粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

拍子抜けした「諸外国の反発」

2013-12-28 14:19:13 | 厄介な隣国

首相の参拝に、侵略の被害を受けた中国や韓国は激しく反発している。参拝は、東アジアの安全保障や経済を考えても、外交的な下策である。(朝日新聞社説から、12月27日)

朝日新聞の「期待」にも関わらず、安倍首相の靖国神社参拝に中韓の反発は拍子抜けするほどであった。

確かに、政府レベルでは中韓両政府が「激しい抗議」をしたが、国民レベルでは全くといってよいほど盛り上がっていない。韓国では、保守派団体メンバー約百人が日本大使館前で安倍首相の顔写真がついた人形を燃やして気勢を上げたようだ。ただ多くが高齢者の男性ばかりで超マイナーな団体であり、例によって民度の低いパフォーマンスに過ぎない。

この程度の反応ではとても「韓国民の怒り」とはほど遠い。要するに国民レベルでは安倍首相の靖国参拝は関心が薄く「どうでもいい問題」なのである。それよりも韓国民の関心は景気の悪化による国民生活の苦境である。鉄道ストライキもその反映であるが、朴槿恵政権の強硬策を巡って政府側保守派と反政府側親北左翼が対立している。反政府側は、元々反日色が強い朴政権が靖国参拝反対で世論支持回復を画策しようとしていることを警戒している。だから反政府勢力が靖国参拝の抗議をすることは、政府を揺さぶるどころか、エールを送ることになる。国民レベルで靖国参拝が』盛り上がらないのも致し方ない。

これは中国についてもいえる。靖国参拝抗議のデモを呼びかけるネットの動きもあるにはあるが、ほとんど民衆レベルで不発であった。むしろ、過激な反応を戒めるツイートがネットでも見られたことは注目に値する。

これを見ても、中国国民の関心は靖国参拝にはなく、韓国同様経済失速で顕在化した国民格差の深刻化にあるとえいえる。一部資本家や共産党幹部が超富裕を謳歌している反面、大多数の国民はその恩恵を享受していない。その不満は極限に達しており爆発寸前である。

したがって、政府も昨年沸騰したような反日デモを煽ることはできない。それをすれば逆に反政府デモを誘発してしまう。北京の日本大使館周辺などに厳戒態勢をとっているのはそのためだ。

中国は、安倍首相の靖国参拝に困惑しているだけのような印象だ。政府としては表向き強い態度をとるが、国内の混乱を心配する。体面を示すだけが精一杯であり、「激しい反発」にはほど遠い話だ。

かくして安倍首相の靖国参拝は中韓にさほどの反発もなく、結果的には平穏そのものであった。アメリカが「失望」の表明をしたのも織り込み済みだ。東アジアの波乱を心配しているだけだ。それ以外の国では政府も国民も反発しているという話は聞かない。

少しは、中国が尖閣諸島で挑発行為をしたり、朴槿恵大統領がまた外国で告げ口外交を続けるかもしれない。しかし、そんなことは靖国参拝に関係なくそれ以前から行われている。むしろ、安倍首相が今後参拝を日常化すれば、もはや政治問題化ということもなくなると思う。

騒いでいるのは日本のマスコミと海外一部のメディアだけである。保守の読売新聞までが参拝に反対しているのは解せないが、これは渡辺恒雄代表の個人的な信条が働いているのに過ぎない。ニューヨークタイムズがこの問題で相当辛辣な安部批判をしていた。最近この新聞はどうも偏重の度合いが強くなった。朝日新聞と業務提携していて朝日の息のかかった主張が採用されているようだ。だから、さほど気に必要はないだろう。


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