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べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

たとえばもしきみが

2007年09月12日 00時56分53秒 | 慕情

たとえばもしきみが悲しみにくれて
冷たいアスファルトの上を裸足で歩いていたなら
ぼくがそっと抱き上げて
緑の風の吹きわたる
秘密の草原へ連れて行ってあげる
やわらかな草の葉が
きっと素足に心地好いと思うから
そのときはどうか いつかのような
可愛い笑みを浮かべてみせてくれるでしょうか

たとえばもしきみが寂しさにたえきれなくて
そのかぐわしい頬に涙のしずくが流れたら
ぼくは過ぎ去った季節をかきあつめ
ふわふわとやわらかな
虹色の綿菓子を作ってあげる
ふんわり甘い想い出が
きっと癒してくれるに違いないから
そしたらどうか いつものように
あどけない笑顔をとりもどしてくれるでしょうか

たとえばもしきみがうちひしがれて
深まりゆく暗がりの中で眠れずにいたなら
ぼくは銀河の光のひとひらを
きみのパジャマのポケットに
内緒でそっとしのばせてあげる
夜のしじまがやさしくきみを包んでくれますようにと
だからどうか どんなときにも
しなやかに微笑むことを忘れないでほしいのです

たとえばもしぼくの心が打ちのめされて
胸の内側がざらざらとささくれ立って
気持ちがへこんで かわいて ひからびて
それでもなんとか生きていられるのは
きみがときおり笑顔を見せてくれるから
ときおり静かに微笑みかけてくれるから
だからどうか いつまでも
愛らしい笑みをたやさないでいてください
なによりも
きみが幸せであるために







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近ごろなんだか

2007年09月01日 20時49分04秒 | 慕情

近ごろなんだかもの哀しいのは
移ろいゆく季節のせいばかりじゃない気がします

ふと気がつけば
ため息ばかりついてます

近ごろなんだか人恋しいのは
おそらく どうやら
日々深まりゆく秋のせいばかりじゃないようです

きみがいるから
それとも きみがそばにいないから







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このままずっといられたら

2007年08月29日 22時08分05秒 | 慕情

このままいさせてくださいな 
言葉なんていらないの
ただうなづいてほしいだけ

ただこのままでいいんです
ほかにはなにも望まない
そっと見つめていたいだけ

このままずっといられたら 
ただそれだけのことなのに
あなたのそばにいられたら
あなたを感じていられたら








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それでもときおりきみが

2007年08月25日 18時27分14秒 | 慕情

どうしてふり向いてくれないの
こんなにきみを想っているのに
どうして話してくれないの
きみのことをもっと知りたいだけなのに
ねぇ、どうして遠くばかり見つめているの
ただ そばにいてほしいだけなのに
夜がすっかり更けてしまっても
きみは夢にさへ訪れてくれないね

それでもときおり
きみが笑顔をみせてくれるから
また少し
ぼくは生きていけそうな気がするよ
ほんのときおり
やさしく微笑みかけてくれるから
おだやかな絶望が
静かにぼくの心を満たしていくよ






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まるでメープルシロップのような

2007年08月05日 18時45分11秒 | 慕情
おぼえていますか?
あれは春のおわりと夏のはじまりがふうわり溶けあった
まるでメープルシロップのような季節の出来事でしたね

ぼくらは夜の海原に青く澄んだガラスの小舟を浮かべ
なにをするでもなく ただぼんやりと
時のうねりに身をまかせていたのです
静かな波音に耳をかたむけながら・・・・・

あの夜
うす暗がりの中で耳にした波のささやきは
遠い昔どこかで聴いた子守唄のように
あまく せつなくぼくらの胸をみたしてくれましたよね

海岸の砂丘の上には
あわい黄金の光につつまれたまん丸お月さまがひとつ
所在なげにぽっかり浮かんでいましたっけ
そのあまりに重量感のないまん丸さは
ちょうどほど好い丸さかげんとでもいうのでしょうか
思わず笑みがこぼれてしまいましたね

月のあかりを照りかえす海のおもてはとろりとして
ぼくらの乗った船べりに
ゆるゆるまとわりついてくるようでした

渚の砂粒がおだやかな波に洗われて
小さな寝息をたてているころ
そんなふうにぼくらは長いながい時を
なにも語らず 黙りこくって
ただただ美しい沈黙の中で過ごしていたのです

そうそう
あれはカンパネルラの星が
ぼくらの真上にさしかかるころのことでした
どこからかクジラの歌声が聴こえてきましたよね
哀愁をおびたその声は
高く低く 
いまも消えずにぼくの鼓膜をふるわせているのです

