あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

2012年展覧会ベスト10!

2012-12-30 22:15:10 | アート系
今年は後半、正直あまり見てないのですがベスト10を選べるかなあと思ってたのです。

それでも振り返ってみるとそれなりにいいなと思う展示は多いものなんですよね。

というわけで独断で選ぶベスト10は以下のとおりです。



1.奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている(横浜美術館)

奈良さんの展示というだけでそれだけで一位にしちゃうのですが、そうではないのです。

空間に漂う空気がもっているは作品の持つ霊性みたいなものなのだろう。

ブロンズの彫刻がものすごくて息苦しいくらい。

あとは鉛筆のドローイングの放つヤバさ。

静かに毒のある部分がうまくちりばめられているように思いました。かわいいという表層のほうがもてはやされてしまうけどもやはりその裏に潜むものがあってこそなのだなあと。

巡回先のこちらもよかったです。
奈良美智「君や 僕に ちょっと似ている」(青森県立美術館)

構成でこうも印象が変わるのだなあということにびっくり。



2.特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(東京国立博物館)

思い出してみても満足感が高かったように思います。

蕭白のコーナーだけでお腹いっぱいってくらいなのに。

吉備大臣入唐絵巻、松島図屏風と見所満載!



3.福田平八郎と日本画モダン(山種美術館)
前期展示後期展示

福田平八郎の個展をやるということの意義、そして今回の展示のために作られた日本画モダンという切り口がよいなあと。

雨と漣のストイックな描写に魅了されました。



4.蕭白ショック 曾我蕭白と京の画家たち(千葉市美術館)
前期展示後期展示

これを見るためにわざわざ千葉に2回も行ってしまいました。

でも、それだけの値打ちのある内容でした。

どうしても濃い描写という印象が先行してしまうのですが、時期によっても作風が変化してるのが見てとれて実は基礎がしっかりとして絵師であることが伺い知れます。



5.美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年(東京国立近代美術館)

超エース級の名作がずらり。

しかも常設で見られるものの多いこと。

内容もバラエティに富んでて見応えあり。

近美のリニューアルにかける意気込みが伝わってきました。

藤田の戦争画がやはり印象に残ります。あと第二部はまた別でみたいなあと。



6.京都細見美術館展Part2 琳派・若冲と雅の世界(そごう美術館)

夜8時までやってて静かな空間で若冲と向き合える幸せ。

照明が暗いのはほんとにもったいないこと。

本家の細見美術館でもまとまってこれだけの収蔵品を見ることは出来ないというなんとも贅沢な内容。



7.靉嘔 ふたたび虹のかなたに(東京都現代美術館)

正直、構成と近作はうーむって感じなのですが、やはり虹のレインボーカラーで埋め尽くされた空間は至福。

唯一絶対であることが何より好き。



8.生誕100年 ジャクソン・ポロック展(国立近代美術館)

「インディアンレッドの地の壁画」の追いつけない視線移動に混乱かつ興奮!

ちょっとこれはなかなか体験出来ない感じでした。

絵画とは何ぞやということを考えました。



9.三都画家くらべ-京、大坂をみて江戸を知る(府中市美術館)

府中市日での江戸絵画の展示ならば行ってみようという気になるし、見終わってとても満足するんですよね。

応挙のような著名な絵描きのものでないものに見るべき知るべきものが多いように思います。



10.トーマス・デマンド展(東京都現代美術館)

写真やっているものの写真家の展示は実はあまり見ない。

でも、これはものすごく変でよかったです。

紙を使って模型を作りそれを撮影する。

かなりおかしいです。

好きとか嫌いを越えてそのアプローチに尊敬しちゃいますね。



さて、来年はどんな展覧会を見られるか楽しみです。では。
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「Reflections 2012」-現代新鋭作家13人展- あおひー作品解説

