東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

淡路坂~聖橋

2013年12月10日 | 坂道

淡路坂下 昌平橋から上流 飯田町駿河台小川町絵図(文久三年(1863)) 小石川谷中本郷絵図(文久元年(1861)) 前回の新坂下からもどり、昌平橋方面に進むと、左手遠くに幽霊坂が見えるが、そのままさらに進むと、中央線のガード下である(現代地図)。

ガード下の手前が淡路坂下で、ここから左手(西側)へ坂が延びている(以前の記事)。

一枚目の写真は、淡路坂下から坂上側を撮ったもので、緩やかな坂下の向こうに勾配のつきはじめるところが見える。そこから高度をぐんぐん上げ、坂下は中央線のガード下であるが、坂上は、お茶の水駅のホームのはるか上となる。

ガード下は古風な煉瓦造りで、中がビアホールのような店になっている。神田川を眺めながら一杯やれるのだろうか。つい入ってみたくなるが、これからの予定を考えてあきらめ、昌平橋へと進む。

そこから上流側を撮ったのが二枚目の写真で、左に先ほどの店の窓が見え、小さな船が上流に向かい、遠くに聖橋が見える。上に架かっているのは総武線の鉄橋である。

三、四枚目は、尾張屋板江戸切絵図の飯田町駿河台小川町絵図(文久三年(1863))、小石川谷中本郷絵図(文久元年(1861))の部分図である。三枚目は神田川の内側(南)の図で、神田川に沿ってアワジサカ(淡路坂)が見え、坂上の川際に太田姫神社がある。淡路坂の上(南)にユウレイサカ(幽霊坂)、フミサカ(ゴミサカ)が平行に延びている。

四枚目は神田川の外側(北)で、昌平橋は三枚目に描かれているためかないが、川沿いに聖堂が見え、その上(北)に神田明神があり、さらにその北にツマコイサカ(妻恋坂)、立爪サカ(立爪坂)がある。

以上の位置関係は現在とほとんど同じである。

相生坂下 相生坂下 湯島聖堂 分間江戸大絵図(文政十一年(1828)) 昌平橋を渡り、次の交差点を左折すると、相生坂(昌平坂)の坂下である。そのあたりから坂上側を撮ったのが一枚目の写真で、かなり緩やかである。

二枚目は、坂上側にちょっと歩いてから坂上側を撮ったもので、このあたりもまだ緩やかである。

この先の湯島聖堂の中に入って聖橋に向かうが、その途中の階段から聖堂方面を撮ったのが三枚目である。相生坂から聖橋に行こうとすると、このルートがもっとも近い。

四枚目は、分間江戸大絵図(文政十一年(1828))のこの近辺の部分図で、昌平橋の北詰から上(西)へ延びる道が相生坂で、その途中に聖堂が見える。神田川の反対側(南)には、淡路坂幽霊坂が見える。

上の二枚の尾張屋板江戸切絵図にも、神田川に沿ってこの相生坂が見えるが、坂名は記されていない。

聖橋から東側 淡路坂上 御江戸大絵図(天保十四年(1843)) 官版東京大絵図(明治四年(1871)) 聖橋から東側を眺めていると、ちょうど丸の内線の電車がトンネルから出てきたので、シャッタをきろうとしたら、突然爆音が轟き、橋下を見ると、モータボートが連続して猛スピードで走り去っていく。何回かシャッタをきったが、そのうちの1枚が一枚目の写真である。

聖橋は、駿河台の山にかかる橋で、はるか下を神田川が流れ、とくに東側の眺望がよいためか、同じようにカメラで風景を撮っている人をよく見かける。よい撮影ポイントである。

橋を渡り、左手を見ると、そこがちょうど淡路坂の坂上である(現代地図)。二枚目の写真はその聖橋の南詰から坂上を撮ったものである。

三枚目は、御江戸大絵図(天保十四年(1843))の部分図で、昌平橋の北詰から川に沿ってまっすぐに延びる道筋が相生坂で、途中聖堂があり、その上に、ヲチャノミヅとある。

四枚目は、官版東京大絵図(明治四年(1871))の部分図で、御江戸大絵図と同じように相生坂が描かれている。

聖橋は昭和のはじめにつくられたので、上記の地図のいずれにもない。
(続く)

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)
デジタル古地図シリーズ第二集【復刻】三都 江戸・京・大坂(人文社)
「大江戸地図帳」(人文社)
「東京人 特集 東京地形散歩」⑧august 2012 no.314(都市出版)

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