出光美術館で開催中の「ユートピア ―描かれし夢と楽園―」を見てきました。
あまり期待はしてなかったのですが、さすが出光です。
やっぱりいいものを持っています。借りてきてるのもありますが、大半は出光所蔵の作品です。
布袋図
今回、初公開だそう。
寝入る布袋さん。
バックの月のシンプルな描写。袋にもたれて安らかに眠る様はなんともいえません。
青白磁刻花蓮池分枕
陶器の枕って使うことを考えるとあまりいい気持ちがしなうのですが、これは造形が素晴らしかったです。
台座の部分が蓮の葉のデザインになってて、枕の下の部分の蓮の花も咲いている。
実用はともかくも、気分的にはなんとなくいい夢が見られそう。
「涅槃図」斎藤秋圃
亡くなった仙を釈迦に見立てて描いたのだそう。
大筆の見る夢から飛び出たフキダシのようになってる構成の妙。
涅槃図で釈迦の死を悲しむ動物たちになってるはずのところが、仙愛用の品々になってたりする遊びが面白い。
「寿老四季山水図」池大雅(※部分。これは中央の一幅)
なんと五対幅です。
中央に寿老人が構え、その左右に2幅ずつ趣きの異なる風景が並びます。
向かって左から2つめの細い線でするどく描いた草が印象に残りました。これだけ異質。でも、このリズムがないと5対は成り立たないなあと。
「福禄寿・天保九如図」円山応挙
今回、一番好きな作品。中央の福禄寿がなんとも味わい深い。えもいわれぬ表情。
やはり応挙はいいなあ。丁寧かつ品格があるのですよね。
「百寿老画賛」仙
百歳が百人!なんてとんでもないモチーフ。でも、実際には120人ということでさらに驚きます。
仙は楽しいです。みんなへにゃへにゃなタッチでゆるーく描かれてて、かわいい。
「美人鑑賞図」勝川春章
浮世絵(錦絵)に登場するフラットな美女たちですが、この家屋の奥行きの出し方は遠近法。
3Dと2Dを融合してうまく処理しちゃってるアニメに通じてるかも。
にしても豪華絢爛です。
「秋草図」鈴木基一
小さいのですが、その中にたくさんの植物が描かれています。
なににちっともうるさくない!
ちゃんとしたリズムがあって描かれているので画面が密なはずなのにそうは見えないんですよね。
やっぱり出光はいいなあ~。見終わった後に満足感が残るのはいいですよね。
12/20まで。