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北京-上海新幹線(G17号)に乗って~~国内線と比べて~~

2011年10月02日 | 普通の日記
先日上海から北京に行きましたが、行きは飛行機を利用し、帰りは新幹線に乗りました。
2011年6月30日に開通した「北京-上海新幹線」(京滬高鉄)を初めて利用しました。

「北京-上海新幹線」が開通してすぐに7月23日の温州新幹線追突事故が起きたので、この2つを関連付けてしまいがちですが、中国でいわゆる「新幹線」(中国語では“動車”または“高鉄”)の運行が始まったのは2007年です。事故が起きた「甬温線」と呼ばれる、浙江省の寧波から温州を結ぶ路線の新幹線が開通したのは2009年です。しかも両者は別の地域を走っており軌道は重なっていません。
温州新幹線追突事故は信号システム、ひいては全体のシステムに問題があるといえるので、関係があるといえば関係がありますが、危険度からいうと「北京-上海新幹線」だから特別危ないということはなく、どの路線のどの列車も同じくらいの危険性があると理解しています。

9月27日には上海市内の地下鉄10号線で事故もありました。
鉄道事故が続くので、「こわくないですか?」と聞かれることがありますが、こわくないです。
危ないなとは思うけれど、こわくはないです。
危ないという観点でいうと、中国の場合は自動車事故や歩行中の事故の方がよほど危険を感じます。つまり、飛行機に乗るにしても新幹線に乗るにしても、空港や駅に行くまでの間にタクシーで事故に遭う確率の方が、高いと思われます。

【北京-上海新幹線 所用時間など】
自分が乗った「G17」の場合  ※列車によって、所用時間や価格が異なります。



走行区間:北京南駅~上海虹橋駅
停車駅 :済南西駅、南京南駅 (2駅) ※もっとたくさん停まる列車もあります。
走行距離:1318km (東京-博多間よりも約200km長い)
運行速度:時速約300km 
価格:555元(二等席利用の場合)
北京~上海の所用時間:約4時間55分 (北京発15:00、上海着19:55)
 ※列車によって速度・停車駅が異なるので、6時間以上かかる列車もある。

【写真】新幹線用に新設された北京南駅から出発。北京地下鉄4号線と繋がっていて便利です。


北京南駅構内。列車ごとに開札があります。








【北京-上海新幹線の乗客】
「北京-上海新幹線」の計画が浮上してすぐに懸念されたのは「誰が乗るのか?」「乗る人がいるのか?」ということです。というのは、北京-上海間は飛行機の便数が多く、現在では1日に約45便運行されています。朝7時頃から夜10時頃までの間、平均すると1時間に3本フライトがあります。
つまり、飛行機で移動客のニーズは満たせるのではないか?ということです。
連休や年末などの旅行・帰省ラッシュの時期でもない限り、上海と北京を頻繁に往復するニーズがある人がそんなに多いのか?という疑問がありました。

ビジネス利用の増加が乗客のターゲットと言われていましたが、実際には雑多な人が乗っています。
学生から農民、ビジネス客から欧米人旅行客までいろんな人が乗っています。短距離区間の新幹線もそうですが、乗客に外人(欧米人)が目立ちます。北京から戻った際の新幹線も、スペイン人(もしくは南米人)の8人くらいの旅行グループが乗っていました。

8月に中国鉄道部が「北京-上海新幹線の開通後1ヶ月の平均乗車率は107%」と発表したときは、事故のすぐ後だったので皆が「ほんとかよ」と思いましたが、たしかに乗車率は悪くないのではと思います。

9月19日の「G17号」は、少なくとも私が乗った前後の車両は満席で、棚に荷物がぎっしりでした。あまりにもぎっしりなので、事故よりも自分の荷物を誰かが間違えて持って降りてしまうのではということの方が心配でした。
ですが、約5時間の走行中、途中停車駅が2つしかないことに気付き、荷物の心配はしなくていいと思い、眠ってしまいました。


【飛行機との競争】
開通前は、乗客を確保できるか、つまり採算が取れるのかということが心配されていました。飛行機国内線と競争関係におかれるわけですが、この競争を左右するのは値段とスピードです。飛行機より安くて早ければ、新幹線に乗る人が多くなります。

【所用時間を比較】
【飛行機で上海から北京に行く場合】
自宅 → 上海虹橋空港(1時間) → 空港でのチェックインなど(1時間)→ フライト(2時間20分)
→ 北京首都空港 → 市内へ移動 (1時間)

所用時間:約5時間20分

【新幹線で上海から北京に行く場合】
自宅 → 上海虹橋鉄道駅(1時間) → 鉄道駅の安全チェックなど(15分)→ 鉄道(5時間)→ 北京南駅 → 
市内へ移動 (15分)

所用時間:約6時間30分

計算上は、飛行機の方が新幹線より早く到着できることになります。

しかし実際は、セキュリティ強化のために早く空港に行かなければならなかったり、飛行機がよく遅延するので、飛行機を利用しても新幹線を利用しても、時間的にはほとんど変わらないのではと思います。

【速度と値段】
中国新幹線は車内ディスプレイに速度が表示されますが、だいたい時速300kmと表示されていました。300km以上を上回るときもあり、自分がディスプレイ上で見た瞬間風速的な最高速度は329kmでした。



「北京-上海新幹線」の現在の運行速度は時速300kmとなっていますが、本来はベースの時速が350km、最高時速は380kmを目標にしていたと言われています。
このスピードへの執着は「世界最速」というメンツの問題もさることながら、採算を確保するため、飛行機に確実に勝てる速度を出したかったのではと思いました。
実際乗ってみると、もう少し速ければ完全に飛行機に勝てると感じたので、中国鉄道局の人も同じことを思ったかもしれません。
もし時速350km以上をコンスタントに出せたら、計算上でも所用時間はほぼ互角になるはずです。
ですが、もし時速350kmに成功していたら、新幹線の切符代はもっと高く設定されていたかもしれません。切符代が上がるのも嫌なので、今くらいの速度で飛行機と共生しつつ、飛行機より安い値段で新幹線に乗れる方が便利だと思いました。

速さ以外の点も含めて、飛行機と新幹線の長所と短所を比較してみます。

【長所と短所】

新幹線(高速鉄道)
【長所】
・遅延が少ない。(飛行機と比べると)
・携帯が使える。
・駅が市内中心に近くて移動に便利。
・安い(2等席555元/片道=約7200円)。

【短所】
・座りっぱなりの時間が長い。(約5時間)

飛行機
【長所】
・座りっぱなしの時間が短い。(約2時間20分)
・マイルが貯まる。

【短所】
・遅延する可能性がある。
・携帯が使えない。
・高い(900元/片道(約11700円)くらい。定価は約1300元/片道)
・原油高で燃料費が高い。





上海虹橋駅に到着。列車ごとに出口の開札が分かれているので、お迎えが便利です。


新幹線の中ではほとんど寝ていましたが、上海に着いたときは「事故が起きなくてよかったな」と思いました。
新幹線にはこれからもよく乗ると思います。
新幹線の便利さに慣れてしまったら、もう在来線に乗る気にはなれません。危ないとは思っても、便利さの誘惑に勝てないのです。

中国新幹線に対しては「採算を重視するあまりに安全性を軽視した」という批判があり、その通りかもしれないですが、新幹線ができて本当に便利になりました。
中国は広いです。まだ行ったことがない都市がたくさんあります。
鉄道の路線図を見ていると、もっとたくさんのところに行って、もっとたくさんのものを見てみたいと思うのです。
コメント (10)
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