杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

素敵なウソの恋まじない

2017年03月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年製作 イギリス 88分

内気で心優しい老人ホッピーさん(ダスティン・ホフマン)は、アパートの下の階に住む女性シルバーさん(ジュディ・デンチ)に恋をするが、思いを打ち明ける勇気が持てずにいた。そんなある日、シルバーさんがペットのカメの成長が遅いことを心配していると知ったホッピーさんは、彼女を喜ばせるために100匹ものカメを買い集め、彼女のカメを少しずつ大きなものに取り替えていくが……。

 

大人のハートフルラブストーリーというにはどこか甘くて(スイートというのではなくユルイというか)浮世離れしてるなぁと思ったらロアルド・ダールの児童小説「ことっとスタート」の実写映画・・だったんだ~~!

シルバーさんの花柄の装い(胸の開きがやたら大きいのが気になる)や少女趣味な部屋の装飾は嫌いじゃない(というより好きなテイスト)のですが、ついつい「ハリポタ」でイメルダ・スタウントンが演じたアンブリッジを連想してしまいました

また、いくらシルバーさんが少々オツムが弱い(騙されやすい)とはいえ、可愛がってるカメが入れ替ってることに気付かないという時点でありえない。ホッピーさんの計画がKYな隣人のプリングル氏(自分の話しかしない一方的な性格のこういう男性っているよね~!完全にお邪魔虫なのに全く気付いてないし。彼がカメの糞を食べるシーンは遠慮なく笑わせてもらいました。)により台無しになったあと、あっさりカメたちを返してしまうのも変。100匹それぞれに名前までつけて(「ハリポタ」のヴォルデモードの名前までありました。)一緒に暮らしていたのにそんな簡単に手放せるの? (そもそも、そこにかけるお金をもっと別な方向に使えばいいのになんて思ってしまう時点で夢がない私。荒んでるな~

とまあ、突込みどころもあるのですが、恋の力は内気な老人をかくも大胆な作戦に駆り立てる威力があるということですね元が児童書だし、夢があっていいじゃないと広い心で楽しむのが良いみたい。

冒頭からナレーションを務める男性(ジェームズ・コーデン)、最初は邪魔臭いな~と思っていたのだけど、ラスト近くで彼の正体がわかった時に「やられた~!」という感じになりましただから彼はホッピーさんの恋にあんなに詳しかったのね~~ 彼の子供たち(おしゃまな娘と現代っ子の息子)がまたとってもいい味出してます

真実を知ったシルバーさんがホッピーさんの部屋を訪ねて来るシーンでは、彼女がまるっきりのおバカさんではないことに気付かされます。彼女の部屋のベランダにホッピーさんがそっと置いた(彼女が好きだといった)お花の鉢をわざわざ「落ちてました」と持って来たのも、部屋を訪ねる口実だったのね。ホッピーさん同様、シルバーさんも彼に一目惚れしていたこと。エレベーターで毎回乗り合わせたのは偶然ではなかったことなど、言われてみれば・・な腑に落ちようです。そしていくつになっても恋の主導権は女性が握っているという

ホッピーさんのベランダはまるで花園。自転車?の部品を利用して作った水撒き設備や、カメをすり替える際の釣り竿など、随所に工夫が溢れています。元はそういう関係の仕事をしてたのかしらん?

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スーサイド・スクワット

2017年03月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月10日公開 アメリカ 128分

スーパーマンの死後、新たなメタヒューマンへの対抗策として、政府高官のウォーラー(ビオラ・デイビス)は、死刑や終身刑となり服役している悪党たちを使った作戦を思いつく。メンバーは超一流のスナイパーであるデッドショット(ウィル・スミス)、元精神科医でジョーカー(ジャレット・レト)の恋人のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、元ギャングのエル・ディアブロ(ジェイ・ヘルナンデス)、強盗のキャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)、遺伝子が突然変異したキラー・クロック(アドウェール・アキノエ=アグバエ)、縄を使う暗殺者のスリップノット(アダム・ビーチ)ら。彼らはフラッグ大佐(ジョエル・キナマン)の指揮下に置かれ、減刑と引き換えに「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」の結成を強制され、危険なミッションに挑まされるが・・。

 

様々なDCコミックスの登場人物が同じ舞台で戦うアンチヒーロー大集合作品です。しかも彼らが戦うのは政府の汚れ仕事=失敗の後始末という何だか情けない内容で、指揮するウォーラーの方がよほど冷酷・狡猾でした。

フラッグ大佐がウォーラーに従っているのは、「エンチャントレス」と呼ばれる魔女に取り憑かれてしまった考古学者のムーン博士(カーラ・デルビーニュ)と恋仲になった弱みを握られているため。ウォーラーはエンチャントレスの心臓を手中にしているの。(何だか『POTC』のタコ船長を連想させる設定です。)また、メンバーの首にはナノ爆弾が移植されているため、命令に従わざるを得ないというわけです。この時点で、一番の悪党はウォーラーなんじゃないかと思わされるんですが

ところが、支配を拒んだエンチャントレスが、人類を滅亡させることを選んだから大変!怪物に変えられた市民の群れを使ってミッドウェイ・シティを占拠し、弟のインキュバスを召喚してあばれまくるんですね~~

フラッグは護衛のカタナ(福原かれん)やメンバーと共に「ウォーラー救出に向かいますが、ここでハーレイ・クインを取り戻しにきたジョーカーがヘリで登場。彼女はジョーカーと共に逃げるのですが、ヘリが撃ち落とされて仕方なくまた合流。え?ジョーカーそんな簡単に退場しちゃうの?ジョーカーといえば、バットマンの最大の宿敵の筈なんですが、今回はただただ恋人を救うためだけに出てきたような設定で、なんだかな~なしょぼさでした。

ウォーラーを誘拐して心臓を取り戻したエンチャントレスは更にパワーアップ。この事件の発端がウォーラーにあることを知り、一度は離脱したメンバーたちですが、結局彼女を倒すために一致団結して戦うという展開です。アンチヒーローなのにそれでいいんかい??悪役なのに、娘のために良いところを見せたいとか、愛や友情のためにとか、正義のヒーロー顔負けの人間臭い感情で行動するメンバーたちです

エンチャントレスから、忠誠心と引き換えに一番の欲求を叶えると提案され、躊躇うメンバーをよそに、「ジョーカーを生き返らせて」と近づくハーレイ・クインでしたが、本当の狙いは急所である彼女の心臓を取り除くことにありました。

エンチャントレスを倒し、ムーン博士を解放したのも束の間、生きていたウォーラーから再びナノ爆弾の起爆装置で脅され、10年の減刑だけで刑務所に逆戻りしたメンバーたち。(ただし待遇は若干改善された)なんだよ、それ!と思ったら、これまた生きていたジョーカーが、恋人を救出するため刑務所に侵入してハーレイ・クインと再会というオチ。純愛映画かよ!

