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昭和のプロレス:思いやりの技

2023-11-17 06:29:29 | 日記
プロレスの奥深さ

 「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」では主役を引き立てた脇役達を
振り返っています。
今週は「名脇役、ディック東郷」です。
 170cm90kgと小柄ながら国内のみならず世界の各地で活躍。
1991年に22歳でデビューすると東北を拠点にしたみちのくプロレス
で名を上げ、98年3月には全米最大のプロレス団体WWFとも契約。
ニューヨークのMSGでの試合内容が専門誌で度々報道されました。
 2020年7月12日には新日本プロレスマットにまさかの乱入を
果たしファンを驚かせました。
 これは当人にとっても驚きだった様で<「まさか50歳で新日に上がる
チャンスが来るなんて!
人生何が起きるか分かりません。
そして上がって感じたのは新日の影響力の凄さです。
スマホの通信が鳴りやみません」>(DANRO より)
 そう綴っています。

 筋肉の鎧を付け髭面にサングラス。
見るからに悪役ですから当然ファイトスタイルもヒーローを痛めつける悪い奴。
<僕はベビーフェースでは無い、要は引き立て役。>(週プレNEWS より)
主役を追い込み試合を盛り上げます。
 そこで効果的に使われるのが必殺技のセントーン。
大きくジャンプしてマットに倒れている相手に背中から落ちる技ですが、
東郷のセントーンは一味違います。
コーナーマットの最上段に登りそこからジャンプ、驚愕の落差で急降下。
全体重を浴びせるこの技は名付けてダイビング・セントーン!
 この技を見る度に、私はプロレスの奥深さを感じます。

衝突の瞬間

 マットに倒れた相手に体重を浴びせる技は数多く存在します。
定番はボディプレス、腹から倒れ込んで体重を浴びせます。
 こちらもコーナーマットからの応用編があります。
迫力たっぷりの技ですが東郷が使うセントーンとは決定的な違いがあります。
相手に激突した瞬間を見るとボディプレスは腹だけでなく手や足が同時に
マットに着き衝撃を分散しています。
 それに対してセントーンは丸めた背中から落ちて全体重で襲い掛かります。
場合によってはあばら骨が折れることだってあり得ます。

 1996年に両国国技館で行われた因縁の相手との試合レポートには
こうありました。
<コーナーマット最上段から落ちる東郷のウエイトは100kgとは言え、
この落差では衝撃は数倍に跳ね上がる。
説得力抜群のフィニッシュを決めてみせた。>(STAMP FACTORY より)
 そんな衝撃を受けた相手選手が大怪我をしないのは東郷の配慮があるからこそ。
写真をよく見ると、着地の瞬間東郷の臀部がマットを直撃、相手には上半身
だけが覆い被さっています。
迫力抜群ながら必要以上のダメージを与えません。
つまり東郷は一番の見せ場で己が最大の衝撃を受けていたのです。
 これぞプロレスの真骨頂。
名脇役の仕事振りが光ります。


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