2012-12-30 16:43:02 | あおひー写真


先日、終了した「Reflections 2012」。

あおひーは4点のフォトアクリルを出品しました。

というわけで今回も作品解説です。

左から「雑景額装#1」、「WOMAN/RIVER」。右の上が「つつじの頃」、右の下が「暗夜街路」。

これまではこういったグループ展でも同じトーンで統一感を持たせていたのですが今回は敢えて、ばらばらにしてみました。

個別の作品の力でいけるんじゃないかなあと。



「雑景額装#1」

今回初となる作風。

基本これまでに発表してきた写真のほとんどはピントのフォーカスを外したものばかりでした。

でも、これは違います。フォーカスはばっちりと合っています。

後処理はもちろんかけてません。

ですが、実景が歪んでおかしくなってる。

ビルの壁のミラーなのですが歩いてるとその景色はどんどんと変化すると、レンズの焦点距離によるのでいきなりこういう風には見えてこないのです。

やれる!これならまたおかしな写真が撮れる。

あと、新しいデジカメを買うと必ず違うものが撮れますね。



「WOMAN/RIVER」

実はこれ、1月のNew Year Selection 2012で出品した「見立龍燈」と同じ時に撮った中の一枚。

タイトルのとおり女性に見えて、その実際は川を撮ったもの。

前回のGEISAIに出したワインの封のアルミの中に見えた妄想の景色とはつながってたりします。



「つつじの頃」

4月の晴れた日の午前。

降り注ぐ日差しを浴びたツツジのピンクが鮮やか。

なんてことない景色がピントをぼかすだけで素敵に見えてくる。

たぶん、これが今までのあおひー作品で持たれているイメージなのかと思います。



「暗夜街路」

実は当初、これを出品するつもりがありませんでした。

たまたま、見落としがないかなあと以前に撮影したファイルを見返していたところ、これは出してみたいなと。

ウィンドウに写った夜の街の景色。

街灯や道往く人のシルエットがうまく出てくれました。



さて、次回はいつになるか分かりませんがよろしくお願いいたします。
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Reflections 2012、無事に終了いたしました

2012-12-10 21:33:51 | あおひー写真
R e f l e c t i o n s 2 0 1 2
-Exhibition by 13 Emerging Artists-

12/28、無事に終了いたしました。
ご来場頂きありがとうございました。


あおひー 浅野 あかね 赤川 芳之 安藤 ニキ 井上 新之介 大嶋 仁美 加瀬 世市
河本 静 キタムラ ナオト そうま まゆ 高谷 映理子 内藤 亜澄 馬込 博明

会期:12/18(火)~12/28(金)
   最終日12/28(金)は12:30から17:00まで
会場:ギャラリーアートポイント
   〒104-0061東京都中央区銀座8-11-13 エリザベスビルB1F

フォトアクリル4点を展示します。お楽しみに!

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風間サチコ 展「没落THIRD FIRE」(無人島プロダクション)

2012-12-10 21:33:41 | アート系

風間サチコ 展「没落THIRD FIRE」に行ってきました。

※写真掲載はギャラリーの許可を頂いております。

やはり圧巻の版画でした。

まず最初にお知らせです。

メインとなる大作1点は完成しておらず、1週間から10日ほどかかるよう。

とはいうものの展示されていた大作2点と小品1点、ドローイング数点、そして現在製作中の大作の原画1点でしたが満足のいくものでした。

何よりもどんどんと表現が先鋭化しているように思いました。

まずは入口入ってすぐ左の作品。

「獄門核分裂235/"Prison NUKE FISSION 235"」

いくつかの建物が複合化されているものの直線が目立つ。

タイトルからも以前に発表された作品にあったプリズンスガモーとのつながりを連想します。事実、キャプションにはそのあたりが触れられています。

画面上方にはきのこ雲。

電子の如く飛びかうのは人の顔。

後藤文夫、正力松太郎、岸信介、中曽根康弘、橋本清之助、小坂順造ら。

この顔の連なりはやはり以前にあった観覧車に歴代総理大臣の顔を描いてたのを想起してしまいます。

画面が力強く、特異だけどもこちらに訴えかけてくる強度が笑いの部分を遥かに上回っているようにお思いました。

続いては小品「没落THIRD FIRE」展。

このページ冒頭のDMの画像なのだけどもこちらは赤い紙に黒で刷られている。

タイトルの「THIRD FIRE」というのは原子力発電を第三の火と呼んでいたところから。

この文字の描写がどことなくストリートアートのスプレーで描かれたかのようなテイストで不安感は満載。

このDMはA5サイズなので飾ってもなかなか映えるんですよね。


「黎明のマーク1」

??

