「蕭白ショック 曾我蕭白と京の画家たち」に行ってきました。
4/30まで展示の作品が多いとのことで言ってきました。
☆高田敬輔「山水図屏風」
雲のもくもくした感じがちょっと他ではあまり見たことのないタッチだなあと。
それ以外の部分は普通に山水画なんですが。
☆大西酔月「花鳥人物図押絵貼屏風」
12面ある中でいいなと思う面が3つ。
布袋さんが袋の上に子供を2人乗っけてるのと、笹に隠れるかのようなスズメ、そして飛び降りるリス。
なんとなく画面から作者のあたたかい目線が感じられました。
☆曾我蕭白「林和靖図屏風」
すごく気になったのが太く短い黒のぼつっとしたの。
流れるような木の途中にいくつも描かれてる。枝もすごくてろてろに描かれてて脱力系。鶴や小鳥はけっこうしっかりと描いてるのがまた対照的。
これが破綻することなくひとつの画面で調和がとれているのがすごいなあと。
☆曾我蕭白「鷲図屏風」
なんと鷲がその爪で襲うのはサル。
画面右に描かれる鷲がとにかくでかく羽根のまだらみたいな描写と幹の豪快な太い線が鮮烈な印象。
☆曾我蕭白「寒山拾得図屏風」
ちょうどキャプションに「拾得はレレレのおじさん」と書いてあった。
寒山拾得は二人で一人とか、片方は分身とされるなんて言われている。寒山は巻物、拾得は箒を持ってる。
というとやはり対であるという考えだと巻物ではなくピストルの目玉のおまわりさんが寒山でレレレのおじさんとペアというのは納得。
で、今日、見てて閃いてしまった。
その寒山は人物のみで描かれてて、巻物はというと後ろのテーブルに載ってたのです。
んで、そこにある物を見て謎が解けた。
なんとそこには瓢箪が!
あっ!!これっておまわりさんの目玉の形じゃあありませんか!!
なーんて発見をしてひとり興奮してたのです。
さあて、絵としてはというとものすごく濃厚な描写。
これでもかという筋肉の描写。そして拾得の着物の描写が渦を巻いてるかのようでフラクタル的にも見える。
落ちるはずの滝の水が跳ね返る描写の波頭もひっくり返ってしまっててもうなんともおかしな描写。
☆曾我蕭白「獅子虎図屏風」
この表情が楽しいですね。
会場に来てた小学校低学年くらいの子がとても楽しそうにしてるのが印象的でした。
2匹ともキャラとして立ちすぎですね。
木に登ってるとはいえ、全身がどうなってるか分からない獅子の体の描写がちょっと面白いなあと。
☆曾我蕭白「竹に鶏図」
鶏の顔はかなり丁寧にきちんと描かれているものの他の部分は勢いのある水墨といったふう。
異なるテイストを一画面に放り込んでしまってる。
尾の周囲を地の白で残してその周りをさらに墨で少し暗くするテクニックはさすが。
黒い毛虫がいっぱい張り付いたかのような体躯は怖いくらい。
☆曾我蕭白「鷹図」
なんと紙本着色。
鷹や植物はしっかりと色が着いてるものの木はどちらかというと淡く塗られているように見えました。
水墨のイメージでしたがカラーもばっちり。ちゃんとトーンの使い分けも出来ててお見事。
☆曾我蕭白「竹林七賢図襖(旧永島家)」
五人と二人それぞれが別途描かれている構成が面白い。
真ん中に描かれる後ろ向きのひとりに惹かれる。
雪の降り積む中、ひとりすっくと立ち。
彼は確信を持って皆と違うところへと向かうのだろう。背中にその決意がみてとれる。
☆曾我蕭白「波濤群禽図襖(旧永島家)」
この波濤が激しくて怖いくらい。
未知の生物かのよう。
波濤の伸びたしゅるるとした触手みたいなのの後ろに線が何本もならんで構成される渦が怖さを増してる気がしました。
☆曾我蕭白「伯顔図」
墨の見せる濃淡のクオリティが一番高いのがこれかと思いました。伯顔はモンゴルの将軍。
☆曾我蕭白「仙人図屏風」
左隻の鯉の下の波濤がやばい。
前述した波濤群禽図襖はワイルドで荒々しい描写でしたがこちらはむしろ洗練されたデザインのようで線の細さも相まってシャープな印象。
☆曾我蕭白「孔雀図」
略筆といいつつもむしろ薄い墨のグレーで描かれた孔雀は独特の味があって見事。
地の白の塗り残しのバランスが心地よいような気がしました。
☆曾我蕭白「虎渓三笑図」
モノトーンの山水。
斜めの線とカクカクしたラインが印象的。
洗練されたグラフィックはデザイン的、イラスト的だと感じてしまいます。
そして気になったのは雲だけ横のストライプになってるところ。あの意図はなんなんだろう。
☆曾我蕭白「瀟湘八景図屏風」
チカラの抜き加減がすごい。
今回、一番すごいなあと思った作品。
線が緩くて面白い。
雲の際の線の破れているところなど見事。
とにかく線を目で追ってて楽しめる。
☆円山応挙「富士三保図屏風」
これには参りました!!ほんとにやられましたって感じです。
墨の滲みによって表現された松ったら。
部分でみたらこれは抽象絵画です。
山の稜線と手前の松って認識があるからそう見えるだけで。
☆伊藤若冲「雷神図」
何度みてもにんまりしちゃう雷小僧。
かなりアクロバティックなポーズ。風の描写の黒い墨の線がばっちりと決まってる。
☆伊藤若冲「関羽図」
今回の若冲の作品ではなんと若冲の人物画にしては珍しくゆるくない。
人物はどちらかと言えばゆるくかわいいのが多い若冲。
でもこの関羽はとてもきちんと描かれている。
少し釣り目でキリっとした印象が残る。
でも、持ってる刀の刃の付け根の飾りが龍になってて遊びはちゃんと忘れていないなあと。
ちょうど上野の東京国立博物館で開催中の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」でも蕭白の作品が多数展示されているので併せて見ておくのもよいでしょう。
5/20まで。
ただし展示替えがあり4/30までの展示のものが多いです。作品によって前期は4/30までと5/6まで。後期は5/2からと5/8からのものとに分かれます。
なおリピート割があり、1回目に見たチケットを持ってくと2回目は半額料金となります。