べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

この胸の痛みは

2008年01月27日 10時07分06秒 | 慕情

こみあげる愛おしさ
ゆらゆらと揺らめいて
千々に乱れる
儚い想い
あてどなくさまよう
やり場のない感情
ほんの少しばかりの喜びと 
どうしようもない寂しさ
せつなく やるせなく 狂おしく
けして癒されることのない
胸の痛み
戸惑い ひとりよがり 
凍える心 
深く身に沁みる
色彩のない孤独
それでもなおこみあげてくる
たとえようのない愛おしさ
それもこれもみんな
ぼくの中に
きみが満ちているから






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魔法のポタージュの作り方

2008年01月20日 12時12分50秒 | 慰め種

早春の陽だまりと二十日鼠のひそひそ話
そして 
真っ青な空にぽっかり浮かんだ
純白の綿雲の切れ端を少々
手風琴のやわらかな調べと
湖水のきらめきを大さじ1杯
忘れられた記念日に
気まぐれ猫の生あくび
それから それから
最果ての地ラップランドの白夜の吐息と
満月のオアシスでひと瘤ラクダが見る夢を
それぞれ大さじ2分の1程度
そうしてなにより忘れてならないのが
憂いをおびた微笑み 小さじ3杯と
ひとりでに零れ落ちてしまった
涙の粒をひとつまみ
木洩れ陽の揺らめきに
薔薇の香りとハチミツのまどろみをほんの少し
ほかにも たとえば そう
タンポポの綿毛の軽やかさや
初めてかわした唇づけの優しさなどなど
お好みによって
身のまわりにひそんでいる小さな魔法をかき集め
深めのお鍋にどんどん放り込んでみてください
分量はどれも
おおよその見当でかまわないのですから
あとはもう薪ストーブの火にかけて
コトコト煮込んで待つばかり
するとほら あらあら不思議
凍てついた気持ちが“ぽぉわん”ととろけてしまう
あったかまろやかポタージュの出来上がり
あなたもほら
心がふるえるそんな夜は 
試しにどうぞ召しあがれ







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匂い袋

2008年01月13日 10時25分15秒 | 哀愁

抽き出しをあけると
ほのかに香りたつのは
お土産にもらった匂い袋
それはまだあのひとが
優しかった頃の想い出の品

雅で愛らしい
その小さな袋を
そっと手のひらにのせてみる
するとほら
わたしの胸がキュンと鳴く







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