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【AKB48】 高橋みなみの努力、原みづきの努力、やすす先生の努力 ~努力と競争戦略と学習のトリレンマ~

2012-04-11 17:21:29 | AKB48_経営戦略・組織論系





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NMB48原みづき「努力は必ずしも報われるとは限らない」
http://akb48matome.com/archives/51814637.html

秋元康『努力は必ず報われるが、それがいつかは分からない』
http://akb48matome.com/archives/51814670.html

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まず、最初に言っておくべきことがある。

「努力」は必要だ。
人生のあらゆる局面で「努力」は、「現実」と「理想」のギャップを埋める最も有効な方法論である。
適切な現状認識と、適切な理想の設定は、現実と理想との結び引き付ける力である「創造的緊張(Creative tension)」を生み出す。
世の中で、達人や匠と呼ばれるような人たちは、この創造的緊張を自らの意思で創りだせる人々のことを言う。

しかし、一言に努力と言っても、その定義は様々だ。
努力というものについて、過去にエントリを書いたので参考にして欲しい。


「努力は必ず報われる」 高橋みなみ道
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/63fc307f92313690d76a5205a2b94607


さきほども言ったように、現実と理想の持ち方に限りはない。
私が「何も道具を使わずに自由に空を飛べるようになりたい」と理想を持つことにするのは自由だが、それが「適切な理想」だとはとても思えない。
おそらく、そこに創造的緊張は働かないだろう。

では、「適切な理想」とは何か?

無数にあるだろう。
人の数だけ理想はある。
人の中にも、いくつもの理想が共存している。

では、「適切な現実」とは何か?

とどまることがない。
「今」という状況は、人生の中で二度と再現されず、常にオリジナルである。
「現実」は刻々と移り変わっている。

つまり、理想と現実の組み合わせは、無限大である。
ということは、努力の報われ方も無限大だということだ。
それは、人生の可能性が無限大だと言われる所以だ。


「適切な理想」を求めるのは、間違っていない。

そこで「適切な理想」を見出すことができないと思うなら、
そこで「適切な現実」を受け入れられないと思うなら、

「適切な理想」と「適切な現実」を求めて、場所を変えるのは、賢い選択だ。

これは、競争戦略の中で「ポジショニング戦略(Strategic Position)」と呼ばれているものだ。

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競争戦略の中で「ポジショニング戦略」と双璧をなすのが、「組織能力(Organizational Capability)」である。

「適切な理想」と「適切な現実」があって、その2つを結びつける「創造的緊張」が発生したとしても、その力にも「質」がある。
どれだけ環境を揃えても、「能力」がなければ達成できない。

努力の質、そして、努力の結果としての理想の達成能力も重要だ。

たとえば、一流のプロ野球選手は、その試合におけるプレーだけではなく、試合のための準備となる練習においても、一流である可能性が高い。

少し説明しよう。

ある選手が今年の目標を「打率3割」に定めたとする。
昨年の実績からして、今年は3割を狙えると思ったのだ。
しかし、目標を「3割」に定めたら、その目標を達成できるのだろうか。

その選手はバッティングセンスとしては十分に他の3割打者としての能力を持っているが、精神的な弱さからバッティングボックスに立つと緊張して本領発揮できないタイプかもしれない。
その場合、その選手には、精神的な弱さを克服する準備が必要かもしれない。
能力と言ってもその意味は幅広い。
3割打者になるためには、3割打者になるためのあらゆる能力を磨かなければならない。

これは、そう簡単な話ではない。

だから、トヨタ自動車はどのメーカーよりも高い生産性を誇ることができる。
世界に誇るTPS(Toyota Production System)を他メーカーが形だけ導入しても、そう簡単に真似できるものではない。
自動車の生産に関するあらゆる要素に関する能力が求められているからだ。
たとえば、その中には頭の中身が含まれるかもしれない。
(プロセスは移植できても、人の心は移植できない。)


「ポジショニング戦略」と「能力」は二つで1つだ。
戦略を語る人々の中に、どちらかだけで議論を進めるものがいるが、それがたとえうまくいったとしても、それは偶然である。
この2つは両方考えなければならないことだ。

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さて、少し話題を変えたい。

これまで「努力」そのものについて語ってきたが、「努力が報われる」ということがどういうことかについて、あまり語ってこなかったので、その話をしたい。
(少し語っているが)

「ポジショニング戦略」と「能力」についての理解が深まると、完全ではないにせよ、ある一定のレベルで、その努力がどのように報われるかを理解できるようになる。
だが、あくまでも「ある一定のレベル」にとどまる。

理由は「不確実性」である。
馴染みのない人には難しい概念かもしれないが、不確実性で表現される未来というのは、単に「わからない」というレベルなのではなく、未来は本質的に「未知」なのである。
どれだけ将来予測のパラメータを増やしたとしても、そのパラメータの有効性自体が保証できないのだから、過去のパラメータから完全には予測できないものが未来なのである。
という意味で、未来は本質的に「未知」であり、不確実なのである。

(どれだけ優秀なスーパーコンピュータがあっても未来は予測できませんよ。と考えてもらってよい。この発想自体を証明することはできないが)


とはいえ、では我々が努力の報われ方を、どのように考えるべきなのか、という問いについて考えておくべきであろう。

努力の報われ方を知るための手段は、「経験」と「学習」しかない。
最も力強い学習は直接的な経験から得られる。

経験のない者に「理解しろ」というのは酷というものである。
(一を聴いて10を知ることができる人は稀である。)

私達が食べることやハイハイをすること、歩くこと、意思を伝達することを学んだのは、直々の試行錯誤、つまり、ある行動をとり、その行動の結果を見て、新たにまた別の行動をとることによってである。

だが、行動の結果を観察できないときには何が起こるだろうか?

