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クモは風に乗って新大陸へ

2017-02-08 06:25:44 | 日記
派手な姿
 ツララが垂れ下がるガレージの屋根。
生き物の気配など全くありませんが、つい3か月前ここは壮大な罠が
仕掛けられた狩りの場所でした。
罠の主はジョロウグモ。
直径1mにもなる大きな網を掛けて獲物を待っていました。
 その姿は一目見たら忘れられない派手なもの。
緑青色の胴体にはド派手な幅広の黄色い横縞がクッキリと浮き出て、
ふっくらと膨らんで4cmもあります。
長い脚にも黄色と暗褐色の帯模様があって、これまた目立ちます。
更にお腹の辺りは赤く染まり、とにかく毒々しい色をした生き物です。

 獲物が掛かると、どの場所にどれ程の大きさの何が掛かったかを振動で
判断します。
獲物だと認識すると近づいていきなり噛みつき、神経性の毒を注入して
筋肉をマヒさせてしまいます。
動きの鈍った獲物に糸を巻き付けると、安全な場所に運んでむしゃぶり
つきます。
 大きな巣を作って派手な姿で獲物を待つのはメス。
オスは1.5cm程の小さな体を地味な色で覆っています。
自分では巣を張らずにメスの食べ残しを漁る居候生活をしています。
 時にメスに見つかって食べられてしまう事もありますが、危険を冒して
までその場にとどまる目的は交尾をする為。
脱皮直後の動きが鈍い時や、エサに夢中になっている隙に交尾に及びます。

 11月から12月にメスは真っ赤な卵を、我が家の庭の樹の幹などに
産み付けます。
産卵を終えてもすぐには死なず、霜が降りた程度の寒さは何とか乗り越え、
次第に獲物が取れなくなって飢えと寒さで死んでいく様です。

凄い話

 翌年孵化した幼体は舞い上がって旅に出ます。
空に向かって出した糸が、上昇気流に乗って高く吹き上げられた頃を
見計らって足を離します。
ふわりと舞い上がった幼体は、風を頼りに何処までも飛んで行きます。
 これをバルーニングと呼びますが、生物のいない区域にクモが真っ先に
侵入してくるのはこの為です。
遥か上空を飛ぶ飛行機や、大海原を行く船で度々クモが捕えられています。
インドにしか生息しないクモが日本で見つかった事もあります。
それ程大規模にクモは風に乗って移動をしています。(Wikipediaより)

 我が家の庭から飛び立った幼体が、偏西風に乗ってアメリカ大陸に上陸
しているかもしれません。
これは何とも痛快な話です。
 痛快でない話もあります。
ジョロウグモを食べる話です。
<蟲ソムリエへの道>の筆者によると
「~腹部を噛むとプッチとした食感の後に枝豆に似た香ばしく華やかな
香りとしっかり旨みの効いた味が口の中に広がっていく>
とあります。
 信州は日本一の昆虫食文化を誇っていますが、これは何とも食えない話です。
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