ひっそりと静まりかえった夜更けの街
砕け散ったビーズのような霧雨は
ゆくあてもなくさまよい歩くわたしの肌に
ひっそりまとわりついてくる
傘をさすほどのことはないけれど
まるで炭酸水の泡粒の飛沫の中にいるみたい
人影の絶えた通り
ぼんやりと闇に滲んだ街灯の薄あかり
濡れて艶めくアスファルト
凍えて立ちつくす街路樹
吹きだまりの枯葉と打ち捨てられた時間
モノクロームの戸惑い
繰り返し脳裏をよぎる不透明な旋律
覚醒する睡魔
色あせた唇に 蒼ざめた微笑
すり切れた想い 繕いきれないほころび
剥がれ落ちそうな感情
あきらめと憔悴
甘やかな絶望 ゆがんだ陶酔
麗しい傷痕と 芳しい静寂
こめかみに貼りついたほつれ毛
めまい
夜更けの街を漂いながら
探し求めてていたのは
わたしの居場所
そんなもの
どこにもありもしないのに
★絵:西岡千晶★ ↓ポチッっとね