べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

空は空としてただそこに

2011年06月19日 17時52分49秒 | 哀愁

風が
静かに吹き過ぎていきました

乱れた髪をかきあげようとして額に手をやり
ふと足もとに視線を落とすと
そこにタンポポの花が一輪
たたずむようにそっと咲いておりました

あなたの髪をなびかせたあの風が
いったいどこで生まれたのか知ってる?

と、その花が
あまりにも無邪気に問いかけてくるものですから
わたしは少し考えてみましたけれど
そうしたところで
知りようはずもありません

ですから
足もとにむかって微かに首をふりますと
さびしいね
と、タンポポが
まるで儚く消えた流れ星にでも語り掛けるように
小さな声でつぶやくのでした

そうか
世界はこんなにも透明で
さびしくできていたのか

あの風が生まれたところも
消えてなくなるであろう場所も
わたしは知らない
わたしを吹き抜けていったあの風に
もう二度とふたたび
巡り逢うこともないのでしょう

髪をかきあげたついでに見あげるとそこに
いつもとかわらぬ空がありました
空は空としてただそこに
静かに横たわっているのでした





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