もうひとつの中国ガールズ版「PRODUCE 101」～創造営2020（CHUANG2020）

2020年5月現在、中国ではガールズグループを誕生させる「PRODUCE 101」形式のバラエティ番組が二つ同時に放送されています。
一つが、前記事の「青春有你2」（iQIYI）で、もう一つが「創造営2020」（テンセントビデオ）です。
「青春有你2」はコロナウィルス流行の影響で、トレーナーであるBLACK PINKのLisaや、元S.H.EのEllaが収録地である中国広州に来ることができず、途中からリモートでの出演となっています。
一方、「創造営2020」はコロナの影響が一段落してから撮影を仕切りなおしたため、現状無観客ではあるものの、トレーナーと練習生が一か所に集合して収録できています。
出入国規制が厳しく、海外（香港、台湾を含む）からトレーナーを招くことが難しいため、「創造営2020」のトレーナーは全員中国本土のタレントで固められています。
司会者（プロデューサー代表）が黄子韬（タオ）、レギュラートレーナーが鹿晗（ルハン）、宋茜（ヴィクトリア）、毛不易です。写真：公式Weibo：https://weibo.com/u/7401796719

黄子韬（タオ）　2018年の「創造101」に続いて司会者を担当。2020版は前回よりも練習生に対し辛口のコメントが目立ちます。


鹿晗（ルハン）、宋茜（f（x）ヴィクトリア）
　　

毛不易（マオ・ブイー）ボーカルのトレーナーとして参加。毛不易は中国で非常に人気のあるシンガーソングライターです。


第3期はゲストトレーナーとして呉亦凡（クリス）が参加したので、元EXOの同窓会状態でした。
　　
EXOの中国人メンバーとしてデビューした呉亦凡（クリス）、鹿晗（ルハン）、黄子韬（タオ）、張芸興（レイ）は、現在中国エンタメシーンで第一線のタレントとして活躍しています。「創造営2020」では、珍しく彼らがEXO時代の思い出話をしました。「EXO」という固有名詞は出しませんが・・・。

EXOの中では年少メンバーだったタオも、27歳になりました。
現在は中国で芸能事務所「龍韜娯楽」（L.TAO Entertainment）を設立し、同社の所属アーティストとして活動しています。この会社の代表者黄忠東氏はタオのお父さんです。
タオは1993年生まれ、山東省青島出身、タオが裕福な家庭の出身であることは有名な話です。ですが、タオより若い世代の中国アイドルになると、家が裕福であることは特に珍しくはありません。
アイドルを目指すためのレッスン料や、ルックスを磨くためのコストを自己負担できる子の方が有利なので、裕福な家庭の子の割合が高くなる傾向にあります。

「創造営2020」からグループデビューできる人数は僅か7人で、上位につけている子は、ルックス、歌、ダンスのいずれも申し分のない子たちばかりです。
グループデビュー歴がある子、女優としてドラマ出演経験がある子も少なくありません。劉些寧、陳卓璇、希林娜依・高などは、芸能人としてほとんど完成されています。
101名の練習生たちは実力者揃いなので、突出した才能や個性がないと埋もれてしまいます。
反対に、落第すれすれの評価をされている方が、番組の中で目立てるチャンスがあります。
パフォーマンス評定で「下から7人」という厳しい評価をされた謝安然（シエ・アンラン）や劉夢（リウ・モン）は、人気を伸ばして現在20位以内に入っています。

「Fighting! AMIGO |　加油！AMIGO」TFBOYSの曲です。パフォーマンス評定で成績が良くなかった「下から7名」に課せられたパフォーマンス。劉夢（リウ・モン）がセンター。


謝安然（シエ・アンラン Xie Anran）1995年生まれ、166cm。浙江省出身。TOP55誕生時点で第20位。

ロリータ・ファッションのインフルエンサー。多くのフォロワーを持ち、モデルとしてイベントにも参加してます。
物怖じしないトーク力を持ち、リアクション力が高いです。「創造営2020」には「インフルエンサー枠」で出場しており、歌やダンスの経験は浅いですが、セルフプロデュース能力に長けており、現在20位と上位につけています。カメラ映りがいいです。
ロリータ・ファッションのインフルエンサー/モデル　謝安然
　

劉夢（リウ・モン Liu Meng）1997年生まれ。浙江省出身。TOP55誕生時点で第13位。
　　
中性的なルックスを武器にしてこの種のオーディション番組に出場する子は沢山いますが、いままで見た中でこの子が一番少年っぽいです。
一重まぶた（奥二重）で目鼻立ちのはっきりした美形です。劉夢のルックスは、中性的というより、超ハイクオリティの男装コスプレモデルのようなかんじです。
「月刊少女野崎くん」に出てくる鹿島くん（演劇部のイケメン女子校生）の実写版のような人です。14億も人口がいると、本当にいろんな人材がいるのだと言うほかありません。
ダンスや歌の点数は高くありませんが、ルックスとクールな立ち居振る舞いで注目を集める存在です。


張芸凡（ジャン・イーファン Zhang Yifan）　2000年生まれ。身長175cm。TOP55誕生時点で第4位。

国立名門舞踊大学「北京舞踏学院」のバレエ専攻在学中。
プロフィールによると身長175cm、すらっと背が高く、手足が非常に長いです。映画「少年的你」（2019年公開）に端役で出演。
身長175cmというのは、クラシックバレエの世界では背が高すぎるような気もしますが、舞踊家・パフォーマーとして活動できる場さえあれば、長身だからといってバレエに向かないというわけではないのかもしれません。


鄭乃馨　Nene（ネネ）。タイ人。1997年生まれ。165cm。TOP55誕生時点で第3位。

タイのガールズグループ「MilkShake」でデビューした経歴があり、「鄭乃馨」は中国で活動する際の芸名で、タイでは「Pornnappan Pornpenpipat」という名前で活動。
愛らしいルックスに、ボーカル、ダンスともに実力があり、ドラマ出演経験もあります。番組からプッシュされており、人気、注目度も高く、最新のランキンクでは3位。
たどたどしい中国語のせいでおっとりした印象を与えますが、負けず嫌いですごく根性がありそうです。


「創造営2020」にもSHN48 、AKB48 China（AKB Team SH）のメンバーが参加しています。
AKB48 Chinaからは、昨年、AKBの海外姉妹グループの代表として紅白にも出場した劉念（Liu Nian）が出ています。
この種のオーディション番組で話題を集めるには、ある程度「炎上商法」に頼らざるを得ず、炎上をチャンスに変えるしたたかさが必要です。
SHN48やAKB48 Chinaの子たちは、ルックスも可愛いし、ダンスも上手いのですが、無難にまとまりすぎているような気がします。
中国のアイドルとして成功するには、ビックリ人間的なルックスと才能を備え、炎上に堪えうる我の強さが必要なのではと思います。

【おまけ】所属事務所別パフォーマンスで「鬼滅の刃」のOP 「紅蓮華」 を歌って盛り上がりました。2020年5月9日放送。ドラムの王柯（Wang Ke）が人気があります。