粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

慰安婦問題で勉強不足が目立つ欧米研究家たち

2015-05-16 18:12:50 | プロ市民煽動家

欧米の日本研究者187人が出した慰安婦問題に関する声明を読んで、彼らにとりこの問題の知識はこの程度なのかと正直言ってがっかりした。

たしかに、この問題は、日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました。」とある通り、中韓が日本叩きするために事実をゆがめて政治利用している実態を批判しているのは評価できる。しかし、「大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされたことは、既に資料と証言が明らかにしている通りです。」としているが「その資料と証言」は本当に「恐ろしい暴力」を「明らか」に証拠立てているのだろうか。

自分の知る限りでは公的資料で具体的に示しているのは皆無といえる。むしろ、米軍の公文書や当時の慰安所従業員の日記などでは、慰安婦が比較的自由で高額の報酬を得ているといった内容のものばかりである。

確かに元慰安婦たちは「暴力体験」を声高に訴えている。しかし、それが北朝鮮女性の発言であったり、韓国人女性で背後にいかにも市民団体の指示で語っているしか思えないほど信憑性に欠けるものばかりだ。彼女たちの証言が真実なら、なぜ「加害国」で堂々と主張しないのか。彼女たちは日本の支援団体の集会に参加することはあっても、国会やプレスセンターなどの公の場で発言したのを聞いたことがない。発言で「ボロ」が出るのを恐れているとしかいいようがない。

欧米研究者たちは、基本的に韓国や日本の反日市民団体の慰安婦宣伝を無批判に受け入れるだけで自分たちで実態を追求しようとはしない。韓国などの過激な日本叩きそのものは批判するが、「日本研究者」としてははなはだおぼつかない。

あるいは慰安婦の数についても、論理の展開がとても乱暴だ。

「最終的に何万人であろうと何十万人であろうと、いかなる数にその判断が落ち着こうとも、日本帝国とその戦場となった地域において、女性たちがその尊厳を奪われたという歴史の事実を変えることはできません。」

 

欧米研究者たちは「何万人」か「何十万人」かどうかは重要ではなく五十歩百歩といいたいのだろう。日本研究者を標榜するのなら、そんな曖昧な認識は致命的である。この声明以前に日本側の慰安婦研究家たちが慰安婦数に関して極めてリアルな証拠を出していた。つまり当時中国に駐留していた日本軍はおよそ100万人、駐留地近くに慰安所があるとして慰安婦が20万人が毎日各々が5人を相手にすると1日100万人になる。

1日で全ての日本軍人が慰安所でお世話になることになる。そんなことは現実的ありえない、というのが日本人研究家の主張であり、慰安婦はせいぜい2~3万人程度でありそれも日本女性が多く、朝鮮女性は1万人以下ということも合わせて唱えている。だから「何十万人」などと欧米研究家が可能性を示唆すること自体、過去の伝聞に影響を受けている。アメリカのグレンデール市の慰安婦像碑文ではアジア人女性が日本軍によって強制連行されたと書かれているが、その内容と大差ない。

そして、特に自分自身が違和感を覚えた箇所がある。

二〇世紀に繰り広げられた数々の戦時における性的暴力と軍隊にまつわる売春のなかでも、「慰安婦」制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして日本の植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた若い女性を搾取したという点において、特筆すべきものであります。

慰安所の「規模の大きさ」は前述の通り論理が曖昧であるが、「軍隊の組織的管理」を「搾取」としてあくまでも絶対悪としているのも問題がある。確かに軍の要請で設けられ軍の管理もあったが、これを全て否定的に捉えるのは間違いだ。女性の健康管理を施し性病防止にも努めたのは事実だ。また民間業者が彼女らを虐待するのを監視し不本意な妊娠も防ぐという肯定的な側面もある。あの左派系論者の宮台真司などは慰安所は管理をもっと徹底すべきだったといっているくらいだ。

だから軍隊が「若い女性を搾取した」という主張には疑問符が付く。もちろん、彼女たちの生活は少なからず苦痛が伴っていたことは否定できない。しかし、単純に軍隊による性暴力と決めつけるのは実態を十分認識しているとは思えない。これも従来の反日勢力による慰安婦観を踏襲しているといえる。

これでは欧米研究家の「日本の日本史研究」の底がしれる。「日本の歴史家を支持する」といわれても当の我が国の歴史家は面食らうというか片腹痛いという気持ちになるのではないか。

確かに安倍政権を慰安婦問題などで歴史修正主義だと非難するこれまでの欧米知識人やマスメディアと比べたら、少しは日本を擁護する傾向は見られる。しかしどうもまだ中途半端で逆に引贔屓の引き倒しになってしまう恐れがある。ともかく、彼ら187人がもっと信頼できる公文書を頼りに、慰安婦問題の実態を正確に勉強することが先決である。