ウォーラーはといえば、ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)に、メタヒューマンを調査した政府の極秘ファイルと引きかえに自身の保身を約束させています。やっぱ、一番の悪党は彼女だね


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モアナと伝説の海

2017年03月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年3月10日公開 アメリカ 107分

かつて世界を生んだ命の女神テ・フィティの心が、伝説の英雄と言われたマウイ(ドウェイン・ジョンソン)によって盗まれ、世界に闇が生まれた。それから1000年にわたり、モアナ(声:アウリー・クラバーリョ)の生まれ育った島モトゥヌイでは、かつて海を自由に旅したことを忘れ、外洋に出ることが禁じられていた。そんなある時、島で作物や魚たちに異変が発生。幼い頃、海に女神の心を託された少女モアナは、祖母タラ(レイチェル・ハウス)から、いまもどこかで生きているマウイを探し出し、テ・フィティの心を返せば世界を救えることを教えられ背中を押されて、父親(テムエラ・モリソン)の反対を押し切り大海原に旅立つ。

同時上映は短編「インナー・ワーキング」です。判で押したようなつまらない毎日を送る男の中に起きた「もっと楽しく生きよう」という心の変化を描いていますが、本編と「心に従って生きよう」という意味では連動しているけど、子供が観て面白いのかな?

 

何故自分が海に選ばれたのかと自問自答し、悩み傷つきながらも、愛する人たちのために大海原に飛び出したモアナの成長物語ですが、もう一人の主人公は”海”。時に優しく、時に厳しく姿を変える海自体が意思を持つものとして描かれ、その美しさに圧倒されます。これは絶対スクリーンで味わうべき作品ですね。ちなみに、傷つき悩み迷った時にも、自分の心の声に従って生きてほしい、というのがこの映画で伝えたいことなんだそうな。

マウイは人間の両親から望まぬ子、要らぬ子として捨てられたという過去があります。神に拾われて、自由に姿を変えることのできる魔法の釣り針を与えられたマウイは、人間に愛されたくて女神の心を盗んだのですが、逆に世界を闇にしてしまったのです。

さて、航海に出たモアナは海の助けでマウイと出会いますが、彼は最初モアナを拒否して船を奪って去ろうとしますが、何度投げ込まれても戻ってくるモアナに根負けし、タトゥーのミニ・マウイ(彼の良心の象徴かしら?)もモアナに協力するよう働きかけます。このミニ・マウイがマウイの体のあちこちに移動する様がとても楽しいの

二人は航海の途中、ココナツの海賊カカモラに襲われたり(ちっとも怖くないので子供も安心して観られます。)、巨大なカニのタマトア(ジェマイン・クレメント)と戦ったり(お宝大好きで甲羅に金銀財宝を山とくっつけていて、マウイの落とした釣り針も彼が持っていました)と、様々な困難に立ち向かいながら次第に絆を深めていきます。

航海のもう一人(一羽)の相棒が鶏のヘイヘイ(アラン・テュデイック) 全く空気を読まず、すぐに船から落っこちる彼の愛嬌のある姿が笑いを誘います。でも二人が窮地に陥る場面では何故かしっかり手助けしちゃってるのね

テ・フィティの島に辿り着いた二人の前に、溶岩の悪魔テカが立ち塞がります。一度は挫折し、マウイに去られて絶望するモアナですが、タラ婆ちゃんの亡霊に励まされ、再び立ち向かっていきます。そんな彼女をマウイも助けに戻ってきます。テカの真の姿がマウイに心を盗まれた女神だと気付いたモアナは、大事に持って来た心をテカに差し出すの。

闇が晴れ、美しい世界が戻ってくる描写も素敵でした。

マウイと別れ、島に戻ったモアナを優しく迎える父と母(ニコール・シャージンガー)。マウイから習った航海術を村人に教え、再び海を旅するその筆頭にモアナがいました

そしてエンドロールのお楽しみはタマトアの嘆き節

うんうん、君が「アリエル」のセバスチャンだったら・・・ねぇ


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイス・エイジ5 止めろ! 惑星大衝突

2017年03月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年製作 アメリカ 94分

マニーとエリーの娘ピーチは成長し、恋人ジュリアンとの結婚を控えていた。そんな中、巨大惑星が地球に接近していることが発覚。このまま地表に衝突すれば生き物は全滅してしまう。惑星がいつも同じ山のふもとに衝突している原因を突き止めたバックの考えのもとに、マニー、シド、ディエゴら仲間たちの生き残りをかけた大作戦が始まった――!

 

え~~~っと・・・シリーズ4作目って観たっけ?

