べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

消えて在るように

2009年03月21日 20時10分55秒 | 叙情

繊細で在り続けようとするガラスよりもずっと
深い静寂をたたえた水よりもさらに
星々がとき放つ光よりも尚いっそう
ぼくはもっと透明になりたい

あなたの黒髪をそよがせることでそれとわかる風のように
あなたを安らかな眠りへいざなう調べのように
あなたが無意識に呼吸する大気のように

ぼくはもっと透明でありたい





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Bon Voyage

2009年03月02日 21時58分04秒 | 慰め種

小鳥を閉じこめてはなりません
それは空高く舞うことで
なにかを語り掛けているのですから

花を摘みとってはなりません
それは密やかに散りゆくことで
なにかを語り掛けているのですから

雲のゆくえを按じてはなりません
それは漂い流されることで
なにかを語り掛けているのですから

風をさえぎってはなりません
それは吹き抜けることで
なにかを語り掛けているのですから

雨をしのいではなりません
それは慈しむことで
なにかを語り掛けているのですから

雪を憂いてはなりません
それは静寂をもって
なにかを語り掛けているのですから

海はたゆたい 川はきらめき
山は実りをもたらすことで
星は揺らめき 月は潤し
太陽は抱擁することで
光は戯れ 闇は潜むことで
それぞれに
なにかを語り掛けているのです

時の移ろいを嘆いてはなりません
それは過ぎ去ることで
なにかを語り掛けているのですから

孤独を遠ざけてはなりません
ひとはもがき苦しみ戸惑いながら
人生の意味を求め続けるものなのですから







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