脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

決して寂寥ではない

2008年11月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 とうとう今季もホーム万博での最終戦を迎える時期になった。28日号のエルゴラッソでは“寂寥のナショナルダービー”と称されていたが、そんなことはない。
 精一杯戦った今季、ホーム最終戦をここ数年最もライバル関係にある浦和と戦うことは誇り高いことだ。少なくとも僕はそう思う。

 思えばここ数年、浦和戦はG大阪にとって、シーズンのハイライトだった。今季は5月に埼スタで初勝利を挙げてから、ACLでも負けなかった。06年の優勝決定戦ともいえるJ1最終節、そのシーズンの天皇杯決勝、勝たなければならぬ時に浦和の壁は容赦なく立ちはだかっていた。その浦和相手に少しリードしたかなという直近の対戦成績ではあるが、まだ彼らを上回れないポイントがある。

 それは12月に開幕するクラブワールドカップ。昨年浦和は、ACLで優勝を争ったセパハンに勝利し、ACミランにチャレンジする切符を掴んだ。横浜国際総合競技場に67,005人の観衆を飲み込んだその試合は、結果的に1-0でACミランが勝利。スコア以上に内容においてミランが圧倒した試合だったが、これまでの欧州王者と違って、かなり早く日本入りして、この大会に本気で臨んだミランに対する浦和の善戦にはかなりシビれたのを覚えている。アジアの代表として、日本の代表として、実に相応しい試合を見せてくれた浦和が羨ましくてたまらなかったものだ。

 今季は、そのクラブワールドカップにG大阪が挑戦するわけだ。初戦の準々決勝(14日@豊田)では、アデレードと再び戦うことになりそうだが、それに勝てばマンチェスター・Uへの挑戦権を得ることができる。恐るべき相手だ。日頃、欧州サッカーを常にチェックしている自分にとっても、未だにイメージしにくい夢の対戦カードである。どれだけG大阪が戦えるか。今から非常に楽しみだが、そういう意味では、昨年浦和がミランに善戦した内容に同等、もしくはそれ以上のものを見せられるかどうかを意識したい。選手たちにとっても千載一遇のチャンスだけに、気合いが入らないわけがない。

 つまり、クラブワールドカップで昨年の浦和にいかに迫れるか。アジアの代表として、日本の代表として、恥じぬ戦いをするためにも、明日の浦和戦は、G大阪の決意表明を戦いで示す良い機会だ。この構図が存在する限り、今季の33節にこの対戦カードである意味合いは、G大阪にとって大きい。

 確かに順位争いや優勝のスペクタクルからすれば、寂寥かもしれないが、決して消化試合ではない。いつでも浦和との対戦は楽しみだし、G大阪の強さを見せてからクラブワールドカップに臨みたい。