登場キャラのシドが好きで、特に吹替えの太田さんの声とイメージがぴったりで気に入っていて、敢えて吹替え版で観てます。今回も主役二人の声は変わっていなくて嬉しいな

ちなみにキャストは以下の通り。

シド…ジョン・レグイザモ(太田 光)
マニー…レイ・ロマーノ(山寺宏一)
ディエゴ…デニス・リアリー(石塚運昇)
エリー…クイーン・ラティファ(豊口めぐみ)
シーラ…ジェニファー・ロペス(杉村理加)
バック…サイモン・ペッグ(岩崎ひろし)

さて、冒頭にスクラッとが相も変わらずドングリ追いかけて登場しますが、何と今回はUFOに迷い込み宇宙に飛び出してます。それが原因で太陽系が誕生し、地球に惑星が・・という展開。いくら何でもそれは無茶

一方、地上では、マニーと仲間たちが平穏に暮らしています。マニーは娘ピーチの恋人のジュリアンが気に入りません。これは父親が娘に抱く典型的感情。愛する家族を取られちゃう寂しさですね

マニーとエリーの結婚記念日パーティーの最中に隕石が襲ってきます。避難するマニーたちの前に現れたのが隻眼のイタチのバック(『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』に登場したキャラ)です。彼は地底世界の遺跡から予言の碑を見つけて哺乳類の絶滅を防ぐための手段を見つけようと提案します。(ちなみに過去に二度衝突があって、一度目は無脊椎動物が、二度目では恐竜が滅んだのね)

マニーたちとディエゴ、彼の恋人のシーラ、シドと彼の婆ちゃん、オポッサムの双子エディとクラッシュの一行は過去二度の衝突地点である山麓に行くことにします。バックに恨みを持つ翼竜の親子が現れ一行の邪魔をしますが、飛べても絶滅は免れないと知らされて協力することになるのはいかにも子供向けの展開だね

山に着いてみると、前回衝突した小惑星の空洞には、シャングリ・ラマをリーダーとするジオトピアがありました。強い磁力を帯びたクリスタルの影響で永遠の若さを保つ彼らの一人、ナマケモノのブルック(♀)はシドと恋に落ちるのシドのせいで小惑星が崩落して若さの効力が消えて婆さんになったブルックを見てもシドのは変わらなかったのが個人的にツボです 

小惑星はどんどん近づいています。崩落したクリスタルを噴火口に運び、噴火させて打ち上げることで軌道を逸らそうと一致団結する中で、マニーとジュリアンの間にも家族の絆が生まれます。

地球の危機が回避され、仲間たちと家に戻ったマニーはピーチとジュリアンの結婚を快く祝うのでした そこへ残っていたクリスタルの入った温泉に浸かり若さを取り戻したブルックが後を追いかけてきてシドとカップルにいや~~シドにもやっと春が来たのね~!!

今作では舅と婿のぎくしゃくした関係とその修復がサブテーマ?主要キャラにもそれぞれパートナーができ、今度はその子供たちの時代になっていくのかしらん?


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神様の思し召し

2017年03月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月27日公開 イタリア 88分

今日も完璧なオペで、患者の命を救った心臓外科医のトンマーゾ(マルコ・ジャリーニ)。医師としては天才だが、傲慢で毒舌で周りからはケムたがられていた。ボランティアが趣味の妻・カルラ(ラウラ・モランテ)との仲は倦怠気味で、お気楽な長女はサエない男と結婚。でも、頭脳明晰な長男が医学の道を継いでくれれば満足だ。
ところが、あろうことか医大生の息子が「神父になりたい」と宣言! 表向きはモノわかりのいいフリをして教会に潜入したトンマーゾは、息子がハデなパフォーマンスで人気のピエトロ神父(アレッサンドロ・ガスマン)に“洗脳”されているとニラむ。さらに、神父が実は“前科者”であることが判明。トンマーゾは、失業して無一文で妻からはDVを受け、もうどん底だと悩む信者を演じて神父に近づく。すると、親身になった神父に家族に会いに行くと言われてしまい、追い詰めるはずが追い詰められるトンマーゾ。果たして、神父の正体は? 崩壊寸前の家族の行方は?(公式HPより)

 

自分のことしか考えなかった医師の人生と価値観が、型破りな神父との出会いによってひっくり返されるまでの顛末を描いたハートフルコメディです。目に見えるものしか信じない現実主義者のトンマーゾと、見えないものこそ信じるピエトロ神父。真逆な立場の二人が出会ったことで起こる人生の化学変化が楽しいです。

とはいえ、最初はトンマーゾの傲慢さが鼻につきました。

息子がインチキ神父に洗脳されたと思い込んだトンマーゾは、神父の素性を調べて、彼が強盗で服役した過去があることを知り、息子を引き離そうと一計を案じるのですが、頭脳明晰な医師がすぐにばれるような嘘の境遇を騙るのはいかがかと案の定、すぐに嘘はばれ、息子に知られたくなかったら、教会の補修を手伝うよう取引を持ちかけられます。渋々手伝うトンマーゾですが、次第に神父の人柄に惹かれ、友情を抱くようになるのが愉快でした。そうだね、トンマーゾだって決して冷たい人間ではないのです。きっかけさえあれば、歪んで固まった心も融けて元の優しさを取り戻せるのよね

夫に顧みられずにお酒やボランティアに逃げる妻や、優秀な兄ばかりが父に愛されることで傷付いていた妹など、離れかけていた家族関係もトンマーゾが変わったことで良い方向に向かいます。妹の夫のちょっとKYだけど憎めないアホさ加減が絶妙な笑いを生んでいました。肝心の息子はこれまたすぐに気の変わる現代っ子として描かれているのも面白かったです。

人生何が起こるかわからない、というようなセリフが中盤で出てきますが、これが神父の事故に繋がる伏線となっていたのねトンマーゾが「良い人」に変わってめでたしな気分が一瞬で吹き飛ぶシーンでした。彼が亡くなったのか助かったのか、観ようによってはどちらにもとれる終わり方は、観る側に委ねられたということでしょうか。まさに「神様の思し召し」?人生なんて思い通りになんかいかないものという皮肉も込められているのかしらん

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

嫌な女

2017年03月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年6月25日公開 105分

司法試験にストレートで合格して29歳で結婚し、順風満帆に見える弁護士の石田徹子(吉田羊)だったが、仕事も結婚生活も上手くゆかず、心に空白を抱えていた。そんな徹子のもとにある日、同い年の従妹で、婚約破棄で慰謝料を請求されたという小谷夏子(木村佳乃)がやってくる。子どもの頃から夏子を嫌っていた徹子だったが、久々の再会をきっかけに、天性の詐欺師・夏子に振り回されることになり……。

 

黒木瞳の映画監督デビュー作で、桂望実の同名小説が原作です。NHKでドラマ化もされているんですね。知らなかった

徹子は友達のいない真面目で地味な弁護士です。子供の頃から強烈な個性を放つ夏子とは正反対な大人しい、どちらかというと暗い性格の彼女は、大人になって弁護士と依頼人という形で夏子と再会します。

