酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「隗より始めよ」ねぇ

2013-11-30 09:17:54 | 政治
 安倍晋三首相が憲政史上初めてとなる女性の秘書官を任命した。内閣が掲げる「女性登用」に自ら範を垂れたものだとか。

 
 《安倍晋三首相は29日、初の女性の首相秘書官として山田真貴子氏を起用したことについて、「能力の高い人なので、大いに活躍していただけると期待している」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 女性の活躍を成長戦略の中核と位置付け、民間にも積極的な女性の登用を求めている首相は、「まず隗(かい)より始めろ、だ」と強調。首相秘書官への女性の起用は「憲政史上初になる」と胸を張った》=時事com=。

 「隗より始めよ」は一般的には「まず言いだしっぺからやれ」ということだから、安倍の用方が間違っているわけではない。でも、こと人事にこの言葉を用いるのはどうにも違和感がある。安倍にこんなことを言われた「隗」=山田真貴子はどう感じているのだろう。

 「自隗始」は戦国策・燕の昭王の項に出てくる。戦に敗れた昭王が家臣の郭隗に「いい人材を集めるにはどうすればよいか」と尋ねたところ、隗は「まず私を重用することです。私のような劣ったものでも引き立てるとなれば、どんどん売り込みが殺到するでしょう」と答えた。
その後の展開、推して知るべし…。

 ということで、賢者を招くにはまず劣ったものを招け―が「隗より始めよ」の本来の意味である。初めての女性秘書官に登用された山田が「隗より始めよ―ということもございますから」と述べるのは全く正しいのだが、任用する安倍がこの言葉を使うのは、明らかにおかしい。

 それにしても「隗」なる人物、なかなかのものだ。結果がどうなろうと本人は安泰。さすがは中国の政治家だ。
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猪瀬君の変な日本語

2013-11-23 09:13:10 | 政治
 東京都の猪瀬直樹知事が徳洲会から5000万円を「借り」ていたという。「個人の借金であり選挙とは関係ない」-猪瀬は事件にならないよう火消しに懸命だが、弁明はボロボロ。とても文字で飯を食ってきた御仁とは思えないひどさだ。

 昨晩のNHKニュースで猪瀬は「たまたま」を連発していた。「たまたまご挨拶にうかがった」。難病で入院中、会話もできない徳田虎雄に会いにいくのが「たまたま」のはずがない。

 「たまたまお貸しいただけるというので」「個人の借入としてたまたまお借りしました」「たまたま報道が出て。たまたまそういう流れの中で時期が重なったということに過ぎません」…。

 「たまたま」とはめったにない偶然のことだ。こんなにも「たまたま」が重なればそれは偶然ではなく、必然=故意というべきだある。「(貸すというのを)お断りするのも申し訳ないような気がして受け取ったところがあります」-昨日の会見で猪瀬はこう述べていたが、今朝の報道では、1億の借り入れを要請し、徳田が「5000万で済ませろ」と息子に指示していた-と覆されている。

 一つ嘘をつくと、その嘘を糊塗するためにさらなる嘘を重ねるようになる。猪瀬の例はその典型だ。おそらく次々と「新事実」が出てくるに違いない。五輪の準備に師匠を来さないためにも、猪瀬はさっさと身を引いた方がいい。
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「あの手口」に学ぶ?

2013-08-02 14:21:09 | 政治
 「いつの間にか変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうかね」―麻生のアドバイスが早速生きたということか。安倍晋三首相がまたまた姑息な「策」を弄している。内閣法制局長官を交代させることで集団的自衛権の行使に道を開こうというのである。憲法改正に正面から挑むより、自民党お得意のなし崩し解釈改憲で―ということだ。やることがいじましいねえ。

 ≪安倍晋三首相は2日、内閣法制局の山本庸幸長官を退任させ、後任に小松一郎フランス大使を充てる方針を固めた。8日にも閣議を開き、正式に決める。首相は集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直し議論を進めており、小松氏は見直しに前向きとされる。法制局長官は内閣法制次長が昇任するのが慣例で、異例の人事となる。