タイトルが分からなかったのですがキャプションを見て納得。

これは会場で是非確認してみてください。風間さんはディティールにこだわった取材をされているのがよく分かります。

この作品はすごく単純に風景画として美しいなと思いました。

凝ったモチーフ云々ではなくシンプルび響かせる画面に脱帽です。

そして、現在製作中の作品は原画だけ見ても期待出来そう。

横長のワイド画面に描かれた波と船。もちろんこれらの船には意味があり。。。。

なんとか完成した作品が見てみたいものです。

さらにドローイングはかなりヤバいです。

漫画たっちで描かれる原子力モチーフのパロディばかりが8枚。

とにかく画面の持つパワーに圧倒されます。

久々の無人島プロダクション、大満足でした~。

来年の1/19まで。


会期:2012年12月8日(土)―2013年1月19日(土)
※12月24日(月)~1月7日(月)は年末年始休業
会場:無人島プロダクション
Open:火~金|12:00-20:00
土~日|11:00-19:00
Closed:月・祝日

<風間サチコ 関連記事>
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風間サチコ 展(無人島プロダクション)
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美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年(東京国立近代美術館)

2012-12-08 17:41:30 | アート系


東京国立近代美術館で開催中の「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」に行ってきました。

記事にするのが遅くなってしまいましたが11/7に開催された夜間特別観覧会でじっくりと鑑賞して参りました。
(うわ!もう一ヶ月も経ってしまったとは。)

会場は二部構成となっていて第一部「MOMATコレクションスペシャル」(4F~2F)、第二部「実験場1950s」(1F)と全館を使ってのボリュームのある展示。

当日は二時間かけてペース配分して見たものの時間が足りないくらいだなあと。

正直、この二部構成はばらしてそれぞれの展示としてもよかったのでは。

冒頭からの順序に従って気になった作品について書いてみたいと思います。

※写真の撮影、掲載については主催者の了解を得てあります。



展示室1 ハイライト

菱田春草「賢首菩薩」(写真中央)

春草の作品にはついつい吸い寄せられてしまいます。

お坊さんなんだけどもかわいくもありかつ気品もかんじさせてくれる。

色彩と精緻な描写、密と疎のバランスの配分。

ずっと見ていられる安定感。


横山大観の「生々流転」は独り占め出来て大満足。

水墨テクニックをこれでもかと投入して制作されていることが確認出来る。

とにかくここまで長い巻物はちょっとなく見応え十二分。




展示室2 はじめの一歩


土田麦僊「湯女」「舞妓林泉」

麦僊のこの2点、色味がものすごく好み。

どちらも赤と緑という補色同士、対極の色を同じ画面に配していながらもキツくならずにむしろふんわりとした印象が残るのが素敵。

そして何より決して古びて見えないのが素晴らしい。



展示室3 人を表す1

フジタの絵は線がシャープながらもほっこりとする。

なんだろう、自分の好みなのか見てて安心する感じがする。

あと画面に猫が登場してるのは大きいなあと。



展示室4 人を表す2

新海竹太郎「ゆあみ」

彫刻のコーナーの中でも特に惹かれました。

肌に貼り付く濡れたたタオルの質感に目がいく。

彫刻ではあるのだけどもなんだかいけないことをしているかのような背徳感が湧いてくる感じが面白くもあり。



展示室5 風景を描く


写真中央の岸田劉生「道路と土手と塀」をじくりと見てしまいます。

なんでもない風景なんだけどももりあがったその坂の向こうを思い浮かべてしまうからでしょうか。


展示室6 前衛の登場

古賀春江「海」

何度となく見てるもののやはりいいなと思います。

こういうふうに他の作家の作品と居並んだ時にこそこの個性は光るなあと。

コラージュ的に構成された画面が洗練されていて特異です。


谷中安規の版画、ぽかーんと抜けた感じがたまりません。

黒の他に、ほのかな色彩が乗って線と合っているなあと。

裸で自転車っていうが強烈に残ります。でもあくまでトーンはほのぼの。



展示室7 戦争の世紀に1

須田国太郎「歩む鷲」(写真左)

以前に見た時よりも俄然よく見える。須田の作品オンリーの中でよりもこういうふうに他の作家の作品との中に置かれてこそそのチカラが感じられるような気がしました。

佇まいが好きな作品です。


展示室8 戦争の世紀に2

藤田嗣治「サイパン島同胞臣節を全うす」、「アッツ島玉砕」

フジタ圧巻!!