大人になっても夏子は昔のままの自由奔放な夏子です。明らかに結婚詐欺なのに、罪の意識など欠片もない夏子に押し切られ、彼女のトラブル解決に奔走する徹子。いや・・それってどうよ!引き受けちゃ~いかんでしょ

他人との関わりを極力避けて平凡であろうとする徹子は最初は感情の起伏を押し隠して表情も乏しいのですが、夏子に振り回されるうちに、次第に人間らしい感情が表に出てきます。まぁ、あれだけ迷惑かけられたら誰だって怒るよね

騙された男たちは、夏子を恨むというより、もう一度振り向いて欲しい、よりを戻したいという思いで訴訟を起こすの。被害者から恨まれない人柄も天性のものなんですね。騙す時も本気で相手の心に入っていくからなのかな。内縁の夫の敬ちゃん(寺田農)を毎日病室に見舞って甲斐甲斐しく世話を焼き、同室の入院患者(織本順吉)にも明るく接する姿は、いかにも遺産目当ての結婚に見えるけれど(実際そうなんだけど)、案外本人は(騙されていたとしても)幸せなんだろうなと思えてきます。滅多に見舞いに来ない息子夫婦(袴田吉彦・田中麗奈)より、よほど人情があるように見えるもの。そんな夏子の姿を近くで見るうちに、徹子の心に変化が生じてくるんですね。

実は、夏子は惚れた俊輔(古川雄大)に命じられるまま詐欺で貢いでいました。徹子の詰問にも「あっちが勝手にしたこと、迷惑なんだ」と嘯く俊輔は、資産家の娘(佐々木希)との結婚を企んでいました。真実を夏子に伝えるのを躊躇う徹子の心は既に夏子に寄り添ってきているのね。

徹子が勤める法律事務所の所長(ラサール石井)や事務の大宅さん(永島瑛子)は、他人との関わりを避けて自分の殻に閉じこもっている彼女を心配し温かく見守っています。夏子の弁護を引き受けるよう勧めたのも、彼女と関わることで徹子に変化が生じることを期待したのでしょう。大宅さんが薬を飲むシーンが挿入されていたのは、後に病で亡くなることの伏線ですね彼女から夏子に宛てた手紙の内容にもほろりとさせられます。後輩弁護士(中村蒼)にアドバイスをする夏子の姿はもう以前とは違います元夫(テット・ワダ)とも前向きな気持ちで会話ができています。

俊輔の結婚を阻止しようと式場に乗り込みつまみ出される夏子に「諦めるの?」と声をかけ、一緒に妨害する徹子(何故か後輩も巻き込んでいる)。すっかりキャラ変わってるぞでもこのエピソードは笑えました。(特に希ちゃんが蹴り上げるとこ

タイトルの「嫌な女」は夏子じゃなくて、実は徹子のほうを指しているのかな?自分の感情を出して、他人の気持ちにも寄り添えるようになった徹子は成長しましたが、夏子はこれからもず~~っとあの性格のままなの?それはやっぱり問題じゃないのかしらん?


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラ・ラ・ランド

2017年03月03日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年2月24日公開 アメリカ 128分

夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(ライアン・ゴズリング)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。(公式HPより)

 

売れない女優とジャズピアニストの恋を、ロマンチックな歌とダンスで描いたミュージカル映画です。その作風は往年の名作ミュージカル映画を彷彿させます。第89回アカデミー賞では史上最多タイとなる14ノミネートを受け、監督賞、エマ・ストーンの主演女優賞など計6部門でオスカー像を獲得しました。「セッション」のJ・K・シモンズもジャズバーのオーナー役で出演しています。

ミアとセブは、まず渋滞の高速道路、次がオーディションに落ちて意気消沈していた彼女がピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで出会うのですが、そのどちらも最悪な印象を持ちます。しかしあるパーティ会場のプールサイドで再会した二人は、初めての会話でぶつかりあいながらも互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていくのです。

映画の冒頭、いきなり予告にあった渋滞する車列からの郡部にとなりました。一瞬インド映画かとしかしその後は普通にノスタルジックな展開が待っています。

互いの夢に共感し、応援し合っていた二人ですが、セブが生活のために受けたバンドの仕事が関係を変えていきます。安定した生活を望むミア(セブはそう思い込んでいたのね)のために主義を曲げて受けた仕事ですが、人気が出て売れたら「これもありか」と思ってしまうのは人間だもの、仕方ないというか自然な流れです。一方、ミアは脚本を書いて独り芝居を上映することに熱意を傾けます。それはセブが背中を押してくれたことでもありました。夢を諦めたのかと問うミアに苛立つセブ。二人の気持ちがすれ違う瞬間の会話が切ないです。

ミアの芝居は観客も殆ど入らず失敗に終わり、酷評を聞いて居た堪れなくなった彼女は実家に逃げ帰ります。しかし、失意のミアの元に、セブが吉報を持って訪れるの そしてミアは幸運の切符を手に入れたのです。ミアが夢の扉を開いたことでセブも自分の夢をもう一度取り戻すことを決意したのですが・・でも二人は元さやに戻ってめでたしめでたし・・・じゃないのね~~

そして舞台は5年後。スター女優となったミアはセブ以外の男性と家庭を持っています。偶然訪れたジャズクラブの名前を見て動揺するミア。そう!そこは夢を叶えたセブの店だったの。

クライマックスはセブが弾くピアノのメロディに乗せて映される「もう一つの結末」もしあの時ミアがオーディションに受かっていたら・・もしあの時二人が別れていなければ・・・まさに「たられば」の未来図なの。でも曲の終わりと共に現実に戻る二人。切なく美しい別れのシーンです。

安易なハッピーエンドより、よほど心に残る終わり方でした。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドラゴン・ウォリアーズ

