金曜日の夜、三菱一号館美術館での「マネとモダン・パリ」へ再訪。
実は4/10に一度行ってるのだけど、ばたばたでかけておりませんでした。
そのときは猛烈に混雑してたのですが、金曜日の夜間はすんなりと中に入ることが出来ました。
ところが館内は小部屋をいくつもつないだかのような造りになっているので箇所によってはかなり混雑しているところもありましたが、ちょっと待つなりずらすなりすれば見たいものがきちんと見れる状況になっていました。
新しい美術館はわくわくします。
中に入ってみて思うのはちょっと普通の美術館と違うなあと思うところ。
前述したように小部屋が多く、その中にダミーではあるけれども暖炉なんかが各部屋にひとつあってその上にも絵画が展示されてるのです。
そうなると他の壁面の展示も極端に高さを変えることは出来ないからかなり高めの位置になるのです。
ダミー暖炉の上の絵だと額の下のラインが身長約170センチのわたしの目の位置のあたりにくるわけです。
古い建物を復元してその中を美術館にするという前提があるので仕方ないのですが、背の低い方にはどう映ったんだろうとちょっと気になったのです。
さて、前置きが長くなりましたが、本編のほうへ。
展示は真似の作品を中心に当時のパリの写真、建物の設計図、同時代の画家の絵画も併せて鑑賞して回ります。
やはりどうしてもマネの絵に集中して見入ってしまう。
解説の文章には、マネが新しい絵画のスタイルを確立せんと発表した作品は当初受け入れられなかったとのこと。
まあ、あまりマネの絵画ってそう意識して見てこなかったのでそうかなあくらいに思ってました。でも、一連で見てみて納得でした。
以下、気になった作品について。
○「温室のマネ婦人」
よく見てるとすごくおかしな絵であることが分かってきます。
マネ夫人の顔は至極まっとうに描かれてますが、同じ肌色の手の部分はおおざっぱで流れるように、服は線でアウトラインが切られててこれもまた違うタッチ。そして、背後の植物たちのダイナミックな描写。
異なるタッチが同一平面状で同時展開されてるのですが、破綻するどころかむしろ見事に調和していることに驚きます。
○「秋(メリー・ローランの肖像)」
メリー・ローランは高級娼婦。ふと花魁を描いた浮世絵が頭をよぎる。
この背景のブルーに花模様のは日本の着物だといわれている。
にしてもこれをバックに持ってくるセンスがちょっとありえない。
この背景であるこるとで水色が鮮烈にメリー・ローランの横顔と共に記憶に残ります。
○「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」
今回の展覧会のメインビジュアルとして何度も目にしているイメージ。
この黒の色味、好きです。
肩から下へと向かう身体の部分が黒で画面の大半を占めることで確固たる存在としてベースにあるように思います。
だからこそベルトモリゾの顔や帽子を描く筆致が遊んでてもしっくりとバランスがとれるのだと思います。
他にもベルト・モリゾの描かれた絵が同じ部屋にありましたが、これが一番惹かれます。
この違いは特徴を抜き出すポイントの置き所によるのだと思うです。
この瞳、いいんですよね。ずっと見つめていたくなるのです。
○「ラテュイユ親父の店」
ストーリーを感じさせてくれてすっと絵の中に入っていけますね。
背後のウェイターのぼやけ具合とかすごくいい按配。
女性を見つめる男の目が大きく見開かれているのに対して、女性のほうは目を細めてて冷静なよう。
この色のバランスも素敵。
○「黒い肩掛けの女」
顔の表面に乗ってる塗りの表現がすばらしい。
緑っぽい白が乗ってるのだけど見事にはまってる。
なんとなくなのだけども、この女性の表情がオタフクに見えてくるのだ。
なんだろう?表情の定番をシンプライズしてるっていうことなんだろうか?
○「自画像」
突っ張ってる感じよろし。啖呵切ってますよね。
先駆者たるものの孤独と心意気を感じさてくれる。
飲み込まれてしまいそうな背後の黒に負けることなくそこに立つ。
かっこいいな、マネ。
ポストカードを今回も購入しました。2回行ってみたらやっぱり数点だぶってました。ちなみに「ラテュイユ親父の店」と「散歩」でした。
さて、このポストカードの入ってた袋のデザインがまたいいですね。
7/25まで。