行動の結果が表れるのが遠い先のことであったり、私達の営みを含めた、より大きなシステムの遠く離れた部分であったりする場合はどうなるのだろうか。

私たち一人ひとりに「学習の視野」がある。
つまり私たちは、時間的にも空間的にも、ある一定の幅の視界の中で自身の有効性を評価するのだ。
行動の結果が自身の学習の視野を超えたところに生じる時、直接的な経験から学ぶことが不可能になる。

ここに我々の前に立ちはだかる学習ジレンマの核心がある。

私たちにとって最善の学習は経験を通じた学習なのだが、多くの場合最も重要な意思決定がもたらす結果を私たちが直接に経験できないのだ

非常に重要な意思決定は、数年あるいは数十年にもわたって続く結果をもたらす。
たとえば、今日、学校でトイレ掃除をすることの意味を感じることができるのは、20年後、親となり子供の教育について考える時かもしれない。
たとえば、基礎的な研究開発における意思決定は、その結果を表すのに10年以上かかるかもしれない。

私たちは「学習の視野」を広げること、または「学習の視野」を超える視座を獲得することはできるのだろうか。
どのような方法によって、それが可能になるのか、当Blogでは考えていきたい。

◆◆◆◆◆◆

高橋みなみさんが「努力は必ず報われる」といい、原みづきさんが「努力は必ずしも報われない」といい、秋元康氏が「努力は必ず報われる、ただいつ報われるかわからない」という。

さて、あなたは、本エントリを読んでどう考えるだろうか?


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (俺推し)
2012-04-11 18:15:50
グーグルプラス・・とんでもないツールをAKBは手に入れましたね。
こういうやり取りが見れるコンテンツがかつてあったでしょうか?
みんなが参加者になれる場所・・。(秋元Pが熱く語ってくれるのが得に大きいのかな?)

AKB自体が参加型なコンテンツだけに相性は良かったんですね。
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Unknown (Unknown)
2012-04-11 20:47:17
主のレベル高すぎワロタ
でもAKB関係ないやーん
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Unknown (ピンポンダッシュ)
2012-04-12 09:03:10
はじめまして。
私はAKBについてよく知らないのですが AKBに関する論争が面白くていつも拝読させてもらっています。

今回の記事を読んで 創造的緊張?については知らなかったのですが理想と現実のギャップを埋めるために戦略があるといった話はよく使われると思います。
ただギャップからポジショニング戦略を説明するのは斬新だと思いました。
二段飛びくらいしてる内容なのに違和感なく読めました。
勉強になりました。
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報われてほしい。 (ぱるる推し)
2012-04-12 11:51:18
こんにちは。
AKBを追いかけていると本当に色々なことを考えさせられます。

原さんの文面を読む限り、理由もわからず不当な待遇を受け辛かったという気持ちは痛いほど伝わります。
そして、モチベーションを維持できるような説明が運営側から為されていたのか疑問に感じます。

今後の彼女の人生で、「あの悔しさがあったからこそ今の自分がいる」と胸を張って言える
瞬間が訪れることを祈っております。

あと、個人的には「努力は必ずしも報われない、ただ、無駄な努力はない」といった言葉の方が好きでした。
でもこれって結果論ですよね。
猪木さんじゃないですけど、「戦う前から負けることを考える奴がいるか~!」ですよね。
私は目的もなく生きておりますし、「永遠に報われない努力による幸せ(それって報われるってこと)」が心に沁み入りました。

それにしても、ぐぐたす恐るべし。


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有機的(勇気?)思考(試行?志向?) (Yossie ka)
2012-04-13 07:09:14
今回のみづきの提起は
世代間の思考・志向がどのように違っていて、
それぞれのポジションでどのように「今」の流れを捌いているかが
目の前に露呈しており、大変興味深いと思いました。
(辞める決断をした彼女の一大事を他人事で語るのは申し訳ない…。)

秋元氏は理想を獲得し得るためのプロセスを語り、
高橋みなみは積み上げた経験と理想とのマッチングを語り、
原みづきは曖昧な青い理想と挫折を語る。

秋元氏が送った言葉は、実に的を得た大人の解釈ですが
それが膨大な経験則や自戒から導き出されていること、
そして未来を示唆した重要な言質を含んでいると
彼女が気付くのはまだ先の話でしょう。