きみは気づいていましたか?
月の光をあびたその愛らしい横顔に
ぼくの狂おしいまなざしが
秘かにそそがれていたことを

きみに恋していたぼくと
ぼくではないだれかに想いを寄せていたきみが
小さな手漕ぎの舟にのって
永遠を繰り返す波間をたゆたっているさまは
いま思い返してみても
なんとも不可思議な光景でしたよね

あれは夢とうつつがふうわり溶けあった
まるでメープルシロップのような
あまく せつない出来事でした

季節の狭間で 
月夜の海原にひとり取り残されてしまったぼくは
これからもずっと
月あかりに浮かぶきみの横顔を
静かに想い続けることでしょう

夢とうつつのあわいで
これからもずっと この先もずっと
たったひとりで





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線香花火

2007年07月04日 19時08分14秒 | 慕情

夏の終わりの薄闇の中で
小さな紅い火球がはぜました
ぱち ぱちぱち ぱちっと
ひかえめに はかなげに
小さなあかりがはぜました
あなたはかがんでうつむいて
せつなくはぜる紅い火を
じっと見つめていましたね
心もとなげに 揺らめく影のように

あなたのかぼそい指先から
最後のあかりがぽとりと落ちたそのあとも
あなたはじっと動かないでいましたよね
いたたまれない静けさの中で
ぼくらの存在の不確かさが
闇に滲んでとけだしていくようで
ぼくはあなたの小さな背中を
ぼんやり眺めているしかなかったのです

哀しいね・・・・・

夜のしじまの暗がりの中で
かすかに聴きとれるかとれぬくらいの
小さなつぶやきを
ぼくはたしかに耳にしました
それが花火のはかなさのことなのか
過ぎ去ろうとしている夏のことをいっているのか
それとも ぼくらのことなのか

あのとき
あなたの心をふるわせていた何かを
ぼくは知る由もありませんでした
ただ 夏の終わりの宵闇の中に
ほのかに浮かんだ
あなたのうなじの透きとおるような白さだけが
いまもぼくのまぶたの裏に
美しく焼きついているのです









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林檎の花咲く丘

2007年06月24日 13時18分01秒 | 慕情

風かおる野辺の小径
林檎の花が咲いている

やわらかな草のうえに身を投げだすと
樹蔭を流れる小川のせせらぎが
忘却と追憶のかなたへぼくをいざなう

まぶたをとじるとそこに
忘れられぬひとの横顔

林檎の花びらが風に舞い
真珠色の大気がかおる

若草のニンフよ聴かせておくれ
美しく澄んだ歌聲を
可憐な夢の物語を

そうして
青い地平線と
無限の空とがとけあう場所へ
そっとぼくを連れていっておくれ







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帰路

2007年06月03日 14時38分07秒 | 慕情

ひとつてまえの駅で おりて歩こう
夜のしじまに 新緑の街路樹が香しいから

ひとつてまえの駅で おりて歩こう
あの日 あの頃のことを忘れないために

ひとつてまえの駅で おりて歩こう
あの小さな星の瞬きを
あなたがどこか遠くの街で
見上げているかも しれないのだから

ひとつてまえの駅で おりて歩こう
あなたの愛らしい仕草や
なにげないひとことをふり返るために

ひとつてまえの駅で おりて歩こう
少しばかり雨にぬれても 気にはならない
あなたのことで 頭の中がいっぱいだから

ひとつてまえの駅で おりて歩こう
あなたにとってなんでもない
ぼくのたいせつな想い出を 胸に抱いて







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遠い夏の記憶

2007年05月25日 18時36分53秒 | 慕情

陽炎ゆれる田舎道
むせかえるような草いきれ

すこん
と、底の抜けた青い空

野をわたる風にさそわれて
ふとこぼれおちた
麦藁帽子のかげの
やわらかな笑み

なにもかたらず
なにももとめず

深い 深いしじま
空白のひと夏






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夢みるために 愛するために

2007年04月21日 20時14分26秒 | 慕情

つらい日常を生きてくために
夢みることは欠かせません
そして 夢みるためには
日々の苦悩に耐えていかなければならないのですね

こうしてあなたと離ればなれになることで
ぼくは夢から醒めたような気がします
けれどあなたへの愛はいまも
ぼくの中で冷めずに在りつづけているのです

哀しい日々を生きてくために
ぼくらには愛が必要です
そして 愛するためには
孤独であることの寂しさと
まっすぐ向きあわなければならないのですね

あなたのいない季節の中で
ぼくの心にふとそんなふうなことが
とりとめもなく浮かんでは消えてゆくのです
ねぇ、あなたの香るような微笑みは 
いまも愛らしいままですか








