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身近な生き物:死刑を宣告

2023-04-19 06:29:49 | 日記
悪評いっぱい

 森林公園を歩いていたら足元から伝わる空気の振動。
ブーンの重低音は大型のハチの羽音です。
 一瞬警戒したけれど今はまだ4月、スズメバチの飛翔には早すぎます。
案の定、地面を目で追うとハナバチが辺りを偵察するかの様にゆっくりと
飛んでいました。
体全体が黒い毛で覆われお尻が鮮やかなオレンジ色のクロマルハナバチです。
 本州・四国・九州に分布し、働きバチは12~18mm女王バチは21~
23mmになる大型のハチ。
 冬を越した女王バチは野ネズミの巣穴などに巣を作ります。
たった一匹がやがては比較的小規模なものでも総繭数350個以上にもなる
コロニーに仕上げます。
足元を飛び回る女王バチは安住の地を探し求めている真っ最中でした。

 クロマルハナバチが注目されるようになったのは2006年のこと。
それまで農業従事者が愛用していたセイヨウオオマルハナバチが特定外来
生物に指定されたのが切っ掛けでした。
 施設の開口部をネットで覆い出入口は二重化するなどの屋外への逃亡防止
が義務付けられました。
そこで後継役に抜擢されたのがこのハチ。
 ところがこの後継者、意外に悪いうわさが付いて回ります。
曰く「働きバチの動きが悪い。
巣の寿命が短いので短期間で交換しなければいけない。
農作物の出来が悪い」
さんざんないわれようですが、さて実態は?

予想外の結末

 巣箱を農業ハウス内に設置して実際の活動を比較した結果がネットに
ありました。
<巣門を開けてから4日目までに87%以上のハチが活動を開始した。
一方のセイヨウオオマルハナバチは86%だった。
巣箱の寿命はクロが58.9日でセイヨウが56.7日。
でき上った農作物にはどちらのハチを使っても差が無かった。>
(東海物産 より)
 この結果から見る限り、むしろクロマルハナバチの方が優秀です。
飼育に許可が不要で、逃亡対策を施さなくても良いとなればクロマルハナ
バチの優位は決定的。

 そう思いましたが、実はこんな対応が付いて回るといいます。
<飼育に規制は無いが地域の生態系に影響を及ぼさないよう、逃亡防止
対策が求められる。>
 それどころかもっと惨い応も迫られます。
<農業シーズン終了後は巣箱に残っているハチを逃がさず、巣ごとビニール
袋に入れてハウス内で蒸し込んでから廃棄するよう求められている。>
(マルハナバチ普及会 より)
 長野県などでは準絶滅危惧種に指定されるこのハチ。
安住の地と思ってせっせと農作物の受粉に励んだ挙句にこんな結末が
待っていました。

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