酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「そのまんま東」の限界

2010-07-15 06:37:12 | Weblog
 口蹄疫で揺れる宮崎県で、新たな騒動が持ち上がった。感染していない民間の種牛を殺処分するかどうかで東国原知事と農水省が激しく対立しているのだ。

 《宮崎県の口蹄疫問題で、山田正彦農相は13日、東国原英夫知事と農林水産省で会談し、殺処分対象となっている民間種牛を県の当初の勧告通り処分するよう強く要求。これに対し東国原知事は農相の要求に応じず、特例救済をあらためて要望したため、話し合いは平行線のまま終わった。

 会談後、記者会見した東国原知事は「種牛の所有者は殺処分されたら死ぬと言っている。彼は本気だ。命に手をかけるような行政判断はできない」と強調した。

 農水省は、これまで殺処分に応じた畜産農家との公平性などを重視し、特例を認めないとしている。民間種牛が殺処分されない場合、感染地域の清浄化が確認できないとしており、16日に予定されている被害集中地域の移動・搬出制限の解除は先送りされる可能性がある。

 東国原知事は先月29日、種牛の所有者に対し、口蹄疫対策特別措置法に基づく殺処分を勧告。しかしその後、民間種牛も畜産の復興に役立つとの判断に傾き、種牛6頭を県有化した上で救済すると表明し、国に特例救済を認めるよう求めていた》=共同=。

 農家の心情を慮るのは当たり前のことだ。こうした優しさが欠けては政治とはいえない。だが、優しさだけでは物事が進まないのも確かだ。熱い心で冷徹な判断を下すという、一見矛盾した行動が取れなければ知事など務めてはいけない。

 思い出すのは1年前だ。自民党からの衆院選出馬要請を受けて東国原は「私を総裁にして選挙を戦う覚悟はあるのか」と見得を切った。いまは何と言っているのか。

 《大臣の話によると、今後、国は地方自治法を適用し、県に殺処分を勧告するらしい。特措法の方が優先されるし、実質的に代執行するなら、特措法の適用で十分事足りるし、煩雑な手続きも必要ないし、スピード感をもって執行できるのに、どうして敢えて地方自治法なのか? 分からない》=13日・そのまんま日記=。

 分かりにくい表現だが、「自治法では一度県に判断が委ねられる。それは嫌だから特措法に基づいてさっさと始末してほしい」ということなのだ。自分の手は汚したくないと言っているに等しい。

 東国原のごり押しで、16日の移動制限解除は遅れることは必至だが、賢明な知事はそれも国のせいにするだろう。いやー、こんな男が国会に出ていなくて良かった。
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