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アートネタなど日々のあれこれ

至上の印象派

2018-05-22 23:58:08 | 美術
国立新美術館で「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を見てきました(この展示は既に終了しています)。

「絵画史上、最強の美少女(センター)」というキャッチコピーは、何だかなぁ・・・と思ったものの(笑)、やっぱりあの娘を拝みたい、という一心で行ってまいりました。至上の印象派、という看板に名前負けしない、珠玉のコレクションでございました。単に「綺麗」なだけでは済まされない、印象派の奥深さを見たように思います・・・。

私もおそらく多くのアート好きの方と同じく、印象派の作品から美術鑑賞を始めましたが、そのころ憧れた作品の数々を目の当たりにしました。モネの「陽を浴びるウォータルー橋」、ルノワールの「泉」、セザンヌの「赤いチョッキの少年」・・・。中でもとりわけ、ゴッホ部屋が印象深かったです。「花咲くマロニエの枝」の喜び、「古い塔」の不気味、「日没を背に種まく人」の光・・・。そして、「最強の美少女」、ルノワールの描いたイレーヌ嬢はやはり美しかった。まさに透けるような白い肌、あの肌の質感はやはり生で見ないと味わえないものですね。フェルメールの青いターバンの少女と並んで、絵画史上の二大美少女だわ・・・と、ひたすら見とれておりました。最後の部屋のモネの「睡蓮の池、緑の反映」も圧巻でした。噎せかえるような緑の匂いが漂ってくるようでした・・・。

会場では関連映像の上映もしていたので、そちらも見てきました。何でもビュールレ氏は、もともと美術史を学んでいたのだが、その後、銀行家の娘と結婚し、武器の輸出で巨利を得て、その富を元にコレクションを築いたのだとか。やはり元となる美術のベースがあったのですね。同じ人間が一方で武器を売り、一方で類いまれな美のコレクションを築くという・・・。そういえば「日曜美術館」の「イレーヌ」の回では、イレーヌ嬢の子どもと孫がナチスの手によって命を落としたという話がありました。そのナチスに武器を売っていたのがビュールレ氏で、ビュールレ氏はイレーヌ嬢から直接この絵を買ったというのは恐ろしいまでの運命の皮肉です。そして、イレーヌ嬢自身はこの肖像画を気に入っていなかったというから、ますます複雑です。こんなに素晴らしい絵なのに・・・。でも、この絵の少女は恵まれた境遇にいるにもかかわらず、どこか物憂げで、これから先の自分の運命を半ば予感しているような気がしないでもなく・・・絵画の神秘です・・・。
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