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べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

ただそれだけ

2024年12月21日 10時14分02秒 | 慰め種



かぼそい茎のさきに
花ひとつ
ひと知れず
咲いて
散る
風わたる午後
ただそれだけの
ことなのに



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べそかきアルルカンの“徒然読書日記” 
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べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” 
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雨粒

2024年05月26日 20時09分11秒 | 慰め種


雲のすき間に
わずかながら光が射して
空から雨の
最後のひと粒が落ちてきました
その雫には世界が映りこんでいて
とてもきれいなものでした
けれどそのことに
気づくものなど誰もいません
美は世界の細部にまで
いきとどいているというのに
そのわけを知るものは
誰ひとりいないのです



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C'est la vie

2022年06月25日 20時31分37秒 | 慰め種


日記をつけようと思い立ち
真っ新なノートを手にいれた
けれど書き残すほどのことがなにもなく
ひっそり途方に暮れている
C'est la vie

土砂降りの雨の中
傘もささずにさまよった
とても愉快な気持ちでいたのに
夜になって熱が出た
C'est la vie

話があるのというから
いそいそ出掛けていったのに
いい加減つきまとわないでとなじられた
そんなつもりは微塵もないのに
C'est la vie

散歩の途中みつけた路辺の花
翌日ふたたび訪ねてみると
すでにだれかに摘みとられたあとだった
あんなにつつましく咲いていたのに
C'est la vie

大泣きしている自分を
滑稽だと思っている自分がいる
笑っている自分を
可哀想にと眺めている自分がいる
C'est la vie

眠り薬をたくさん飲んで
果てない眠りにつくつもりが
夜明けととも目が覚めた
しかも気分はいとも爽快
C'est la vie

近道をしようと思って路地をゆく
そうしてようやくたどり着いた先は
袋小路のどん詰まり
あげく方角さえも見失う
C'est la vie

それが人生
人生なんてそんなもの
なるようになるさそれだけのこと
運が悪けりゃそれまでさ
C’est comme ca





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世界の在りよう

2022年06月12日 19時01分41秒 | 慰め種



生きるということは
他者の命を犠牲にするということ
そうまでして生きたいとは
望まないけれど
世界はそのようにできている

けれど見方を変えるなら
生きるということは
他者のために
犠牲になれるということ
世界はそんなふうにもできている




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それでおしまい

2021年06月05日 13時57分52秒 | 慰め種




二日ばかり降りつづいた雨があがったので
朝はやく野原へでかけてみました
ほんのつかのま目にしないうちに
草は背丈をまし
木々の緑はその濃さが
いちだんと深まったような気がします
小径はぬかるんでいましたが
レインブーツを履いてきたからへっちゃらです
空に浮かんだ白い雲を映しだした大きな水たまりに
片足を踏み入れたちょうどそのとき
どこからともなく吹いてきた風が
頬をなでるようにして
やさしく通り過ぎていきました
そこには少しばかり
初夏の香りがふくまれていたような気がします
それでおしまい
わたしの中のなにかが
静かに終わりを告げました




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灯が消えてしまっても

2018年05月03日 09時52分10秒 | 慰め種


灯が消えそうになったら
新しいマッチを擦ればいい

また灯が消えかかったら
さらに新しいマッチを擦ればいい

やがてマッチが尽きてしまったら
夜が明けるのを待てばいい

それでも朝が来なければ
黙ってそのことを受け入れて
静かに微笑んでいればいい

なにも悲しむほどのことでは
ないのですから



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ぽっかり ぽかり

2018年04月01日 13時14分51秒 | 慰め種




こんなところに ぽかり

あんなところにも ぽかり

ぽっかり ぽかり

ひなたでタンポポがわらってる





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朝が流れこんでくる

2018年03月18日 11時25分39秒 | 慰め種


目ざめてすぐに
窓を大きく開けはなつ
と 冷たい空気が流れこんできて
季節が部屋に満ちてくる
春には春の
夏には夏の
秋には秋の
冬には冬の
それぞれの季節が
部屋いっぱいにいき渡る
毎日おなじようでいて
少しずつなにかが違う
とくべつな朝



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遠い空にも ほら足もとにも

2017年06月04日 10時35分24秒 | 慰め種

あの子どこの子 知らない子
ひとりとぼとぼ歩いてる
足もとばかり見てるから
お空の虹にも気づかない

遠くを指さし教えてあげたら
その子は静かに微笑んで
そっと地面を指さした

そこには
小さなお花が咲いていた
ひっそりと
恥ずかしそうに咲いていた




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空が茜色に染まるのは

2016年11月30日 20時10分30秒 | 慰め種

雨は
傘をひらかせるために
降るのではありません

花は
褒めそやされるために
咲くのではありません

小鳥たちは
聴かせるために
歌うのではありません

流れる雲は
ゆく末を
按じているわけではありません

涙は
辛いときにだけ
零れ落ちるものではありません

いま在ることのさびしさも
とりたてて
思い悩むほどのことではありません

夕陽が
空を茜色に染めるのは
静かな祈りに似ています




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わからないこと

2016年01月24日 12時33分47秒 | 慰め種

こどものころ
わからないことがたくさんあった
おとなになると
すこしはわかるようになるのかな
とおもったら
わからないことはますますふえた
かぜのなめらかさや
ひざしのやわらかさならわかるのに





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沈黙が聴こえる

2016年01月11日 10時39分50秒 | 慰め種

世界は沈黙で満たされている
それはあまりに絶望的すぎるほどに
けれどいつの世も
野に花は可憐に咲き
小鳥たちは歌い遊ぶ
遠い空を見つめていると
すべてのものの輪郭線がほどけていく
言葉は極めて無力なものだから
世界は沈黙をもって何かを語る





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はぁらり はらり

2015年11月07日 20時29分15秒 | 慰め種

枯れ葉が一枚
舞い落ちる
なんの未練も ためらいも 
わだかまりもなく 逡巡も
戸惑いも 困惑も こだわりも
迷いすらなく ただ飄々と
裏と表を見せながら
はぁらり はらり 軽やかに






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じゃあまたね

2015年03月22日 10時36分56秒 | 慰め種


じゃあまたね 
じゃあまたね

じゃあまたねって
いつのこと

じゃあまたね 
じゃあまたね

じゃあまたねって
いつのことだかわからない

じゃあまたね 
じゃあまたね

じゃあまたねってこのつぎは
いつ逢えるのかわからない

じゃあまたね 
じゃあまたね

いつ逢えるともわからないから
じゃあまたね

とっておきの笑顔で
じゃあまたね



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べそかきアルルカンの詩的日常

もの憂げな風景

2015年01月02日 21時07分05秒 | 慰め種
ねこがなにかを見上げています
冬枯れの田んぼの真ん中で

じっと動かず
ただなにかを見つめているのです

もうずいぶんとながい間
ねこはそうして
なにかを見上げています

まるで風景画の中の一部であるかのように
じっと動かないでいるのです

いったいなにを見つめているのでしょう

ねこの視線をたどってみると
そこにあるのは案にたがわず空・・・

でも その空は
近ごろ目にしたことのない
とびっきりきれいな空でした

ねこはまだ
じっと空を見上げています

なんにもない
水色の空を




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