AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

頭皮への熱刺激 施灸にかわるアイデア

2021-12-11 | やや特殊な針灸技術

頭皮に多数針刺激を行うには、針管を使わない短針の使用が効率的になるが、それを一歩進めて、文房具のだるま画鋲を使うことを思いついた。だるま画鋲は非常に廉価で、百均で買えば1個数円ですむ。なお当院ではだるま画鋲のことを「画鋲針」と呼ぶことにした。(普通の画鋲を机に置くと、針は横を向いたり上を向いたりさまざまである。だるま画鋲の場合、必ず針が横になるので、手指に刺さる危険は少なくなる。絶対に起き上がらない画鋲なのに、だるま画鋲と命名したのは面白い)


しかし灸はどうか。頭皮に施灸するには、頭髪をかき分けて地肌を一定面積露出させ、そこに艾炷を立て、線香で点火することになる。百会あたりに一カ所だけするだけならまだしも、何カ所も施灸するとなると非常に面倒である。そこで灸はあきらめ、刺針することが多くなるが、刺針では頭皮をアルコール綿花による滅菌も徹底しづらい。

手軽に頭皮に灸刺激をすることはできないものかと考えているとき、針灸研究会の岡本雅典氏が鍉針をライターの火であぶり、軽く叩くように頭皮を刺激する方法を紹介した。
それで鼻や目の周囲にも行ったりするらしい。岡本氏の使った鍉針は銅製で箸くらいの太さ(ちなみに3000円前後)なので、熱容量が大きい。熱が指に伝わりにくくしているせいか、樹脂製のチューブを巻いていた。熱容量が大きいことは、熱した温度を長い時間保てることを意味している。

良いことを耳にしたと思って、自分の治療室にある鍉針をライターの火であぶってみたが、細い金属でできてきているせいか、すぐに温度が下がってしまい実用にはならなかった。

そこで鍉針の代わりに寸6または2寸針用のステンレス針管(標準タイプ)の先を熱し、頭皮に一瞬接触させることを試してみた。あまり短い針管を使うと持つところまで熱くなることが心配だったがステンレスは熱伝導性が悪いので実用に耐えた。いろいろ試してみると、ライターで5秒ほど熱すると、頭皮を10回ほどトントンと叩くには丁度よいことがわかった。なおライターの代わりにカセットガストーチを使うとさらに効率的になる。

上写真は2寸針管をライターであぶっている。


針管を押しつける時間が長いと、頭皮にじんわりと熱さが染みこむ感じだった。熱く感じすぎるようなら、針管先を頭皮に接触してすぐに滑らすようにするとよい。
やってみると、なんのことはない。イトオテルミーのようなものだと思った。

 


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