<経済論争(18)。万年低金利には、4つの歓迎すべき副産物がある>
豊かでスムーズに発展している経済ほど金利が低くなるという傾向には、すばらしい副産物が4点ある。
それは、
(1)、世界経済の平等化に貢献すること、
(2)、金利の低い国の企業家はカネを大事に使わなければならないので、ますます賢明な投資を心掛けざるを得なくなること、
(3)、自国の優良企業が海外の投資家に買収されて、刹那的な短期業績主義でめちゃめちゃにされる危険が少ないこと、そして、
(4)、低収益だが社会全体に対する貢献度の高い事業を維持しやすいことだ。
これらの低金利・低収益の利点の総合的な効果で、先進諸国経済は、たとえ資本家にとっての利益率は低くても、国民全体の生活水準の向上は着実に進む繁栄する経済でありつづける。
アダム・スミスは、本当に18世紀に生まれたヨーロッパ人であることが奇跡に思えるほど、人種的な偏見や西欧中心史観から自由な人だった。
そして、西欧諸国による植民地支配については、次のように激しい口調で叱責していた。
《 ヨーロッパ諸国の政策は、愚劣と不正、これこそが植民地建設の最初の計画を支配し、指導した根本の動機であったようだ。
すなわち金銀の鉱山を漁り求めた愚劣がそれであり、また、ヨーロッパ人に危害を加えるどころか、最初の冒険者たちを親切に手厚く迎えた無辜の原住民の国土を貪婪にも領有しようとした「不正義。」が、それである。 『国富論2』 》
だが、同時代のヨーロッパ諸国による植民地支配を厳しく糾弾していたスミスは、世界経済の将来については、非常に楽観的だった。
《 今後は、これらの地域の住民は、これまでよりも強くなり、ヨーロッパの人間の方がそれだけ弱くなり、世のあらゆる地域の住民は、その力と勇気とにおいて対等なものになるだろうし、互いに恐怖心を持つようになろうから独立国の不正不義が抑制され、互いに他の国民の権利をある程度尊重し合うようになるだろう。 》
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