2017年03月02日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年製作 アメリカ 113分

とある自然豊かな王国。若き戦士キャミラン(マクレーン・ネルソン)は賞金稼ぎの兄ラミカスの家を訪れていた。すると、伝言を運ぶ魔法のメッセンジャーが突然現れる。その伝言は王国のエノガルド王女からで、闇の魔術師がドラゴンを操り王国を支配しようとしているというのだった。キャミランとラミカスは、王国の危機を救おうと王女が囚われているイーストン城へ旅立つが、人さらいの種族や魔術師(ジェームズ・マースターズ)によって操られた者たちに行く手を阻まれてしまう。さらに、巨大な体を持ちあらゆるものを破壊するドラゴンの容赦ない攻撃が、彼らに襲いかかるのだった……!(作品紹介より)

 

これ、日本劇場未公開ですよね? 公開してたら大コケだったよね

ドラゴンやエルフやドワーフといったファンタジーの定番キャラが登場する割に、CGはしょぼいし、内容は色んな作品のつまみぐい感ありありで、何より冗長な展開を二時間はキツイ。まさに低予算のB級作品といった趣です。

主人公のキャミランは由緒正しい人間の名家の次男坊(らしい)。長男のラミカスは家を出て賞金稼ぎをしている設定(らしい)。ところが、キャミランがエルフの娘に惚れちゃって、結婚を反対されてしまい、それなら跡継ぎの兄ちゃんに戻ってもらおうと出かけていったところにトンボのメッセンジャーが現れて冒険の始まりとなります。

ドラゴンは悪い奴なのかといえば、これがどうやら違う様子。従妹に恋慕した邪な魔術師が、彼女に肘鉄食らったことを逆恨みして、世の中の恋人たちの仲をドラゴンを使って引き裂くという、なんとも幼稚な動機に利用されていただけという。

ドラゴンに傷を負わされ瀕死の恋人を救うため、ドラゴンのカギ爪を求める弟と、エノガルドが約束した褒美目当ての兄は反発し合いながらも一緒に旅をするという展開です。

上半身裸にマントのキャミランは顔はまあ良いとして、頭の方はかなり軽そうだし、兄のラミカスはファンタジーに似合わぬ現実主義の毒舌家。キャミランの従者とラミカスの仲間のオークの方がよほどまともな気がしてきます。

ドワーフやドラゴンやラスボスの魔術師との戦いを経て、兄弟それぞれ愛する人を得てのハッピーエンドですが・・・なんだかな~~。

ファンタジーって質の良し悪しがもろに出ますね

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トリプルX:再起動

2017年03月01日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年2月24日公開 アメリカ 107分

危険分子たちの手に渡ってしまった「パンドラの箱」と呼ばれる制御不能な軍事兵器奪還のため、エクストリームスポーツ界のカリスマであるザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)が再び国家安全保障局(NSA)に召集された。ザンダーのもとに集まったスリルを求める厄介な仲間たちによって構成されたチーム「トリプルX」と共に、ザンダーは全世界の政府最高権力者たちをターゲットとした世界壊滅の陰謀に巻き込まれていく。

 

型破りなシークレットエージェントの活躍を描いたスパイアクション「トリプルX」の12年ぶりシリーズ第3作です。シリーズお約束のクールでウイットに富んだユーモアと、型破りで破天荒なアクションが満載で観たこともない圧倒的なスタントの連続で、エクストリームアクション映画のレベルをさらにアップさせています。(公式HPより)

冒頭に登場する国家安全保障局の局長・ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)が勧誘している相手はブラジル代表のサッカー選手ネイマール。 しかもネイマールは「アベンジャーズの勧誘と勘違い」していたという小ネタをブッ込んでますそりゃ~指令官演じたのは同じ人だけどさ~~・・・。そして押し入ってきた強盗を華麗なキックでノックアウトする見せ場があったと思ったら衛星墜落に巻き込まれあっさり退場。え?それでいいの??と思ったらちゃ~~んとラストに登場シーンが

ザンダーの登場は鉄塔からスキー?履いて飛び降りて山林を疾走。でもこれ電波泥棒なんだよね

さて、パンドラの箱はあらゆる通信機能を乗っ取れるようで、これで人工衛星を地上の目標地点に墜落させることができるようです。軍事兵器として使用すれば絶対的な力を得ることができるというわけ。これを盗み出したジャン(ドニー・イェン)、セレーナ(ディーピカー・パードゥコーン)、タロン(トニー・ジャー)の華麗なテクニックは悪人のものには感じられない・・と思っていたら彼らも実はギボンズにスカウトされたトリプルXだったという彼らに比べたらCIAのマルケの方がよほど悪役顔になってます。ト二・コレットの顔が・・怖い

世間から身を隠していたザンダーをマルケが引っ張り出すシーンも一作目と似てます。間違い探しじゃないんだからさ~~適正テストに予算使い過ぎだろ!という突込みは野暮というもの。彼女が手配した兵士が使えないと判断したザンダーは彼らを一掃(まさに軍用機から放り出してしまうの)、自分が選んだ仲間たちを揃えます。狙撃の名手アデル(ルビー・ローズ)、カリスマDJのニック(クリス・ウー)、スタントマンのトーチ(ロリー・マッキャン)。超個性的な面々が大人しくマルケに従う筈もない。さっそく彼らなりのアプローチが始まります。

ジャンとセレーナとザンダーの手榴弾を回しながらの会話はまさにアブナイ奴らそこへロシア兵の急襲を受け、敵だった筈が一時休戦。水陸両用バイクでの大波パイプラインくぐりは圧巻でした。これだけでもスクリーンで観る価値ありますね

ジャンたちが盗み出したパンドラの箱は試作品で、本物はCIA長官が持っていることがわかり、またまた争奪戦が始まります。高速道路で走る車の列に突っ込んで飛び跳ねる彼らは一度ならず轢かれてるんですが・・・不死身かよという突込みも無粋というものですね。そして共通の敵に対してはいつでも共闘体制に入れるのはやはり「トリプルX」という絆があるから。(同じ穴の貉ともいう?)

