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アートネタなど日々のあれこれ

お殿様の審美眼

2018-06-28 00:52:08 | 美術
三井記念美術館で「大名茶人 松平不昧 -お殿さまの審美眼―」を見てきました(この展覧会は既に終了しています)。

不肖わたくし、松平不昧のことは全く知らなかったのですが、日曜美術館の不昧の回を見て興味を持ち、行ってまいりました。さて、お殿様の審美眼、いかばかりか・・・。

会場に入ってまず、油滴天目に目が釘付けになりました。小ぶりな茶碗ですが、その油滴の精緻な美しさ・・・小宇宙のようです。国宝の梅花天目や喜左衛門井戸も出ていました。奥高麗茶碗(深山銘)の地の独特の色合いにも目が惹かれます。茶碗以外の茶道具もかなり充実していましたし、書も国宝・重文がけっこう出ていましたね。絵画では牧谿の叭々鳥図や燕図なども。面白いところでは、雪舟の一円相。思わず、コンパス使ったでしょ~、と突っ込みたくなってしまいます。これ、フリーハンドだったらすごいわ・・・。不昧はコレクターだけでなしに、プロデューサーとしても活動、自分好みの「お好み道具」を原羊遊斎などに作らせていました。羊遊斎作の菊蒔絵大棗は琳派を思わせるようなデザイン。瓢箪蒔絵弁当箱も洒落ています(お殿様、瓢箪が殊の外お好きだったらしい)。不昧自作の作品もいくつか。「豆腐自我賛」に添えられた言葉も趣深かったです。

それにしても、これくらいコレクター(プロデューサー)の好みというか、世界観がはっきりしているコレクションはなかなかないかも、とも思ってしまいます。瀟洒、洗練という言葉がよく似合います。昭和の言葉で言うとハイセンス(←死語)という感じでしょうか。松平不昧は名君とも言われるくらいで、当時逼迫していた松江藩の財政を立て直したりもしたのだとか(もっぱら部下が優秀だったという説もありますが)。一方で、「古今名物類聚」を表し、美の基準を残しています。その割には自作の作品はわりと普通かも・・・という突っ込みどころもちゃんとあったりして(笑)。いずれにせよ、名物は「天下の名物にして一人一家一国の宝にあらずと知るべし」という太っ腹のお殿様のおかげで、眼を洗われるような鑑賞体験をすることができました。

さて、鑑賞後は例によって甘いものが欲しくなり・・・すぐ近くの「グルメショップbyマンダリン・オリエンタル」に寄り道してきました。マンゴーショートケーキと豆乳カフェオレを頼みました。ケーキは普通のケーキの2倍くらいのお値段ですが、マンゴーがごろごろで、大変、美味しゅうございました・・・。
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