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AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

歯ぎしりと歯の噛みしめの針灸治療 ver.2.0

2025-04-08 | 歯科症状

1.ブラキシズム bruxism とは
 
歯ぎしりや、噛みしめはブラキシズム(口腔内悪習慣)と総称される。歯ぎしりや噛みしめは無意識で行っており、ノンレム睡眠中あるいは、日中ではストレスによる緊張、何かに長時間集中してる時に多い。
この状態が続くと、上下の歯の摩耗、閉口筋である咬筋の過緊張が生ずるので、顎関節症を併し、また頸肩背部や頭痛の原因になったりもする。歯のくいしばりと歯ぎしりは、歯の運動を伴うが否かの違いであり本質的には同じ病態である。

ブラキシズムの針灸治療は数例の患者を経験したが、いずれも初回治療で効果があった。しばらくすると再発するが、針灸施術すると再び改善に効果があったこのことから針灸適応症だという印象である。

 

2.ブラキシズムの真因

健常者であれば口を軽く閉じだ際に上下の歯は接触していない。しかし日中にストレスがあると、その解消に敵を噛みつきたいという原始的本能が蘇り、ブラキシズムが生ずる。上下の歯の強い接触運動は、歯根膜を刺激しその刺激が脳に伝わり、ストレスを解消する手段となる。
チューインガムを噛むとストレス解消によいとされた。アメリカ人が野球の試合中もガムを噛んでいるのを見た日本人は、真剣味に欠けると批判したが、確かに一理ある行為といえる。上下の歯の強い接触行為が習慣化すれば、顎関節周囲筋に負担が加わり、顎関節Ⅰ型になりもする。

 

3.ノンレム睡眠障害の針灸治療

睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の周期があり、一晩の睡眠では下図のように、睡眠相は5~6繰り返す。


1)ノンレム睡眠(徐波睡眠)  non-rapid eye movement sleepとレム睡眠


睡眠は、まずノンレム睡眠(徐波睡眠)から始まる。
ノンレム睡眠は、睡眠の前半に多く現れる。大脳皮質休息の意義がある。大脳の休息では大脳身体抑制が外れるので、夢をみない一方、寝返りやいびき、歯ぎしりなど無目的に身体が動く。 

瞼の下で眼が動くので、REM(Rapid Eye Movement 急速眼球運動)睡眠とよぶ。レム睡眠の意義は身体休息で、骨格筋は弛緩して寝返りなどの動きはなが、精神は活動して夢をみる。

日中活動時は、交感神経優位状態が持続している。レム睡眠は、きつく巻かれたゼンマイを緩めるように、副交感神経優位状態にする役割がある。
レム睡眠が出現するのは入眠90分後からなので、仮に1時間睡眠を断続的に8回とって合計8時間睡眠になったとしても、レム睡眠時間は不足し、身体の疲労回復はできないので動物本能が低下(≒自律神経不安定)する。

 

2)ノンレム睡眠に誘導するための針灸治療
 
大脳の疲労回復が治療目標である。より正確には大脳疲労がもたらした筋疲労復が治療目標である。具体的には、施術中にぐっすりと眠ってしまうような針灸を行う。たとえば頭皮上の圧痛点、項部筋、胸鎖乳突筋圧痛を探り、置針する方法がよいだろう。
 

4.大後頭三叉神経症候群としての治療

大後頭三叉神経症候群とは、天柱深刺→大後頭神経刺激→C1~C3頸神経根→三叉神経脊髄路→三叉神経という神経連絡により、たとえば天柱刺針により眼精疲労が改善するという治療に解剖学的な回答を与えた。眼精疲労は三叉神経第Ⅰ枝(眼神経)興奮の結果である。ただしそれだけでなく、三叉神経第Ⅲ枝支配である咀嚼筋の緊張にもC1~C3頸神経を刺激する治療が知られている。
大後頭神経刺激により、咀嚼筋に対して影響を与えられることを示すものである。


5.顎関節症Ⅰ型の治療    

顎関節Ⅰ型は、閉口筋緊張過多で生ずる。閉口筋には、側頭筋・咬筋・内側翼突筋があるが、トラベルによると顎関節Ⅰ型の主な罹患筋は側頭筋と咬筋だという。

1)咬筋緊張の改善   
強く閉口する際には閉口筋とくに咬筋に負担が加わる。患者を強く歯をくいしばった状態にさせ、大迎~頬車あたりから咬筋へ刺入る。

2)側頭筋

側頭筋の代表穴には太陽や頭維があるが、これにこだわらず、患者を強く歯を食いしばった状態にさせ、圧痛点に刺針する。

 

 


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