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アートネタなど日々のあれこれ

書物の聖母

2016-03-12 23:27:45 | 美術
東京都美術館で「ボッティチェリ展」を見てきました。

去年、Bunkamuraza ザ・ミュージアムで開催されていたボッティチェリ展もゴージャスでしたが、今回は現存するボッティチェリ作品約100点のうち約20点がやって来るという何とも贅沢な展覧会・・・ということで、わが家からは少々遠い上野ですが、いそいそと行ってまいりました。

さて、例によって鑑賞前に腹ごしらえ・・・今回は時間もなかったので、上野駅構内の「たいめいけん」へ。少々並んでいましたが、回転が早いので、さほど待たずに入れました。お腹が空いていたので、ハンバーグとカニコロッケのセットのランチを。昔ながらの洋食でおいしかったです。50円でボルシチもつけられるのですが、こちらも美味。

お腹もいっぱいになったところで美術館へ。今回の展覧会は、ボッティチェリの師匠であるフィリッポ・リッピ、ボッティチェリ本人、フィリッポ・リッピの息子でありボッティチェリの弟子でもあるフィリッピーノ・リッピの3人に絞り、ほぼ時系列で展示するという構成でした。ボッティチェリだけでなく、リッピ親子の魅力を再発見する機会にもなっていたかと思います。

会場に入るといきなり、ボッティチェリの「ラーマ家の東方三博士の礼拝」が。ドラマティックな構図。思わずテンションが上がってしまいます。この中にはメディチ家の人々のみならず、ボッティチェリ本人も描かれているらしい。その後、ロレンツォのコレクションが続き、フィリッポ・リッピの作品の章へ。「玉座の聖母子と天使および聖人たち」に眼を惹かれます。ロシアのイコンのような神秘的な趣き。それにしても、フィリッポ・リッピの作品って、どこかエロい(笑)というか・・・お上品にいうと官能的。どこぞの女子修道院にて尼さん(フィリッピーノ・リッピの母)に手を出したという逸話があるようですが、さもありなん、と思われます。かと思うと「ピエタ」のような作品も。深い哀しみと絶望・・・。

そしていよいよボッティチェリの章へ。「バラ園の聖母」の聖母の初々しさ。ボッティチェリ作品はとにかく色彩が鮮やかで美しい。「書斎の聖アウグスティヌス」は迫力あるフレスコ画。そして何といっても「書物の聖母」ラピスラズリの深い青。透けるような金冠。愁いを帯びた聖母の眼差し。本当に魅力的な作品に出会った時って、動けなくなってしまいますよね。「美しきシモネッタ」も美人さん。ちょっと受け口気味だけど(笑)。しかしシモネッタと聞くと、つい米原万里さんの「ガセネッタとシモネッタ」を思い出してしまう私(爆)。後期の代表作「アペレスの誹謗」。ひとり天を差す「真実」の姿。「オリーブ園の祈り」の独特な色彩と世界観・・・。

最後は、フィリッピーノ・リッピの章です。「幼児キリストを礼拝する聖母」が綺麗。そしてボッティチェリの作品そっくり。ただ、全体的にボッティチェリの作品に比べると、若干詰めが甘い(?)気がします。そこが魅力なのかもしれませんが。しかし、「洗礼者聖ヨハネ」「マグダラのマリア」は打って変わった作風に。サヴォナローラの影響でしょうか・・・。

というわけで、三者三様の表現を堪能してまいりました。本当にいい時代だったんだな、と思います。かのお坊さんが出てくるまでは・・・。上野に一足早い春が来たようでしたね・・・。
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