粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

進歩のない?反原発ジャーナリスト

2013-05-16 13:44:50 | ガレキ広域処理問題

田中龍作氏…かつてはあの上杉隆氏らと自由報道協会を立ち上げたが、今は脱会し上杉氏とは距離をおいているようだ。ただ田中氏のブログを見ると相変わらずの旧態依然たる?反原発論者であり、失礼ながらあまり「進歩がない」というのが率直な感想だ。

田中龍作ジャーナル5月13日「大阪報告、多数の逮捕者を出した瓦礫焼却差し止め裁判始まる」のブログはどこか独善的で、内容が貧弱な記事である。大阪市の震災瓦礫広域処理に反対し、「深刻な健康被害」をもたらすとしてその差し止めを求める裁判が始まったことを伝えている。

最初に目に入るのは母子の写真だ。マスクをした母親が不安そうに幼い子供を抱きかかえる姿。原発事故以来何度こうした写真や映像を見たことだろう。原発事故=放射能汚染=子供の将来への深刻な健康不安といった図式が世間的に定着してしまった。

それも少しでも放射性物質を含んでいるだけで健康に影響がでるという極端な「ゼロリスク」が今なお堂々とまかり通っている。それが如何に科学的事実とかけ離れているかはチェルノブイリ事故が証明しているし、福島でも明らかになりつつある。

それはともかく田中氏の「計算能力の低下」は目を覆うばかりだ。彼の記事中にこんな一節がある。

瓦礫の放射能濃度は100Bq/kg(被告の最大計画値)で国の基準以下だが、持ち込まれる瓦礫の総量は3万6,000トン。 3万6,000×100=3億6,000ベクレルもの放射性物質が大阪府一円に流れ込むことになる。住民の間に健康被害が出ても何ら不自然ではない放射能汚染だ。

この前提なら1トン=1000kgだから、100Bq/kgのセシウム濃度とすると3万6,000トンの瓦礫に含まれるセシウムは36億ベクレルである。彼の狙いに「煽り」があるとしたら、これでは「煽り」にもならない。

そんなことより彼は「大阪府内一円にが流れ込む」と書いているが、実際は濃縮された焼却灰を土中に埋め立てるのだから、実態と大きくかけ離れている。さらにセシウム100Bq/Kgという、焼却以前の濃度の想定自体が間違っている。実際は不検出といってようほどの濃度である。また試験焼却で調べた際の濃度は、大阪だけのゴミを焼却したものと震災地の瓦礫を一部混ぜて焼却したものにさほど差がなくキロ40ベクレル程度であった。本格焼却をしている最近の検査では焼却灰にさえセシウムが不検出になっている。

つまり、広域処理で新たに出てくるセシウムは全く無視してようほどの超微量であることは明白だ。もちろん焼却場の周辺の放射線量に全く変化は見られない。36億ベクレルの放射性物質が大阪府内に流れ込むなどというのは全くの虚偽であるといってよい。

息子には花粉用メガネとマスクをつけて登下校させている。24時間空気清浄器を動かし、水も買っているので家計の負担も重く感じる。国、自治体は放射能から子供を守らずになぜ傷つけることばかりをするのか。苛立つ毎日です…

「被害」を聞いてあげるのは悪くはないが、その先がいけない。高い空気清浄機を買って子供を部屋に閉じ込めてしまう母親を諭す「優しさ」こそ必要ではないか。

拙宅は東京都中央区の晴海焼却場のすぐそばだ。東京都が震災瓦礫を燃やし始めた昨春以降、筆者は鼻やノドの調子が悪い。

東京の田中宅は空気清浄機が完備されているのだろか。こうした反対派住民にわざわざつき合ってストレスを抱え込むことはないだろう。


2 コメント

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Unknown (ホンダラ国王)
2013-08-11 17:50:31
 健康被害を煽るようなベクレル計算に対する指摘も結構かと思いますが、同時に記載がある「そもそも県外処理が必要だったのか」という最も根本的な問題についても論じないと、あなたのコメントも広域処理に反対する者は全て非科学的で反対のための反対しかしない非国民ばかりだとみなす偏った御意見としか読めないような気がします。実際来年3月までの予定が9月初旬には終わることになりました。

http://garekikouiki-data.env.go.jp/osaka/141.html

 もしあなたがいうように放射性物質が完全に無視できるほど超微量で、なおかつ県外処理不要であったとしたら、一体何のための広域処理だったのか。そんな不要な処理のために、我々此花区民がどれほど嫌な思いをしたか、被災者の立場ばかりでなく、少しは処理場近隣住民の気持ちも考えてみたらどうですか。
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 今回の問題で注目すべきは岩手県の震災廃棄物の総量が当初の見積もりより大きく減ったことである。当初の見積もりでは総量132万700トン。うち82万600トンを岩手県内で処理するとしていた。

 ところが後に(昨年5月)総量76万9,000トンと見直されることになった。岩手県内で処理できる量なのである。県外に持ち出す理由はなくなったのだ。

 瓦礫の輸送は莫大なコストがかかる。被災地の住民からは「そんな金があったら被災地復興に回してほしい」との声が聞かれる。
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Unknown (うるしねまき)
2013-08-13 06:41:34
確かに震災がれきの総量を身誤った政府には問題があるとは思います。ただ震災直後の1年間被災地にうずたかく積まれたがれきを緊急に処理しなければないないと、政府のみならず国民の誰もが思ったはずです。
東北沿岸部の寒村ではとても手に負えないから、他の地域でその処理を依頼するという考え方自体は決して間違ってはいなかったと思います。
こうした広域処理に東北の日本海側の県や東京都などがその年に動いて、さらに他の地域も続いたことで早期のがれき問題処理に貢献したことは事実です。
翌年の中頃になって、がれきの総量が下方修正され、処理達成時期が前倒しになりましたが、こうした動きがスピードアップの一助になったことを評価すべきだと自分自身いまでも考えています。
被災地での仮設の焼却場が昨年後半から整いつつありますが、広域処理はそのつなぎの役割を一定程度果たしたと思います。
確かに環境省ががれき総量の十分な把握を怠ったことには、行政の対応を問題視すべきでしょう。その点は自分自身認めざるを得ません。
ただ、その非経済性をもって、受け入れ地域の反対運動が正当化できるとは思えません。別の問題として考えるべきです。本当に裁判に訴えるほどの健康被害があるのか、がれきの広域処理の問題が一段落した現在、冷静に見直すべきではないでしょうか。
そしてこの反対運動が及ぼした負の側面、被災地に対する誤解(自分に敢えていわせれば偏見と差別)にも改めて目を向けるべきだと考えます。
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