実は元旦の夜に一度訪れていた森美術館の「医学と芸術展」。
初めて年間パスポートを購入。
もう一度見て書こうと思っていたのです。
そうしたら、「森美術館 パスポートメンバーズ ナイト(2/16)」のご案内なんてメールが来てるじゃあないですか~。
しかも、広瀬麻美さん(森美術館プロジェクト・マネージャー)のギャラリートークもあるとのこと。
これは行くしかありません。
去年の熟女クラブでお世話になった広瀬さんのお話は是非とも聞きたいところ。
というわけで寒い中、19時に森美術館へ。
おおー、メンバーズナイトというだけあってほんとに人が少ない!
そして19時半からギャラリートークがスタートです。
あらかじめ渡されたワイアレスで聞くので内容がきちんと聞き取れます。
以下、聞くことの出来たお話を箇条書きにて。
<第1部 身体の発見>
○冒頭の壁に「wellcom collection」とあるがこのwellcomはスペルミスでないとのこと。ウェルカム財団のウェルカム氏の名前のつづりがこのスペルだそう。
○入ってすぐの解剖図2点。18世紀フランスでの解剖図はひとが活きてるかの如く描かれている。なるほど、皮膚をめくられた女性も、原をあけられた赤子もふつうの表情とふるまいでよく見ると異様。こういう解剖図のコレクターもいたそう。
○子宮の中の赤子の状態を描いたものは写真よりもむしろ鮮明に状態がわかる。
○でっかい遊具みたいなレントゲン機。これはデザインがかっこいいのでセレクトしたそう。
○マグナス・ヲーリンの映像作品「エクササイズ・パレード」は骸骨が主体、筋肉が客体として描かれており、ボールは痛みだそう。だから、骸骨はボールを恐れるのだそう。
○ダ・ヴィンチの「頭蓋骨の習作」「脳室」「肝臓の血管」についてはエリザベス女王陛下からお借りしたとのこと!
○このダ・ヴィンチののスケッチに描かれている文字は左ききであることもあって右から左に描かれており、さらに文字が左右反転している鏡文字になっている。
○このダ・ヴィンチの3作品の展示にはLEDがしようされているが足元の低い位置から照らしてるので横から覗き込んでも影が出ないようになっており、今回の展示のために新たに開発されたそう。
○何気にミケランジェロのスケッチが一点展示されている。
○黒田清輝の描いたレンブラントの模写。この被写体となっているのは解剖学シアターという見世物だそう。
<第2部 病と死の戦い>
○蜷川実花の義足。義足のモデルの女の子が初日にこの義賊をはいて歩いてたのがすごくかっこよかったとのこと。
○五百羅漢像。大蛇の口から羅漢が登場。→来年3月江戸東京美術館でやります!(宣伝)
○大隈重信の義足。これは思ったよりも軽かったそう。早稲田大学の所蔵。(←やはり!)
○人工肺。でっかいふいごの力で呼吸させる装置。でもこのふいごの上にコーヒーカップの跡が!広瀬さん曰く、お見舞いにきたひとがお茶飲んでたんではないかと。
○エクササイズ・チェア。リハビリ用。デザインがかっこいい。今回のトークで広瀬さんの好みのデザインがわかったような気がする。
○スージー・フリーマン&リズ・リーのピルを縫いこんだスカート。ピルにより人生設計できるようになった女性。
○礒江毅「バニータスⅡ(闘病)」禿げているががんで抜けたのではなくもともと禿げていたそう。死を連想させる作品だが、虹みたいのが見えて実は希望みているのではないか?口の横の泡みたく見えるのが空也の口から出てるののイメージ?
○ヴァルター・シェルス「ライフ・ビフォア・デス」。闘病中とその死後すぐの写真。特に若い子、中学生や小学生にが印象に残るという感想が多かったそう。
<第3部 永遠の生と愛に向って>
○アニー・キャトレル「五感」視覚が一番脳の使ってる領域が大きくて、味覚が一番ちいさい。
○フランシス・クリック「最終版」と記されたDNA構造の論文下書き。finalversionって書かれてる。しかもかなり重要な論文なのにたった4枚。ノーベル賞を取った後、講演依頼が来てそれを断るためにあらかじめ断る旨を印刷したはがきを刷ってたらしい。
○ステラークは実際に広瀬さんはお会いして、腕に埋め込まれたシリコンの耳をさわらせてもらったそう。硬かったとのこと。彼はこの耳にワイファイを埋めこみ、ネットに接続。この耳に聞こえる内容を全世界に流す計画らしい、
「聞かれたくない話は?」と聞いてみたら、「その時は切る」のだとか。
○エドワルド・カッツのくらげの遺伝子を用いて光るようにしたうさぎは残念ながら映像が現存していないそう。というのもその研究をやってたラボが倫理的な問題で閉鎖されてしまい、この蛍光うさぎさんの行方も不明だそう。だから、展示はラムダプリント。
○ヴィクティムレス・レザー:テクノサイエンス的「身体」で育てられた縫い目のないジャケットのプロトタイプ。
人とマウスの皮膚細胞を培養しているが年明けに一度、カビが混入して殺してしまったそう。その後、再会して現在鋭意培養中。
○ロナ・ポンディック「クリムソン・クイーンメイプル(しだれモミジ)」
これは木でなくステンレスだとか。なあんでも400キロあり搬入は困難だったとのこと。
ところどころ、笑いをうまく取り入れてなかなかに飽きのこない楽しいトークでした。
終わったあとに久しぶりに広瀬さんとお話できて満足でした。
ありがとうございました!
医学と芸術展は2/28まで。