べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

からっぽ

2007年03月24日 15時17分02秒 | 叙情

からっぽのこころを
かぜがふきぬけてゆく

からっぽなのは
なにもないから

からっぽなのは
きらくでよいけど

からっぽなのは
やっぱりさびしい








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ゆるやかな軌跡

2007年03月21日 10時19分26秒 | 哀愁

小石がひとつ
落ちてきた
碧い 碧い 空の底から
それはもうずいぶんと昔
ぼくが放り投げたものにちがいない
広い 広い 空をめがけて

ぼくは小石をひろって
もういちど投げた
遠い 遠い 空にむかって
でも小石は
あえなく見る間に地に落ちた
ゆったりと ゆるやかな
放物線を宙に描いて






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檸檬

2007年03月17日 13時37分31秒 | 哀愁

たそがれの街角の
紅い郵便ポスト
ひっそりたたずむその上に
なぜかしら
ぽつん・・・・
と、置き去りにされた
レモンひとつの

なんて哀しい







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目に見えぬもの

2007年03月11日 15時49分24秒 | 叙情

遠いお陽さまの光が
温もりをもたらすということを
ほんの小さな湧き水が
渇きを癒すということを
冷たい雨が
大地を潤おすということを
だれも種を蒔かぬのに
春にはかならず
小さな芽が頭をもたげ
野に咲く花は
けして自らを飾らないということを
そして
生命(いのち)の種は
腐った実から生まれ出るということを
ぼくは知っているのに
世界はきっと
人知を超えた大きな優しさから
生まれでたにちがいないということを
感じることもできるのに
だからせめて
生きているだけで
幸せと思いたいのに







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出すあてのない手紙

2007年03月09日 21時02分18秒 | 慕情

一晩かけてしたためた手紙を
火にくべる
と、儚い想いが
ひとすじの淡い煙となって
蒼い空へとのぼっていった

一晩かけてしたためた手紙を
小瓶にいれて海に浮かべる
と、せつない心が
星座を見失った小舟のように
銀の波間をたゆたってゆく

出すあてのない手紙を
小枝に結ぶ
と、てのひらの中の青い果実が
哀しい・・・・・・と
ぽつりひとことつぶやいた










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言葉にならないなにかを

2007年03月03日 12時34分01秒 | 慕情

あのひとは
すずらんの花に似て
清楚な愛らしいひとでした

花の美しさを語るとき
言葉は無力なものだと知ったのは
そのひとに出逢ってすぐのことでした

ほんとうにきれいなものは
いわく云いがたいものだから
ぼくは無口になったのです

真実の美を
安易な言葉で汚してはなりません
ほんとうに美しいものの前では
言葉は力をなくすのです

だからひとは
言葉にならないなにかを
理屈のない感情で表そうとするのですね
胸をこがしたり
涙を流したりして







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