粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

翁長知事の「堕落」

2015-05-21 17:02:29 | 沖縄の虚像と実像

翁長雄志沖縄県知事は昨日、都内の日本記者クラブで会見し、「辺野古新基地の絶対反対」を改めて訴えた。その中で「辺野古新基地建設が唯一の解決策というのは、日本政府の政治の堕落だ。」と極めて露骨ともいえる政府批判をしている。しかし、この「堕落」という言葉、この知事に言われたくないと思う。逆にそのままお返ししたい衝動に駆られる。

翁長知事と言えば、「かつて自民党県連幹事長を務め、15年前の県議時代、辺野古移設推進決議案を可決させた旗振り役だった。また那覇市長であったときには辺野古移設に賛成していた。」(ウィキペディアより)のだ。翁長氏が、移設反対に転じたのは2009年の鳩山民主党政権時代にルーピー首相が「最低でも県外」などと無責任な発言して、沖縄が反基地気運が高まって以後である。

そして2年前には県内の市町村首長を引き連れて県内移設反対のデモ行進を東京で敢行している。これまでの県内容認姿勢を180度転回するものだ。翁長氏はこの「変節」に対して何の自己批判などしていない。

この間に沖縄で米軍機が深刻な墜落事故を起こしたとか、米兵が沖縄県民に重大な犯罪行為を犯したとかということは全くといってなかった。ただ、民主党政権の失政で県民が反基地で盛り上がったので、その「時流」に乗っただけに過ぎない。県民世論に安易に妥協して政治家としての立場補強を図ったといえる。

あるいは将来的な知事就任の野望がすでにあって、この「時流」を活用しようと考えていたのかもしれない。そして、昨年11月の知事選ではなんと共産党、社民党、社会大衆党といった革新政党の支持を得て、古巣の自民党が支援する仲井眞知事を敗って当選した。県内移設で自民党県連幹事長として旗振り役を努めた過去とその転向に、翁長氏はどう整合性をつけられるのか。とてもできない。これこそ、「堕落」といってよいのではないか。

確かに政府が「辺野古移設が唯一の解決策」と断言するには難がある。しかし、1995年の橋本政権以来紆余曲折の日米協議を経た上での決定である。一体辺野古以外に代替できる場所があるというのだろうか。だから、政府が「唯一の解決策」と辺野古移設を推進するのは並々ならぬ決意の表明であり決して「堕落」という言葉はあたらないと思う。むしろ、翁長知事の「堕落」発言はそれこそ知事自身への「ブーメラン効果」であり、天に唾する行為であると思う。

同じ知事でやはり過去にトンデモ発言で物議を醸した人物がいた。泉田新潟県知事が3年前、被災地のがれきの広域処理を進める県内の自治体に対して、「健康被害を受ける人が出ると傷害。それによって亡くなれば傷害致死と言いたいが、分かっていてやったら殺人に近い」と批判した。全く被曝の健康被害など考えられないのに、県内の自治体首長を犯罪者呼ばわりをする暴言だ。

この放射脳知事は今も、反原発のメディアに重宝がられているが、良識ある新潟県民にはすこぶる評判が悪く見放されている。まだまだ、沖縄知事の場合、県内と中央の多くのメディアがこの人物を強力にフォローしており、表向きは意気盛んのように見える。しかし、いずれ県民が目覚めてこの知事を冷徹に見極める時期が訪れると予想している。