府中市美術館で開催中の「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」に行ってきました。
このタイトルであれば期待出来そうです。
やはり、以前にここ府中市美術館で開催された「動物絵画の100年 1751-1850」はとてもよい内容でした。
応挙や蘆雪、それに若冲の描いた動物たちに満足だったのです。
いきなりチラシのビジュアルにも若冲ですからね。
京都国立博物館での小特集「伊藤若冲」、東京国立博物館での「対決展」に続いて、3度目の対面となる、伊藤若冲「石灯籠図屏風」。
やはり唯一無二の墨によるドット描写!
石灯籠はこのドット描写ですが、松や鳥は普通の描写できちんと描かれています。
他にもこの手法で作成された作品とか発見されると楽しいなあとか妄想しちゃいまう。
○曾我蕭白「山水図押絵貼屏風」
水墨テクニックを全部使いましたってくらいにバラエティーに富んだ内容。
筆の勢いで描ききってるかと思いきや、墨をぼかしていたりと面白い。
基本、やっぱりテクニックのひとなんだなあと。
○原在中「富士三保松原図」
今回はやたらと富士山を描いてるのが多かったのですが。その中で最もいいなと思ったのがこの「富士三保松原図」。
富士山以外はびっくりするくらいに細かい描写。でも、富士山はすごくシンプルな千で描かれている。
こうすることで富士山だけが大きいというのが際立ってますよね。
なんというんしょう、画面の中に気品を感じさせてくれるのです。
○墨江武禅「月下山水図」
入口を入って右側を見終わった後、左に入っていきなり出会ってびっくりしました。
墨の滲みでパーツが浮かび上がるかのよう。部分的にはネガポジを反転したかのよう。
ちょっと他にあまり見ないトーンだなあと見入ってしまいました。
○土井有隣「西洋海浜風俗図屏風」
描いてる対象が外国の景色、人物ということもあるのですが、全く日本というものが感じられないのです。屏風という作品の形式と作者が日本人であるということ意外には。
目に入って、いきなりええって感じ。とにかくやられたなっていう印象ばかりが残りました。
さあて、これで終わりかあと思ってたらラストにすんごいのが待ち受けていました。
○伊藤若冲「石峰寺図」
やっぱり若冲、やってくれます。
最後はずーっとこれを見ちゃってました。
石峰寺図を俯瞰して描いてるのですが、出てくるお坊さんたちのシンプルな描写ったら。ユルすぎです!
このフォルムを見て、初めて若冲が下絵を描いたであろう石仏=石峰寺の羅漢につながるなあと思いました。
グレーと白で描かれてて線はシンプル。
随所に若冲エッセンスが見られて、楽しくなります。
池の上(?)のお坊さんたちの行列には獅子と象が登場。
この象が小さいながらも若冲のタッチなのが分かってうれしくなる。
あと、中央に門があり、その両脇にいるのはおそらく仁王さんだと思うのですが、彼らもまたかわいく描かれててびっくりとします。
かわいく描かれた布袋さんやなんかは見たことありますが、仁王さん(たぶんだけども)をかわいく描いてしまうのってあまり見た事がないような期がします。
たくさんのお坊さんがいろんなことをしてるので、その様を見てるだけで飽きません。
最後の最後にうれしい誤算でしたよ。
5/10まで。ただし、展示替えがあるので確認して行ったほうがよさそうです。
期待して出かけましたが、それ以上の内容で嬉しい誤算でした。
「石峰寺図」は画像すら見たことなかったので、ビックリしました。
若冲漫画といったら良いのでしょうか。
何時間もこの前に立っていたい!と思いつつ、別れを惜しみました。
同感です。
まさか、若冲のでこんなにユルいのがあったとは。
さすが、京博はいいの持ってますよね~。
>とらさん
>若冲漫画といったら良いのでしょうか。
あっ!その表現、言い得て妙かもしれないですね。
面白かったのは周りのお客さんが全然、この絵に注目してなかったこと。
とにかくかぶりつくようにして堪能してきましたよ。
晩年の若冲の境地はこんなに緩かったのかと
うれしくなりました。
このタイプの作品が他にもあったらさぞや面白いのではと妄想してしまいます。
>最後はずーっとこれを見ちゃってました。
見ちゃいますよね。この作品だけは前も人だかりでした。
なんか作風にバラエティがあってとっても楽しめました!
やはり、府中はやってくれます。期待どおりでしたね~。
石峰寺図、前期のみというのはもったいないですよね~。ああ、やっぱり来週あたり行くべきか。。。
石峰寺図は若冲の頭の中の
理想の設計図のようなものでしょう。
スライドレクチャーがシンプルで
とても良かったです。
>石峰寺図は若冲の頭の中の理想の設計図のようなものでしょう。
なるほど。そう言われてみるとあの門の形は理想を追い求めてああいうふうになったと考えると合点がいきます。