で、やっと本物を手に入れた途端、今度はマルケが事件の証拠隠滅のために彼らを皆殺しにしようと企むんですね~~。まあ、CIA長官が悪者だったなんて世間に公表できないもんね

しかしあっさりやられるわけもないメンバーですから、そこはまた一人一人の見せ場となっていきます。

ここで、意外な活躍を見せるのがCIA後方支援要員のベッキー(ニーナ・ドブレフ)ちゃん実戦は素人なんだけど、落としたマシンガンが跳ね回って敵を倒してしまったりでラッキーも実力の内ってかただのお喋りお嬢さんじゃなかったのね~ セレーナとアデルが背中合わせで銃を撃ちまくったり、女性の活躍も目を引きました

そして絶体絶命の彼らの救世主となったのは最終兵器・アイス・キューブ「9を押されるのを11年待った」というのが笑える彼は二作目の主人公なのです。

軍用機の中のジャンとザンダーも派手なアクションを見せてくれます。飛行機が墜落していく中での無重力の戦いもありました。

マルケに撃たれながらもしっかり彼女を放り出し、自分は「パンドラの箱」入りのBAG(パラシュート付)抱えて脱出したジャン。一方ザンダーは空中で貨物?に追いついて一緒に落下。でもあの衝撃で怪我もしないなんて・・・不死身か!(おっと二度目だ)

そしてギボンズのお葬式の最中に本人登場のラスト。まだまだ続編考えてますってことでしょうか

頭空っぽにして派手なアクションと圧巻のエクストリームに酔いしれる作品です


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スター・トレック BEYOND

2017年02月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月21日公開 アメリカ 123分

前作から2年半後。ジェームズ・T・カーク艦長(クリス・パイン)が率いるエンタープライズ号は航海中に未知のエイリアンからの激しい襲撃に遭い、破壊されてしまう。乗組員たちはバラバラになって艦体から脱出し未踏の惑星に降り立つが、そこでエイリアンからの容赦ない攻撃にさらされる。

 

「スター・トレック」新シリーズの3作目です。回を重ねて登場キャラの見分けもだいぶついてきたぞ!しかも今回はカークとスポックだけじゃなく、乗組員個々の活躍にもスポットが当てられていて群像劇みたいだったのも良かったです。ジェイラとスコット、ボーンズとスポックのやりとりも作品にユーモアを添えていてコンビプレイも特色の一つかな。その意味ではウフーラとクラールの間にも何か微妙な空気が流れてましたが

エイリアンの遺物を差し出して平和利用を訴えたカークですが、交渉は決裂し遺物はエンタープライズ号に厳重に保管されています。ある日、宇宙基地に1機の脱出ポッドが到着し、カラーラ(リディア・ウィルソン)という宇宙人が助けを求めてきます。エンタープライズ号が救出任務にあたることになり、惑星アルタミットに向かいますが、正体不明の無数の小型機の襲撃を受け大破、乗組員は脱出したもののバラバラに。 攻撃してきたクラール(イドリス・エルバ)の目的は例の遺物を奪うことでした。

スコット(サイモン・ペッグ)はクラール一味のマナスに家族を殺されたジェイラ(ソフィア・ブテラ)という星の住民に助けられ、彼女の住まいの、かつてこの星に墜落した宇宙船U.S.Sフランクリンの修理を頼まれます。二人のやり取りがコミカルで楽しいの 

カークはカラーラが嘘をついて自分たちをここに連れてきたと察します。仲間を人質にされ仕方なくと言うカラーラでしたが、実はクラールのの仲間だったのね~ カークとチェコフ(アントン・イェルチン)は彼女を倒してスコットとジェイラに合流。転送装置を直してボーンズ(カール・アーバン)と墜落時に重傷を負ったスポック(ザッカリー・クイント)を救出します。

ヒカル(ジェイ・チョウ)とウフーラ(ゾーイ・サルダナ)は救難信号を発信しますが、クラールはそれを利用してヨークタウンに攻撃を仕掛けます。そのための兵器・アブロナスは遺物を使って完成させたものです。

カークたちは攻撃を阻止するためクラールの基地を襲撃し、捕まっていたエンタープライズの乗組員たちを救出。ジェイナはマナスを倒して家族の復讐を遂げます。しかしクラールは大部隊と共にヨークタウンへ向かってしまいます。U.S.Sフランクリンで追撃したカークたちは敵の弱点を見つけて撃破。無事平和が戻ったのでした。

船長止めるつもりだったカークと父親の死で船を離れるつもりだったスポックですが、この戦いでまたまた翻意ですね


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本で一番悪い奴ら

2017年02月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年6月25日公開 135分

大学時代に馴らした柔道。その腕っ節の強さを買われ、北海道警・刑事となった諸星要一(綾野剛)。強い正義感を持ちながらも、うだつの上がらない日々を過ごしていた。ある日、署内随一の敏腕刑事・村井から刑事の“イロハ”を叩き込まれる。それは「刑事は点数。点数稼ぐには裏社会に飛び込み、S(スパイ)をつくれ」というものであった。言われるがままに“S”を率い、「正義の味方、悪を絶つ」の信念の元、規格外のヤバすぎる捜査をまっとうしていく諸星だが―。(公式HPより)

 

2002年の北海道警察で起こった「稲葉事件」を題材にした映画。「日本警察史上最大の不祥事」と言われただけあって、かなりエグイぞ 実際、これに近いことが警察で行われていたというのも驚きです。こんな映画作って良いのか??

初めこそ純粋な正義感から「S」を使い始めた諸星ですが、朱に交われば何とやらで、次第に裏社会に呑み込まれ、善悪の区別も怪しくなっていきます。個人の正義なんて、立場が変われば簡単に裏返るものなのね~~ ホシの数を挙げてポイントを稼ぐことに邁進する姿は組織の根幹なんだろうと思うとそれだけで不信感が。(交通違反切符もそんな面があるのは否めないですし)警察というよりブラック企業に見えてしまうけれど、そこで働く登場人物たちの悪びれない吹っ切れ感も異様だぞその筋の人と見分けがつかないような外見になっていく諸星ですが、組織のためにという思いだけは変わらないのね。でも、違法拳銃の摘発のためには麻薬や覚せい剤の横流しすら囮に使っても構わないなんて、どちらがより悪かという判断が麻痺しているとしか思えません。 元々が体育会系筋肉バカなキャラですから、あんまり深く考えるような人物ではなかったけれど、恋人がヤク中になるまで気付かず、最後は自らヤク中になってしまう姿は自業自得とはいえ哀れでした。