 小松氏は外務省で条約課長や国際法局長を務めるなど国際公法に精通している。山本氏は先月19日に最高裁判事を定年退官した竹内行夫氏(元外務次官)の後任に起用される見通しだ。

 小松氏は第1次安倍内閣が設置した、集団的自衛権の行使を可能にするための検討をする有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の実務に携わった。懇談会は日米が共同で活動する際、危険が及んだ公海上の米艦船の防護など4類型を検討し、解釈変更を求める報告書をまとめた。小松氏はこの立案にかかわった。

 首相は第2次安倍内閣の発足に伴い、懇談会を再始動させたが、2月に1度開いただけだった。8月後半から議論を再開する方針で、憲法解釈をつかさどる内閣法制局の人事の刷新と合わせて、懇談会の議論を加速させる。今回の人事は集団的自衛権の行使容認に向けた地ならしを進める狙いがあるとみられる≫=日経com=。

 運輸省―国土交通省の航空局長あたりの指定席だった海上保安庁長官に生え抜きを起用したのは英断だったが、法制局長官人事は最悪だ。日銀は既に政府の下請けと化した。法制局もしかり。「あの手口」をしっかり学んでいるんでしょう。
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TPPの闇?

2013-07-25 06:34:33 | 政治
 23日付の各地方紙に奇怪な記事が載っていた。共同通信がTPP交渉が行われているマレーシア・コタキナバルから送ってきた。

 ≪環太平洋連携協定(TPP)交渉は秘密性が極めて高い。協定が発効して以降、4年間は交渉の過程や内容を記した文書を外部に公表しないルールがあり、日本も順守を求められる。安倍晋三首相は国民への丁寧な情報提供を約束しているが、期待に十分応えるのは難しそうだ。

 TPP交渉で事務局の役割を担うニュージーランドは2011年11月に「生産的で率直な話し合いをするため、交渉の関係文書は機密扱いとすることで合意したと発表。文書の取り扱い方法を細かく記したルール案をホームページに載せた≫=新潟日報=。

 この記事の通りだとすると、政府やメディアは1年半以上も前に厳しい守秘義務の存在を知っていたことになる。しかし、国民にそんなことは知らせていなかったのではないか。

 「交渉に参加しなければ情報がもらえず、国民の皆さんにも説明できない」。野田前首相や安倍首相が言っていたことである。メディアも「頭から拒否ではなく、交渉に入って判断すべきだ」との論調が主流だった。だが、何のことはない。交渉入りしても肝心の中身は国民には知らせない装置が出来上がっていたのだ。現に日本政府交渉団は、この守秘義務を口実に初回協議の内容説明を拒んでいるのである。

 ≪環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉では、農産物の関税問題が最大の焦点の一つとなる。日本の参加について集中討議した24日の会合で政府は「『重要5品目』を関税撤廃の例外扱いにする」との方針を伝えた。ただ、先行11カ国は日本に対し、関税の原則撤廃など「高い水準の自由化」を目指してきたこれまでの交渉内容を説明。重要農産品に位置付けるコメなどの関税を守れるかの攻防はこれからだ。

 政府はこの日、交渉会合の会場となっているホテルで、農協(JA)グループなどの農業団体や経団連、連合などの関係者約40人を対象に、交渉の現状を伝える非公開の説明会を開いた。

 出席者によると、TPP政府対策本部の渋谷和久審議官が冒頭「(交渉内容について)守秘義務があるため、政府の情報発信は限定的になる」と発言。交渉の中身は一切知らされなかった。23日の交渉合流の直前、協議内容について、秘密を守る契約に日本政府が署名したためだ≫=毎日jp=。

 国民の耳と目をふさいだまま行われるTPP交渉。結果は悲惨なものになりそうだ。
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