小鳥を閉じこめてはなりません
それは空高く舞うことで
なにかを語り掛けているのですから
花を摘みとってはなりません
それは密やかに散りゆくことで
なにかを語り掛けているのですから
雲のゆくえを按じてはなりません
それは漂い流されることで
なにかを語り掛けているのですから
風をさえぎってはなりません
それは吹き抜けることで
なにかを語り掛けているのですから
雨をしのいではなりません
それは慈しむことで
なにかを語り掛けているのですから
雪を憂いてはなりません
それは静寂をもって
なにかを語り掛けているのですから
海はたゆたい 川はきらめき
山は実りをもたらすことで
星は揺らめき 月は潤し
太陽は抱擁することで
光は戯れ 闇は潜むことで
それぞれに
なにかを語り掛けているのです
時の移ろいを嘆いてはなりません
それは過ぎ去ることで
なにかを語り掛けているのですから
孤独を遠ざけてはなりません
ひとはもがき苦しみ戸惑いながら
人生の意味を求め続けるものなのですから
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