粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

柳家喬太郎「紙入れ」

2014-08-16 16:57:41 | 落語

「紙入れ」、この落語を聞いて、つい元モー娘。の矢口真里のことを思い出す。「矢口事件」の場合、妻の浮気現場に夫が突然踏み入れて騒動になって最後は離婚という結末を迎えた。しかし、この落語の場合は「決定的」にはなならなかった。妻の機転で首尾よく?「最悪」を逃れた。

名家に嫁ぎいまだ色香たっぷりの妻が、若い御用聞きを連れ込んで仲睦まじくしていた。しかし、夜中、帰るはずもない旦那が突然戻ってきて外で戸を叩きだした。慌てる間男とは違い、妻は動じることもなく、旦那が入るのを焦らしてその隙に男を首尾よく裏門から逃がす。しかし、男は現場に旦那から貰った紙入れ(財布)を置き忘れたことに気づく。しかもそのなかに妻からの誘いの手紙が入っている。

もしこの紙入れの中身を旦那にみられると思うと男は気が気でない。でももしかして旦那は紙入れの中身を読んでないかもしれない。結局翌朝旦那の家に行ってそれを確認し、ばれていたらその場から一目散に遠くへ逃げようということになった。

朝、男がまなじりを決して旦那の家を訪れる。旦那は男が青ざめている訳を尋ねようとする。男は最初もじもじしていたが、自分の浮気話を告白した。といってもあくまでの他人の家での話という設定にして探りを入れる。男気があって面倒見の良さそうな旦那は男の話を信用して、まるで男に同情でもするような反応ぶりだった。

(旦那)「けえってこないはずの旦那が帰ってきた、気がきかない旦那だな」「(手紙は)見られてない。だったら心配しなくていいだろ」

そんな旦那と男の会話に妻が割ってはいる。

(女房)「そうなんですか、全く、しょうがないわね、若い子っていうのは。」「亭主の留守中に若い男を引っ張りこんでおいしいことをしようというおかみさんなんだろう?そこにぬかりがないんじゃないのかな。…ちゃんと(紙入れを)みつけて旦那に見つからないようにおかみさんの懐に内緒で入ってんじゃないかな、とあたしは思うんだよ、ねえ旦那?」

(旦那)「そうだと思うよそりゃもう、てめえの女房を取られちまう間抜けな亭主だよ。そこに紙入れが残ったって、ははは、そこまできがつかねえだろ」

度胸の座った女房と人がいいが間抜けな旦那、気の弱そうな間男。3人のやり取りには何度聞いても笑ってしまう。女房の手のひらにのって翻弄される二人の男。悪女と思う以前に、むしろ女の度胸のよさと抜け目のなさには痛快さを感じる。落語はドライで皮肉たっぷりのユーモアに溢れているが、陰湿さがまるでないのが楽しい。

自分が知る限りでは、この落語は柳家喬太郎が一番だと思う。こんな一癖も二癖もある大人の人間関係の本音を演ずることにかけては喬太郎はピカイチである。また彼のマクラは好きで楽しみにしているが、今回の「紙入れ」でも本題とマッチしており下ネタがはいるもののとにかく笑える。

おそらく彼は現在の落語界では最も人気のある噺家の一人であろう。また現代落語の第一人者として有名だが、残念ながら現代落語というジャンルがいまだ過渡期であってその評価には定まっていない。むしろ喬太郎には古典落語でも「紙入れ」のように逆に現代社会に十分通用する演目に新たな息吹を吹き込んでほしいと思う。

話は変わるが、矢口真理は今どうしているのだろう。「紙入れ」をじっくり聞き込んでいれば、あんな不幸?にはならなかった。余計なお世話か。そしてあの元夫、今ではやたら背が高いタレントとしか思い出せない。安達祐実の元夫も確かお笑い芸人だが、これまたイマイチ。藤原紀香の元夫も陣内何とかというお笑い芸人だ。名前が出てきた!大澄賢也、小柳ルミ子の元夫だがいまいずこ。元夫たちは共に「浮気騒動」ののち、いつしか消えていった。しぶとく女たちは残る!?

 

お詫び:「紙入れ」の動画は柳家喬太郎師匠のものをリンクするつもりが、当初桂歌丸師匠の動画になっていました。喬太郎師匠のものに直しました。歌丸師匠だと、登場する女房が富士子夫人を連想してしまうのでちょっと。失礼しました(歌丸師匠には別な意味で)



2 コメント

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Unknown ()
2014-08-16 19:23:11
うるしねまきさん、その昔からそんなお話があるんですね~~ニヤリとしました。
私、学生時代に日本史購読で「女敵討」云々という授業を聞いたことがあって、すっごくおもしろいと思ったんですけど、昔は女の姦通は罰せられましたが、男は不問、そういうもんかな=と思いましたね。

今の世の中、私の友達たちを見ても、夫に不満で、心の中でよそ見している妻の多いこと。女が社会進出したり、SNSがこれほど普及したら、夫以外に好きな人がいない妻なんて、いないんじゃないかな。

でも私としては、、、、夫にも満足していていて、ほかの男友達ともいい関係・・・という、一昔前の男に赦された立場を、女が享受することが真の男女平等だと思っているんです。「寂しいからほかの男に・・・・」って、いつもご丁寧にステレオタイプしか示さない世の中のメディアには、とっても不満。

その男友達との距離感を見誤った女に対して、私はなんの同情も感じませんよ!男(夫)あっての女だから、です。



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Unknown (うるしねまき)
2014-08-16 21:19:26
Kさん、確かに自分の女房がときめいているのは素敵なことですよね。ひからびた女房はつまらない?失礼しました、これは男の場合もいえますね。
>夫にも満足していていて、ほかの男友達ともいい関係・
そんな奥さん、大いに結構大歓迎です。ただ自分の女房が実際そうだと、ちょっと複雑。どうも建前と本音が交錯します。
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