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あの日ふたりで歩いた道を

2007年04月15日 18時46分53秒 | 慕情

そういえばここらあたりは
いつかあなたと歩いた場所
疎水の流れに沿って
桜並木がつづいています
すでにもう花びらは散って
いまはつややかな若い緑が
静かに風にそよいでいます

あの日ぼくたちは
ふたり肩をならべて歩きながら
どんな話をしていたのでしょう
あなたにとってとりとめのないことが
ぼくにはとてもたいせつな
言葉の連なりだったはずなのに
もうそのことは
ほとんど記憶にありません
なのに  
木漏れ陽を見上げて微笑むあなたの横顔を
いまもはっきり思い浮かべることができるのは
いったいどうしたことでしょう

きょうはあいにくの曇り空です
若葉が木漏れ陽にきらめくことはありません
道ゆくひとの姿もまばらです
こうしてひとり歩いていると
あの日のなんでもないひとコマが
ひとつ またひとつ
ふとした拍子に
胸の底からよみがえってきます
こうやって少しずつ
記憶の断片を拾い集めるために
ぼくはまた
この道を訪れてしまうのです
とうに過ぎ去ってしまった
遥かむかしのことなのに

もう少しゆくと
たしか喫茶店がありましたよね
そうです
木立の蔭に隠れるようにして
ひっそりたたずむあの店です
あの日そこでやすらかな時を
いっしょに過ごしたことをおぼえていますか
あなたはしなやかに頬杖をついて
遠くを見つめていましたね
あのときあなたの視線のさきには
いったいなにが揺らめいていたのでしょう

きょうはあいにくの曇り空です
あの日は遠く過ぎ去ってしまったけれど
疎水を流れる水音は
いまも少しもかわりません
ぼくは色あせたアルバムを紐解くように
あの日あなたと歩いた道を
いまはただ
ひとりぽっちで歩いています
過ぎ去った日が
二度とふたたびもどらないということは
だれにもわかっていることだけど
いつまでも忘れられない時があるっていうことを
ぼくは知っているのです

きょうはあいにくの曇り空です
あの日あなたと別れた三叉路に
ぼくはいまもひとりたたずんでいます
そうして徐々に色あせてゆくのです
あなたの中で ぼくの影が
ささやかな想い出のかけらとして

きょうはあいにくの曇り空です
きょうはあいにくの
曇り空なのです








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過ぎ去ったとき

2007年04月11日 22時11分38秒 | 慕情

おなじ空の下に生きていながら
ぼくはあなたの暮らしを知らない

おなじ時間(とき)を過ごしていながら
ぼくたちはそれぞれの路を歩んでいる

おなじ季節を感じていながら
あなたには心をゆだねる相手がほかにいる

でも
ぼくは知っているのです
あの頃あなたの
いちばん美しかったときを









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あの頃きみが好きだったもの

2007年04月07日 18時50分10秒 | 慕情

あの頃きみが好きだったもの
朝もやの中の小鳥のさえずり
あの頃きみが好きだったもの
朝露にぬれた名もない野花
あの頃きみが好きだったもの
しぼりたてのオレンジジュース
あの頃きみが好きだったもの
見わたすかぎりの菜の花畑
あの頃きみが好きだったもの
むらさき霞むれんげ草
あの頃きみが好きだったもの
木漏れ陽ゆれる石だたみ
あの頃きみが好きだったもの
秋の日の霧雨

あの頃のぼくたちは
濡れて歩くことも厭わなかった

あの頃きみが好きだったもの
くっきり空をよこぎるひこうき雲
あの頃きみが好きだったもの
儚げにぼんやり浮かぶ真昼の月
あの頃きみが好きだったもの
青葉きらめくせせらぎの音
あの頃きみが好きだったもの
高台から眺めるあかね雲
あの頃きみが好きだったもの
ミレーの描いた祈りの絵
あの頃きみが好きだったもの
蒼く澄んだガラスの小瓶
あの頃きみが好きだったもの
愁いをおびたノクターン

きょう
街のかたすみの
小さな花屋の店さきで
ふと目にとまった
あの頃きみが好きだった花

あの頃きみが好きだった
あれやこれやのすべてのものが
どうしようもなく懐かしい

あの頃きみが好きだった
哀しい音色のオルゴール









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出すあてのない手紙

2007年03月09日 21時02分18秒 | 慕情

一晩かけてしたためた手紙を
火にくべる
と、儚い想いが
ひとすじの淡い煙となって
蒼い空へとのぼっていった

一晩かけてしたためた手紙を
小瓶にいれて海に浮かべる
と、せつない心が
星座を見失った小舟のように
銀の波間をたゆたってゆく

出すあてのない手紙を
小枝に結ぶ
と、てのひらの中の青い果実が
哀しい・・・・・・と
ぽつりひとことつぶやいた










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