「S」として諸星に使われているようで、実は彼を利用しまんまと甘い汁を吸って逃げた村井(ピエール瀧)は一枚も二枚も上手のワルでしたね

後味の良い作品ではないし、綾野剛じゃなきゃ観なかったかな


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジョイ

2017年02月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年製作 アメリカ 124分

シングルマザーのジョイ(ジェニファー・ローレンス)は航空会社で働きながら2人の子どもや家族の世話に追われ、貧しく冴えない日々を送っていた。ある日、割れたグラスを掃除したモップを絞って手を怪我した彼女は、触らずに絞れるモップのアイデアを思いつく。父ルディ(ロバート・デ・ニーロ)の恋人に出資してもらい、父の工場でモップを生産したものの、誰も関心を示さない。そんな折、ショッピングチャンネルQVCのニール(ブラッドリー・クーパー)と知り合った彼女は、モップを番組で紹介してもらえることになるが……。

 

アイデア商品の発明で人生の大逆転を果たした主婦の実話の映画化です。

幼い頃から工夫大好きなジョイですが、家族には恵まれてなかった

母親は昼メロにはまり一日中TVの前。そのせいなのか、夫婦仲が冷えていたからなのかはわからないけど、両親は離婚しているけど、何故か同じ家に住み続けている。ジョイ自身も別れた夫と一緒の家で暮らしてる。妹のテリーとは気が合わない。なんだ?この家族??

手を汚さずに絞れるモップを思いついたのも、家族のゴタゴタ(父親の恋愛に娘も駆り出されるというのもちょっとどうかなと思うのですが)で割れたお酒やグラスの後始末をしていてですが、そもそもガラス片がくっついてるモップを手で絞ること自体信じられないんですがアメリカってほんとおおざっぱ

何とかモップを完成させたものの、売れない。家族の反応も掌返し。ケーブルTVの通販番組に活路を見出すも、モップの機能もろくに理解していない紹介のせいで空振りし、窮地に陥ったジョイですが、ここで諦めずにニールに再度のチャンスをねじ込みます。今度は自分が売り手になって、親友の助けもありこれがバカ売れしちゃうんですね~

その先も、取引相手の裏切りや家族の不協和音を乗り越えて、たくましく乗り越えていく姿が描かれます。味方が敵になったかと思えばその逆も起こるシビアな商取引の世界で、ジョイが得たものと失ったもの、人生の差し引きはプラスだったのか、それとも・・・。

ジョイとニールに恋愛感情が芽生えるのかと思いきや、二人の間に生まれたのは仕事を通しての友情だったのね。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植物図鑑 運命の恋、ひろいました

2017年02月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年6月4日公開 112分

ごく普通のOL・さやか(高畑充希)は、ある日、マンションの前で行き倒れていた青年・樹(岩田剛典)と出会う。半年間という期限付きで樹はさやかの家で暮らすことになり、料理上手で野草に詳しく、それまで知らなかった世界を優しく教えてくれる樹に、さやかは次第に惹かれていくが……。

 

有川浩の恋愛小説の映画化・・・え~~そうだったの?何だかすっごく少女趣味で、ちょっと引いてしまったんだけど。「図書館戦争」は違和感なく楽しめたのにこの差はなんでしょ?

見ず知らずの男性を家に上げて食べ物と一夜の宿を貸す・・・までは何とか受け入れても、そのまま暮らし始めるってのは当方の理解の外でございます 一応、樹が作ってくれた朝ごはんが美味しくて、一人暮らしの寂しさが背景にあったとしても、結局は一目惚れってことなんでしょうか (だってぶちゃいくだったらまず拾わないって

料理上手な樹と一緒の生活がひと月、またひと月と過ぎていくにつれ、この温かい幸せがどうか続きますようにと願いながらも半年という期限が頭をよぎり不安になるさやか。その気持ちはわかるよ~~

自分の気持ちを周囲にうまく伝えられなかった彼女が仕事のうえでも成長していく様子も挟み込まれます。

でも、期限(丁度さやかの誕生日という設定)が過ぎた翌日、突然消えてしまった樹。お互いに気持ちを伝えあって恋人同士になっているのにそれはないんじゃないの~~?な樹君。ま、男性は自分の目標を見つけると置いて行かれた相手の気持ちとか考えようともしないんだけどね。 

一年後、樹から送られてきたさやかへの誕生祝は彼の撮った写真集。実は有名な華道家の息子なのに、跡を継がず半年の猶予を貰って自分の生き方を探していたんだって。さやかと出会って自分が本当にしたいことを見つけたということらしい。それにしても一年ほっぽらかしかよ~~!!

ま、恋愛映画ですから、細かいところには目をつぶり、ほんわか部分を楽しまないといけないのよね。

とりあえず、土手で摘んでくる野草のお料理はどれも美味しそうでした。(でも真似して作る気はないです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴーストバスターズ

2017年02月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月19日公開 アメリカ 116分

コロンビア大学で教鞭をとっていた素粒子物理学博士のエリン・ギルバート(クリステン・ウィグ)は心霊現象を科学的に解明するための研究を行っていた。しかしある日、かつて自分が幽霊の実在を主張する本を書いていたことが明るみに出たせいで笑い者になってしまったばかりか、研究費を打ち切られてクビになってしまう。大学での居場所を失ったエリンは本の共同執筆者であるアビー・イェーツ(メリッサ・マッカーシー)と再会し、自らの知識と技術力を生かすべくある計画を打ち立てる。それは、街を襲う幽霊を自分たちの手で退治するというものだった。エリンは原子力エンジニアのジリアン・ホルツマン(ケイト・マッキノン)、地下鉄職員のパティ・トーラン(レスリー・ジョーンズ)を仲間に加え、専門会社「ゴーストバスターズ」を設立し、幽霊退治に乗り出す。

 

幽霊退治に挑む科学者たちの活躍を描いた1980年代版「ゴーストバスターズ」を、メインキャラクターを女性にして新たな物語にしたアクションコメディです。が・・・元版、ちゃんと観たことないかもです。

