東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

幽霊坂(駿河台)2014

2014年05月18日 | 坂道

小川町に出かけた帰りに、駿河台の幽霊坂を上り、坂上から聖橋に出た。その小散策記である。

新坂(駿河台)遠景 幽霊坂(駿河台)遠景 幽霊坂下 幽霊坂下 淡路町の交差点から昌平橋方面に北へ歩き、一本目の左側を見ると、観音坂が見え、次の左側には遠くに新坂が見える。その辺から新坂方面を撮ったのが一枚目の写真である。坂手前右側に広場が広がっている。

さらに進み、次の左を見ると、幽霊坂の坂下が遠くに見える(現代地図)。そこから坂方面を撮ったのが二枚目である。

左折しちょっと歩いてから、幽霊坂の坂下を撮ったのが三枚目で、ちょっとうねりながら中程度の勾配で上っている。坂下の横断歩道を右折すれば、淡路坂の坂下に出る。

さらにちょっと上ってから坂上側を撮ったのが四枚目で、このあたりから勾配がはじまっている。坂の途中から左折する道が緩やかに上っているが、ここを進めば、さきほどの新坂の坂上である。

以前この坂に来たとき(以前の記事)、このあたりは、工事中であったが、それが終わっている。坂上に行くとそれがいっそうはっきりする。

幽霊坂中腹 幽霊坂中腹 幽霊坂上 飯田町駿河台小川町絵図(文久三年(1863)) さらに上ってから、坂上側を撮ったのが、一枚目の写真で、二枚目は、そのあたりから坂下を撮ったものである。さらにその上から坂上側を撮ったのが、三枚目の写真で、坂上側ではかなり緩やかになる。

坂下から見て左側(北)の工事が終わって、まわりの景色がすっかり変わっている。

坂上の角に坂の標柱が立っているが、次の説明があった。

「この坂を幽霊坂といいます。もとは紅梅坂と続いていましたが、大正一三年(一九二四)の区画整理の際、本郷通りができたため二つに分かれた坂になりました。『東京名所図会』には、"紅梅坂は""往時樹木陰鬱にして、昼尚凄寂たりしを以って俗に幽霊坂と唱えたりを、今は改めて紅梅坂と称す。"とかかれています。また古くは光感寺坂とも埃坂などとも呼ばれていたこともあるようですが、一般には幽霊坂の名でとおっています。」

四枚目は、尾張屋板江戸切絵図 飯田町駿河台小川町絵図(文久三年(1863))の部分図である。阿部屋敷の下側(北)に幽霊坂が見え、上側(南)に観音坂が見える。

幽霊坂上 幽霊坂上 幽霊坂上 幽霊坂上 一~三枚目の写真は、三月初め午後七~八時頃この坂に来たときに撮ったものである。

この坂は、坂上で左にほぼ直角に曲がってから坂上で本郷通りにつながるが、一枚目は、その曲がりの手前から坂上側を撮ったものである。

二枚目は、標柱のところから坂下側を撮ったもので、北側にできたショッピング街からの光がまぶしい。

三枚目は、坂下側から標柱を入れて撮ったもので、角のところにショッピング街へつながる小階段が下っているが、それだけでなく、そのわきには、上へ上る階段も新たにできている。

一~三枚目からわかるように、この坂は、坂北側の工事が終わって、その景色が大きく変わってしまった。坂名からして、そのむかしは、昼でもさみしくて人通りが少なく、夜になれば真っ暗闇で、幽霊が出るような雰囲気に満ちていたのであろうが、こう明るくては、幽霊も出たくても出れない。都市化はひたすら暗闇をなくす方向へ邁進するばかりである。

しかし、この坂は、上の三、四枚目の写真からもわかるように、まっすぐではなく、二度ほど緩やかにうねっており、それがいかにもむかしの名残りのように思われ、この坂が江戸から続く歴史的な存在であることを問わず語りに伝えているような気がしてならない。都市化・近代化の中でかろうじて生き長らえている。

四枚目は、新しくできた階段を上り、その途中から坂上の角付近を撮ったもので、新しく階段ができたことで可能となったアングルである。

淡路坂上 淡路坂上 聖橋から 聖橋から 階段の上は、公園風の小広場になっていて、ここを通り過ぎ、横断歩道を渡ってから右手(東側)を撮ったのが、一、二枚目の写真で、淡路坂の坂上である。

坂上を右に見て進めば聖橋であるが、三、四枚目は、その上から東側を撮ったもので、夜景や青空でよい眺めになっている。

ここからの風景は、何回か記事にしているが、来るたびにその印象が違うのがおもしろい。

ここからお茶の水駅へ。

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)

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