「努力は必ず報われる」
単純に勝者の宣言として受け止めるのか
それとも思慮と経験から生まれた、自らに語る賢者の言葉と取るのか。
この言葉の深さを知るのも、多分まだ先の話。

今の彼女には二人の言葉が理想論にしか聞こえていない、かも知れません。
しかしそれは間違った解釈でなく、あくまで経験値と価値観の相違です。

「努力は必ずしも報われない」
14歳の未熟な挫折。
実は「学習」の一端だったと気付く時に
努力が報われるのですね。

「ぐぐたすのガチ」は炎上やスキャンダルの危険性も孕んでいるため
諸刃の剣に例えられますが、
しかし例えばこれから先、ぐぐたすによって、
性急過ぎるメンバーの決断をファンが直接思い留まらせたり、
メンバーに対するコンプライアンスの教授や
埋もれた才能を開花させたり等々、
これまでになかった「教育」という側面で
新しいコミュニケーションが生まれることもあり得る、そんな事例だと思いました。
返信する
世界最先端 (advanced_future)
2012-04-13 21:57:39
>俺推しさん
いつもコメントありがとうございます。

コンテンツの定義を拡大しているのがAKB48ということでしょうね。
売り切りモデルではないコンテンツの開発ですね。
実に素晴らしく、世界最先端のエンターテイメントビジネスだと私は思っております。

当Blogは以前はたまにAKB48の話題を語る程度だったのですが、
ググタスが始まってから完全にAKB48が主力になってしまいました(笑)
返信する
AKB48という真理 (advanced_future)
2012-04-13 21:59:27
>Unknownさん
コメントありがとうございます。

AKB48を通じて、語りたいことを語るというのがこのブログでして・・
でもまぁいい意味でとれば、AKB48がそれだけ普遍的なものに挑戦しているということになりませんでしょうか。
返信する
ありがとうございます (advanced_future)
2012-04-13 22:01:44
>ピンポンダッシュさん
コメントありがとうございます。
はじめまして!

ありがとうございます。
戦略論といっても多種多様ですから、あくまでも一つの解釈程度に捉えて頂けると助かります。
ピンポンダッシュさんも結構いける口みたいですね!
今後もコメント頂けると嬉しいです!
返信する
努力は嘘をつかない (advanced_future)
2012-04-13 22:12:15
>ぱるる推しさん
いつもコメントありがとうございます。
こんばんわ!

>AKBを追いかけていると本当に色々なことを考えさせられます。

ほんとネタの宝庫ですよね。
ググタス最高です!

>原さん

不公平感はあったんでしょうね。
努力では埋められない溝を感じてしまって心が折れたのかなと。
視点が短期的過ぎるというのは簡単ですが・・それを求めるのは酷ですね。

タイミングってありますからね。
私はこれまで多くの人の相談に乗ってきましたけど、
響くタイミングってどうしてもあるのですよね。
理解することができるタイミング。
ふとした瞬間かもしれないのですけど。

たった一つの答えはないんです。

それしか言えない・・自分がはがゆいです。

>無駄な努力は無い

全くもってその通りだと思います。

私の好きな言葉は「努力は嘘をつかない」です。
努力は報われるという意味ではなく、
現実は常に正直だという意味です。
人は嘘を付くけれども、努力は嘘をつかない。

その意味がわかると、何もかも違ったものに見えると思います。
返信する
気づいた時には手遅れ (advanced_future)
2012-04-13 22:23:14
>Yossie kaさん
いつもコメントありがとうございます。

Yossie kaさんはいつもいいこといいますね~。
ほんとよく考えてらっしゃる。

人はどうしても教えたがる。
教えたい欲求は、非常に大きいものです。
(私は一体化の欲求だと思うのですけどね)

人は経験を重ねて、いろんなことがわかるようになってくると、
どうしても、その経験から得た知恵を教えたくなってしまう。
基本的には善意です。
よかれと思って教えます。
ですが、それは人から経験を奪う側面を持っています。
人は経験によって学習する以上、経験をさせるしかない。
たとえ、それが間違っていても、経験させてあげる。
それが本当の意味でのやさしさだと思うのです。

原さんに、経験させてあげることができた。

それは、ひょっとしたらAKB48のやさしさなのかもしれません。


>性急過ぎるメンバーの決断をファンが直接思い留まらせたり、
>メンバーに対するコンプライアンスの教授や
>埋もれた才能を開花させたり等々、
>これまでになかった「教育」という側面で
>新しいコミュニケーションが生まれることもあり得る、そんな事例だと思いました。

ネットワーク効果ですね。
価値観と価値観の創造的摩擦が起こるのです。
私は狙い通りだと思っています。
これからも、どんどん進化していきます。
みんながその意味に気づいた時には、AKB48はもうずっとずっと先に進んでいるのです。
今のAKB48がみんなが気づいた時にはずっと先を走っていたのと同じように、
次は世界中がAKB48の新しいビジネス形態にびっくりするでしょう。
この意味に、本当の意味で気づいているのは、世界でもわずかしかいないと思います。
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