あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

横山大観の富士(平塚市美術館)

2014-11-10 23:08:09 | アート系


平塚市美術館で開催されている「横山大観の富士」に行ってきました。

場所としてもちょうど東海道にある平塚。

場所によっては富士山を臨むことが出来ます。

大観といえば富士山です。このくくりでどれだけのバリエーションを見せてくれるのかが気になるところでした。

50点弱で同じモチーフへの豊富なアプローチ手法を堪能出来ました。

さて気になった作品について書いてみたいと思います。(※タイトル冒頭のナンバーはリストに掲載のBANNGOUとなります)


21.霊峰之秋

薄いMIDORIに花のSIROが映えている。富士も白く呼応するかのよう。
画面上、松のみがはっきりとしていて他のBUBUNとの対比がはっきりとしている。でも、むしろこの松があることでバランスが保たれている。


2.富士山

絹本。水墨で縦位置の掛け軸。なんとも色香の漂っているいることか。

丁寧に描写された表面は柔らかいトーン。手前の靄と山の上に立ち昇る陽光のゆらぎ。


3.富士・美保図

六曲一双の屏風。

富士山はざっくり描写。青と白のシンプル。靄は白いアウトラインぎりぎり。逆に松のごつごつとした部分は細密に描写されている。

ここでも対極的な描写がひとつ画面の中に居合わせる不思議。


6.群青富士

こちらも六曲一双の屏風。

画面全体は金バックの空と3分の2を埋め尽くす白い雲。

右隻にひょっこりと富士山が顔を出している。

左隻の下のほうに緑の岩。この緑の中に茶色というか木の色が出てるかのような箇所がみられる。

地の部分の木を生かしてるのかが気になりました。

この部分だけ妙に生々しいんですよね。


5.霊峰日月

三幅対の掛け軸。

左に月。こちらは水墨、モノトーン。

右に太陽。こちらは彩色があり黄色。

そして中央に富士山。縦長にデフォルメ。何かおかしいのだけどやっぱり富士山。


8.霊峰十趣・夜

月と富士山。

単純化したフォルム、着色だけど色彩もシンプル。

絵として他と比較した時に持って行き方がまるで違ってることに驚かされる。


12.初秋黎明の富嶽

富士山が顔に見えた!

というのも白い部分が下に大きく広がっていてなんとなくヒゲに見えたから。

ポートレートみたいに見えてしまって面白かった。


15.秋色武蔵国

これは秋草が主役。富士山は画面左奥にどんとそびえてる。

少し寂しげな秋の色合いになんとも心くすぐられる。


23.砂丘に聳ゆ

背景と同じ金色の富士山。山頂の白とかすかなアウトラインでなんとか区切られている。

波のうねりが連なって浜にせり出してきてる。

このカーブで水平と上空からの目線とが狂わされてる。見ててあれれとなる。

これ絵の楽しさ。


30.日本心神

黒っぽいとてもハンサムな富士。

富士山に後光が!薄い朱色の光の放射。

なんとも有難い感があります。


31.神州正気

金地に水墨の屏風。

右隻の富士山の下が靄に隠れてしまっていることで浮かび上がっているように見える。

不安定に見えてしまいかねないのだけども下にHAITIされた松と稜線の延長を感じることでそうはなっていない。

左隻の遠景の松と山々が薄くなっていて近くで見るとそうでもないのだけども少し離れてみるととてもしっくりとくる。


35.春光る(樹海)

水墨なのに色を感じる。

木々の描き分けがしっかり出来ているからこそ。

そしてすごく気になったのが木々の間の靄とおぼしき描写。

カクカクした幾何学模様的テイストでとても怪しい感じを醸してる。


37.蓬莱山

縦横ともに2メートルをゆうに越える大サイズの作品。

手前の険しい山々のその遥か向こうの神々しい富士山。

この後光の気持ちいいこと。

雲海の連なりを突き破って出てきたかのよう。


45.霊峰飛鶴

海老茶とブルーのコントラスト。

これのみな色使いが味わい深い。


この他に「或る日の太平洋(習作)」が5点。

順を追って完成へと近づいてくのがわかる。

デッサンに色が乗った状態から着彩のしっかりとした状態に。

これって完成した作品があるのだろうか?もし存在するのであればこの会場で見たかったなあと。

と思って調べてみたら国立近代美術館の所蔵のよう。常設展示で過去に見ていたかもしれません。今度、行ってみたら注意して見てみたいと思います。

11/24まで。
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町田久美 -Painting, Drawing, Print-(西村画廊)

2014-11-10 00:28:40 | アート系


久々に西村画廊へ。

「町田久美 -Painting, Drawing, Print-」を見てきました。

9階に移転して初めて行ったのだけども大きさは以前よりも小さくなってました。

まずはドローイング。

「かぎあな」
長い髪の間に顔があるべき場所には細長く伸びたひょろっとした家。こういうトーンでもアリですね。

「習作 ー新聞猫のためのー」
今回見た中で一番小さい。猫をまま描いててちょっとびっくり。意外や意外。習作だからこそか。

「鍵穴」
ブルーに月。グリーンに家。

「明星」
黒い雲に刺さるたくさんのはしご。

「翅」
これ、何て読むんだろう?金色の髪と眼。

「新月」
歯のようなフォルムの間に這うかのようなヒトみたいなのの横向き。いろいろと想像を巡らせる。

「インディアン・サマー」
眼が印象的。これが一番以前から思い描く町田さんの作品のイメージ。

「露点」
これは元は版画の「よつあし」をベースに制作されている。過去の作品について手を加えることで変化がどうなるのか。今後も興味があるところ。


ペインティングは「遺跡」1点のみ。リストにはもう1点「夕映え」という作品名が載っていたがこれは間に合っていないのだそう。残念。

「遺跡」は町田さんの王道スタイル。

雲肌麻紙(以前と変わってなければ、のはず。)にじりじりと時間をかけて描かれた線。

白いキャップをかぶったひと。眼をつむりもう一人の方に顎を預けている。

背中には階段状の突起。一番上の段には指輪状のリング。

もうひとりはというと頭があるべきところが臀部みたいなフォルムで足みたいなのが水平に伸びてく。ストッキングみたく黒くなってる。

こうやって活字で書いてても謎なシチュエーション。

異様なのだけどもどこか安らぎを得られる不思議。

そして最後は版画。

「みずうみ」

「前夜」
「前夜(green)」
以前に高島屋の展示に出てたサンタ帽から手の出てるもの。赤バージョンと緑バージョン。

「手紙」
以前に見たものを版画化した?涙を手でつかむ仕草にぐっとくる。

「二夜」
瞳が金色、二つならび。目の際の赤とブルー。

「オンナノコ」

「あたらしい服」
「木馬」
「宵」
「飼う」
「山」
この5点はキドプレスで発表されたシリーズ。

「深さ」
意外にも銀の線が合っていた。

「よつあし」


最初は少ないかなあと思ってもみたのだけども、結構じっくりと見入ってしまうとなかなかに離れ難くなってしまう。

ドローイングも面白いし作風の新たな展開も感じられるのだけどもやはりペインティングの新作をまとめて見たいなあと思いました。

11/15まで。


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