「アッツ島玉砕」は画面にこれでもかと詰め込んだ兵士にくらくらとします。

「サイパン島同胞臣節を全うす」は構成が素晴らしい。戦争画なのだけどもそれぞれの役割の描写と配置がどことなく宗教画のように見える不思議な絵。

いつかは戦争画のみの展覧会が見てみたいものです。



展示室9 写真


森山大道の写真はやはり質感が好きなのだと思います。

写真は撮った作品からその写真家が分かるというのが一番なのだなあと実感。

植田正治の砂丘で撮ったシリーズなど個性の強さがぎゅっとつまっていたコーナーになっていたと思います。



展示室10 日本画

小倉遊亀「浴所その一」(写真左)

タイルの直線が湯で歪んで見える。浴槽の中の湯の緑が目に優しい。

直線が多い中で女性と湯が曲線で描かれていて引き立って見える。


福田平八郎「雨」、徳岡神泉「刈田」

山種美術館で見て以来、雨に再会。

ミニマムで構成された画面が光ります。なんてことない景色が何と美しいことか。

そして隣の刈田。

こちらはタイトルがなければ抽象画にも見えてくる。

切り取られた根のあたりが手のようなフォルム。



この椅子がなんとも雰囲気があってよかったです。

写真左奥の加山又造の春秋波濤は波の描写が面白い。

波濤のスクラッチした傷みたいな線の神経質な感じ、たまりませんね。



展示室11 疑うことと信じること1


横尾忠則のシルクスクリーンは圧巻!

左の「責め場」はエッヂの立った表現にズキリと来る。色彩のずらし加減でこうも効果的に響く。

右の人物のはどうしてもアプローチとしてウォーホルが脳裏をよぎってしまう。でも、よくみるとまるで違うんですよね。

草間彌生の作品はこのコーナーでは合ってなかったと言わざるを得ないなあと。



展示室12 疑うことと信じること2

高松次郎「No.273(影)」(写真右)

これは何度見ても好き。

そぎ落として線を減らすのは勇気が要る。

シンプルな構成のものだし一目見たら必ず残る。

画面左の奥も必見。作家というのは設計図を遺せばいいのだなあと。事実それで後にこういう展示も出来るのだなあと。



展示室13 海外作品とMOMAT

マックス・エルンスト「つかの間の静寂」(写真右下)

以前に横浜美術館でエルンストの展示(フィギュア×スケープ)を見た時にはあんまりいいと思わなかったのですが、今回はこれが妙によいなと思いました。

しゃがんで目線を画び正対させてじっくりと眺めてました。

なんだろう集中して見てるのにこの解脱する感は?

あと、フォンターナのナイフで切ったキャンバスのあの付き放された感はお見事。

絵画でもないしもちろん彫刻でもない。平面からの概念の乖離と物質の間で宙ぶらりんになる放置プレー、万歳!


そしてパウル・クレーも。

線と色彩に詩情が載って響いてる。

寓意と遊びでこさえてるんだけどもやはりこの豊かなバリエーションには参りましたってなってしまう。



アンリ・ルソー「第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神」

このフラット感のある画面、たまりませんね。

奥行きも描かれているもののやはりどこかのっぺりとしてて一目でルソーって分かる安心感。


第一部だけでかなりのボリューム。

第二部はかなり時間をかけて見ないと書けないくらい。

原爆、戦後からの流れと美術を追う試みの展示はそうそうお目にかかれない。

冒頭から被爆された方の写真にガツンとやられた。

土門拳の写真。

絵画では中村宏の「砂川五番」、山下菊二の「新ニッポン物語」の力強い表現が印象に残りました。

「砂川五番」は初見でノックアウトされた覚えがあります。

基地に反対する彼岸と此岸。おかしなパースペクティブ、小さい坊さん。

「新ニッポン物語」の戯画化されてはいるものの浮かびあがるグロテスクな表現はむしろ直接に描かれた表現よりもぐっときてしまう。

河原温の「浴室」は見てて気持悪くなるのだけどもこのバリエーション、変節の表現は必見。

第二部は内容が広すぎて印象に残った部分のみ挙げてみました。


この「美術にぶるっ!」は東京国立近代美術館の本気具合の伝わってくる内容だと思いました。

収蔵を大切にする姿勢に好感を覚えますね。

1/14まで。必見です!
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