aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

未来と芸術

2020-02-09 12:44:12 | 美術
森美術館で「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命」を見てきました。

最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して社会や人間のあり方を考える・・・という展覧会ですが、来世紀の展覧会を見ているような心地になる展覧会でした。展覧会といえば、古今東西の泰西名画を鑑賞、という従来のイメージを覆されるようでもありました。

この展覧会は「都市の新たな可能性」、「ネオ・メタボリズム建築へ」、「ライフスタイルとデザインの革新」、「身体の拡張と倫理」、「変容する社会と人間」という5つのセクションで構成されています。最初は未来の都市計画などの紹介です。「マスダール・シティ」はアブダビで建設中の再生エネルギーで稼働する都市ですが、このデザインがとてもスタイリッシュ。「球体」はアメリカのネバダ州で発表された大きな球体ですが、宇宙の光景のようです。ネオ・メタボリズムの章には、ミハエル・ハンスマイヤーの「ムカルナスの変異」が。イスラムの伝統的な幾何学パターンをコンピュータでシミュレートしてデザインしたというインスタレーションですが、美しいとグロテスクの中道を行くような作品で、今まで見たことないものを見てしまった・・・という衝撃が走りました。ライフスタイルの章で面白かったのが「バイオ寿司」。なかなかにフォトジェニックなお寿司です。眺めている分には楽しいですが、これ実際に食べたいかと言われるとうーむ・・・。身体の拡張と倫理の章にはバイオ・アトリエがありました。「シュガーベイブ」はゴッホの耳を親族のDNAから再現、話かけると反応するという作品ですが、けっこう不気味・・・。「ヒューマン・スタディ」は5台の似顔絵ロボット。これに描いてもらいたいな、とちょっと思ったのですが・・・。変容する社会と人間の章には看取りのロボットがありました。ロボットが腕をさすりながら「ご家族も友人も来られず残念でしたが、快適な死をお迎えください」と慰めて(?)くれるというもの。仮に一人で死を迎えることになったとして、これに看取られたいかな~、というとちょっと考えてしまうのですが・・・。「ズーム・パビリオン」も面白かったです。展示室に入ると入場者どうしをコンピュータ同士がマッチングするというもので、現代の監視社会を意識させます。「深い瞑想」はビッグデータに基づいた色とりどりの写真。やはり地球は美しい。ラストの「データモノリス」は高さ5メートルの直方体にトルコの遺跡に刻まれた文様をAIで抽象化して映し出すという作品。未来の芸術作品はこういうことになるのでしょうか・・・。

そんなわけで盛りだくさんの展示でした。とてもじゃないけど消化しきれません・・・(笑)。それにしても22世紀、あるいは23世紀の社会はどんなことになっているのでしょうね・・・美術館やアートもあり方も変わっているのでしょうか、もしかしたら、美の概念すら変わっているのかも・・・。見てみたいような、見るのが怖いような・・・。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Bodyscore-the soul signature | トップ | オブジェが語りはじめると »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

美術」カテゴリの最新記事