲いていた
★photo:Mandy Lynne★ ↓↓↓ ポチッっとね





べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
雨は
傘をひらかせるために
降るのではありません
花は
褒めそやされるために
咲くのではありません
小鳥たちは
聴かせるために
歌うのではありません
流れる雲は
ゆく末を
按じているわけではありません
涙は
辛いときにだけ
零れ落ちるものではありません
いま在ることのさびしさも
とりたてて
思い悩むほどのことではありません
夕陽が
空を茜色に染めるのは
静かな祈りに似ています
★photo:Philippe Manguin★ ↓↓↓ ポチッっとね





べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
こどものころ
わからないことがたくさんあった
おとなになると
すこしはわかるようになるのかな
とおもったら
わからないことはますますふえた
かぜのなめらかさや
ひざしのやわらかさならわかるのに
★picture:Andy Warhol★ ↓↓↓ ポチッっとね





べそかきアルルカンの“徒然読書日記” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
世界は沈黙で満たされている
それはあまりに絶望的すぎるほどに
けれどいつの世も
野に花は可憐に咲き
小鳥たちは歌い遊ぶ
遠い空を見つめていると
すべてのものの輪郭線がほどけていく
言葉は極めて無力なものだから
世界は沈黙をもって何かを語る
★photo:Christian Kober★ ↓↓↓ ポチッっとね





べそかきアルルカンの“徒然読書日記” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
枯れ葉が一枚
舞い落ちる
なんの未練も ためらいも
わだかまりもなく 逡巡も
戸惑いも 困惑も こだわりも
迷いすらなく ただ飄々と
裏と表を見せながら
はぁらり はらり 軽やかに
★picture:Barbara Olsen ★ ↓↓↓ ポチッっとね





べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

じゃあまたね
じゃあまたね
じゃあまたねって
いつのこと
じゃあまたね
じゃあまたね
じゃあまたねって
いつのことだかわからない
じゃあまたね
じゃあまたね
じゃあまたねってこのつぎは
いつ逢えるのかわからない
じゃあまたね
じゃあまたね
いつ逢えるともわからないから
じゃあまたね
とっておきの笑顔で
じゃあまたね
★photo:Tanneke Peetoom★ ↓↓↓ ポチッっとね





べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
べそかきアルルカンの詩的日常
ねこがなにかを見上げています
冬枯れの田んぼの真ん中で
じっと動かず
ただなにかを見つめているのです
もうずいぶんとながい間
ねこはそうして
なにかを見上げています
まるで風景画の中の一部であるかのように
じっと動かないでいるのです
いったいなにを見つめているのでしょう
ねこの視線をたどってみると
そこにあるのは案にたがわず空・・・
でも その空は
近ごろ目にしたことのない
とびっきりきれいな空でした
ねこはまだ
じっと空を見上げています
なんにもない
水色の空を
★photo:?★ ↓↓↓ ポチッっとね



べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
冬枯れの田んぼの真ん中で
じっと動かず
ただなにかを見つめているのです
もうずいぶんとながい間
ねこはそうして
なにかを見上げています
まるで風景画の中の一部であるかのように
じっと動かないでいるのです
いったいなにを見つめているのでしょう
ねこの視線をたどってみると
そこにあるのは案にたがわず空・・・
でも その空は
近ごろ目にしたことのない
とびっきりきれいな空でした
ねこはまだ
じっと空を見上げています
なんにもない
水色の空を
★photo:?★ ↓↓↓ ポチッっとね



べそかきアルルカンの“徒然読書日記”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2