男性から女性へとメインキャラが変更になったのは現代事情を汲んでいるのでしょうけれど、だからといって、事務員兼雑用係のケヴィン・ベックマン(クリス・ヘムズワース)が顔と筋肉はなのにオツムが軽いおバカちゃんのキャラってどうなの?まるで一昔前の女性に対するイメージを男性に投影したような安易さが好きじゃないな (アメリカのコメディって性差別があからさまな気がします。)

終身雇用目前のエリンですが、かつての著書のせいでチャンスを逃してしまいます。幽霊なんて非科学的と考えるのが一般的だものね。自分の了承なしに本が売られていると怒ったエリンが共著者のアビーを訪れると彼女はホルツマンとゴースト退治の武器を真面目に開発中。(この武器については何やらもっともらしい科学的根拠を口にしていたのだけどよくわらかないぞ)ひょんなことからローワンの悪だくみを知った三人はパティを加えてゴースト退治に乗り出すというわけです。

しかし、ゴーストとの闘いは恐いというより遊園地のアトラクションみたいです。「あちら」と「こちら」の世界をつなぐ穴にローワンと一緒に吸い込まれてしまったアビーをエリンが飛び込んで助けるシーンは友情の絆を深める良いシーンでした。ちなみにこの穴を塞ぐために彼女たちの車(パティのおじさんの霊柩車を改造したもの)に積んだ核爆弾(そんなもん、普通に作っていいんかい)が使われています。

表向き、彼女たちは変人扱いですが、裏ではNY市長(アンディ・ガルシアが演じています)らに頼られているという設定。そういえば「ミュータント・タートルズ」も似たような設定だったな


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サバイバルファミリー

2017年02月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年2月11日公開 117分

東京で暮らすごく平凡な一家、鈴木家。冴えないお父さん(小日向文世)、天然なお母さん(深津絵里)、無口な息子(泉澤祐希)、スマホが全てな娘(葵わかな)。一緒にいるのに何だかバラバラなありふれた家族。当たり前のように電化製品に囲まれた生活を送っていたある日、電気を必要とするあらゆるものがなぜか使えなくなり、東京は大混乱に陥ってしまう。交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップした生活に人々が困り果てる中、父が一世一代の大決断を下す!「東京を脱出する!!」しかし鈴木家を待ち受けていたのは過酷なサバイバルの数々だった。電気が消滅した世界で、サバイバル能力ゼロの平凡一家は・・・。

 

「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督が、原因不明の電気消滅によって廃墟寸前となった東京から脱出した一家の奮闘をコミカルに描いたサバイバルドラマです。主演のコヒさん好きとしては内容も含めて楽しみにしていましたが期待を裏切らない面白さがありました。
 
ある日突然、電気・ガス・水道が使えなくなったら・・・時計も信号も電車も、電気を使うものすべてが止まってしまった世界でのサバイバルが始まります。最初はすぐに復旧するだろうとたかをくくっていたものの、事態は変わらず、食料も水も少なくなっていきます。焦り始めたお父さんは妻の故郷・鹿児島に避難することを決意して、文句タラタラの娘も含めて鈴木一家のサバイバルの旅が始まるのです。
 
ペットボトルが一本1000円以上の高値で売られ、食料品の物々交換は戦時中を思わせます。飛行機で関東を脱出しようとする人が空港に押し寄せ(鈴木家もまずは空港を目指します)ますが、当然だって飛ぶわきゃない
大阪まで行けば電気があるとの噂を信じて高速道を行けば、同じように考える人の長い列。
 
地図も読めず、川の水を飲んでお腹を壊すお父さんと対称的に、水や自転車を手に入れる時の交渉術に長けたお母さんや、飲料水の代替に自動車用の精製水、ペット用の缶詰を見つけてくる子供たちは逞しいSAで野宿の夜、盗まれた水を取り戻そうと追いかけた息子が、赤ちゃん連れの犯人に同情して黙って引き返す場面もありました。途中で知り合ったサバイバルの達人一家(時任三郎、藤原紀香)に食べられる野草や虫を教えてもらう家族を横目に不機嫌になるお父さん(自分は何も知らないものね)がちょっと可愛い。
 
やっとたどり着いた大阪も同じ有様で遂に家族の感情が爆発。お父さんを責める娘に「仕方ないじゃない、お父さんは昔からそうなのよ!」と叫んでしまうお母さん。次の瞬間ハッとするその顔もいつもはおっとりしたお母さんの本音にショックを受けるお父さんです。
こうなったら鹿児島まで行くっきゃない!鈴木家のサバイバルは続行されますが、とうとう体力の限界が!そんな時に見つけた一匹の豚が家族の命を救ってくれます。逃げた豚を捕まえる手伝いを条件に久々にあり着いた食事とお風呂とお布団。当たり前の生活の有難さを身に染みて感じる家族なのでした。(でもね~~ほんの半世紀前までは自給自足のこんな生活の方が「当たり前」だったんですよね
 
おじいさん(大地康雄)のこのままここで暮らさないかという誘いを断り、鹿児島のお祖父ちゃんの家目指して出発したはいいけれど、川を渡る際にお父さんが流されて行方不明になってしまいます。犬に襲われピンチな三人を通りかかった蒸気機関車が助けたり、発煙筒を焚いてお父さんも合流できたりと、ここらへんからますます「ありえね~~」展開となっていきます。
 
やっとお祖父ちゃんの家に辿り着いて二年。田舎の暮らしにもすっかり馴染んだ頃、またまた突然電気が復活。宇宙規模の現象だったとオチがついて、世界は何事もなかったかのように元の生活に戻っていくのでした。でもきっと鈴木家の面々の中で何かが変わっていることは間違いないね
 
最初はピクニック気分だった家族がどんどん過酷な状況になっていくにつれ、服装も髪も体も汚れていく様がとてもリアル。特に何日も洗ってないような髪のごわごわ感とか凄すぎる~~ 役者やるのも大変だ~!と同情してしまいました。
 
東日本大震災などいくつかの災害を経験した私たちにとって、この映画はただ笑えるというのではなく、もし本当にこんな状況になったらどう動いたら良いかのヒントにもなるかもしれませんね。とはいえ、鈴木家の真似をしたら絶対生き残れない気がしますが

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする