あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

奇跡のクラークコレクション(三菱一号館美術館)

2013-05-18 13:50:28 | アート系

会期も残り短くなってきた「奇跡のクラークコレクション」に行ってきました。

三菱一号館は今もパスを持ってるのでやはりこれは行かねばと。

何だか久々に西洋の絵画を見て満足。

江戸絵画も好きだけど見ればやはり洋の東西、古今を問わずいいものは好きなのだなあと実感。

ルノワールが多くなんと20点以上も。モネ、ピサロ、ドガ、ロートレックと充実の内容でした。

今回の展示はクラーク美術館の増改築工事のタイミングで実現したとのこと。

ということは次にまた日本でいつ見られるのかどうかわからないということですもんね。

震災直後は海外からの貸し出しもキャンセルが相次いで心配したものですがこういった展覧会が開催されることに少し安堵しております。


「海景、嵐」クロード・モネ

まず色がおかしい!!

灰色の空、エメラルドグリーンの水平線付近の海。

波と雲のざっくり描写もよろし。




「小川のガチョウ」クロード・モネ

えっ!

この水面の描写ったら。

青の波紋がなければただの道に見えてしまうくらい。

見て、やられた!参った!って思ってしまう。



「劇場の桟敷席(音楽会にて)」ピエール・オーギュスト・ルノワール

チラシで何度も目にしてたビジュアル。

さすがに人気でここだけ人が多かったです。

印刷物で見てた時には正面を向いた女性に目が行ってたのですが、実物を見てみると右の後ろ向きの女性の髪の美しいことったら!

ブルー、紫の入ることで黒髪の艶やかさが見事に現されている。

ここだけでお腹いっぱいというくらいの満足感でした。



「自画像」ピエール・オーギュスト・ルノワール

これは同じタイトルで2枚。ひとつはリスト番号48。こちらは1875年頃のもの。

意外にも絵具厚塗り!

ルノワールといえば線の流れるあのテイストが目に優しいのだがまるで違う。

肖像画と自画像は異なるものだという認識なのだろうか。

見た印象としては重い。

一枚挟んで隣にあるのがもう一枚。リスト番号69で1899年に描かれたもの。

20数年を経て描かれた自画像は印象がまるで異なっていた。

落ち着いていて表情も柔和。

時間はこうもひとを変化させるのかと。

技法として、人物自身として。



「男の肖像」エドガー・ドガ

顔の描写は精緻で肌もつややか。

ところが画面の中心から周辺に視線が移動していくとおかしいことになる。

あれ?

テーブルも手もなんだかざっくりとした描写。




「タマネギ」ピエール・オーギュスト・ルノワール

なんてことないのだけども静物画でタマネギというのが面白い。

しかもルノワールのあのエアリーなタッチです。

うん、かわいい!

これはポストカード買っちゃいましたよ。いま飾っています。



「カルメン」アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

ロートレックはやはり版画が多いので油彩は他のよりもしっかりと見てしまう。

背景が黒、人物のシャツも黒。

この背景の黒の塗れていないところの狭間い気配、雰囲気が出ている。

あと目の異様な表情が気になりました。



「犬と女」ピエール・ボナール

小さな作品だけどもやっぱりボナールの変さ加減が満載で満足。

窮屈なくらいに詰め込んだ画面。

犬と女性、背景にも人。

服のチェックやまだら模様が妙にいびつな感じを与えてくれて強烈なインパクト。

でも、実は地味な色使い。


というわけで見所多く満足の内容でした。

5/26まで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かわいい江戸絵画 後期展示(府中市美術館)

2013-05-05 13:48:28 | アート系

府中市美術館で江戸絵画のタイトルを冠する展示であれば間違いなく面白いだろう。

2007年の「動物絵画の100年 1751-1850」、2009年の「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」、2012年の「三都画家くらべ-京、大坂をみて江戸を知る」とどれも楽しめる内容だったので今回の展示も期待しておりました。

既に会期は終盤(※本日5/6まで)。前期・後期に分かれてたものの前期は見逃しておりました。
(リストを見ると前期、後期のいずれかで前後期通しでの展示されている作品はなし。しまった~)

連休中ということで府中駅からの小さな100円バスは大混雑!

ほとんどの方が美術館で降りられていました。

まずはショップをチェック。

一枚の張り紙があり、なんと図録は5/1に売切となっていました。

残念!でも、それだけ人気というのは展示内容に胸躍らせてしまいますね。

見終わって思ったのはとにかくニコニコしちゃうなあと。

描かれている動物、人物がかわいく可笑しく招福イメージのものも多く素直に楽しめました。

さて気になった


「虎図」

一発目がこれ!墨の青い線ともりもりしたフォルムとユルい漫画ちっくなタッチがどことなくドラえもん!

見てたひと複数からこの感想が出てきててすごく納得。

実際の虎を見て描いてたらまるで違ってたんでしょうねえ。

リストの作者のところには「伊年印」とありましたが作者は不詳で、「伊年」の印があることでこう書かれていたのでした。


「狗子図」俵屋宗達

墨の黒のぬらっとした感じ。

フォルムも実際の犬とは違ってこれは宗達ならではの独特なテイスト。


「三猿図」森狙仙

狙仙の猿は一番しっくりとくる。

見ざる、聞かざる、言わざる。

「見ざる」は猿が腕で顔を覆い、水面に映った月を見ないというもの。

「聞かざる」は耳に掌をあてて、上方の鳥の声を塞いでる。なんとなく昔のウォークマンのCMで猿がイヤフォンして気持ちよさげに佇む様が頭に浮かんだ。

「言わざる」は花の下で口に手をあてている。猿がつぐんだ言葉、いや叫びは何だったのだろう?


「蛙図扇面」与謝蕪村

蛙が三匹。

描いた線はもう記号みたい。

実にシンプル、かつミニマム。

書画を両方こなす蕪村であることでなお響くなあと。


「唐獅子図押絵貼屏風」曾我蕭白

表情がマンガなんだけども実にいい味が出てる。

あと、顔の目と鼻と口の構成が可笑しい。特に向かって左の獅子の顔の構成が建築的だなあと。

画面全体も勢いで描いただけではなく画面構成がきちんと出来ている。

崖の上の獅子、突き落とされた獅子、這い上がる獅子が同一のもののようにも見えるし親子のようにも見える。


「東方朔図」伊藤若冲

人物の絵なんだけども筆使いに魅了される!

着衣のアウトラインの濃い墨の筆運びに気持ちいいこと。

かと思うと同じ画面上に描かれた桃の繊細な描写も楽しめる。


「狗子図」円山応挙

こちらを向いて座ってる子犬とその横で背中を向けて座ってる犬。

お互いを見ているのだろうけどもなんとなくこの二匹が鏡向かいにようになってるかのように思えた。

自画像みたいなイメージもちょこっとだけ入ってるのかなあなんて思ってしまった。


「群猿図屏風」長沢蘆雪

猿というとどうしても前述した森狙仙のがパッと浮かぶのだけども蘆雪のも負けていない。

モノトーンの画面が美しい。

こちらのほうが仕草の感じが人に近い?からか?描写自体の落とし込みなのか。

画面右の山の墨の塗りがワイルド。

白い部分の残し加減がなんともいえずよい感じ。


「豊干禅師図」円山応挙

目を閉じて安らかな顔の禅師のその下いは、、、虎が!

虎も同じく目を閉じているのだけどもこの丁寧に描かれた表情はなんだろう!?

かわいい猫がそこに寝てるかのよう。

とても愛らしい。

いつまでも眺めていたくなるほど。


「河豚と蛙の相撲図」伊藤若冲

うわー!!!

こんな面白い絵も描いていたとは!

蛙の目と河豚のぬぼうとした表情がなんとも可笑しい。

しかし何でまたこの両者?と思ってたところキャプションを見て納得。

河豚とヒキガエルは毒を持つもの同士とのこと。

意味は納得。賛もその辺りが触れられているのだろうか。

しかし絵の面白さに惹き付けられるほうが勝ってしまってる。


見終わってやっぱりにんまりとしてしまった。

よい絵を見た満足感、そして何よりもかわいいものを見てにこにこしちゃう高揚感と。

図録の売切はある程度想像してたのですがまさかポストカードも大半が売切になろうとは。

またこういった江戸絵画シリーズの展示、期待していますね。


※本日5/6まで。

<関連記事>
三都画家くらべ-京、大坂をみて江戸を知る(府中市美術館)
山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年(府中市美術館)
動物絵画の100年 1751-1850(府中市美術館)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする