<PKシリーズ(96)。 自律神経は、全ての細胞を統合する>
自律神経は、身体の細胞全体を、『統合』しています。
人間を含めて、生き物はすべて単細胞生物から、進化しましたが、もともと細胞というのは、一つで、全ての機能をはたしていました。
物を捕食し、消化し、エネルギーを取り出し、排泄し、異物を処理する、これらの活動を、たったひとつの細胞で、すべて行っていたわけです。
ところが、進化するにつれて、細胞は、役割を分担するようになりました。
人間の体細胞一つ一つは、本来持っている機能の、一部だけを使うように、進化したのです。
最近、よく話題になっていることですが、遺伝子のスイッチオン、スイッチオフを、巧妙に実行して、ごく一部の能力だけを、発揮しているわけです。
じっさい、ほとんどの遺伝子が、オフで、ほんのごく1部の遺伝子だけが、オンにされて、皮膚の細胞になり、腸の細胞になり、神経の細胞になり、と役割を『特化』しています。
すると、そこまで、専門化した細胞を纏めて、それぞれが、いつ休み、いつ働くかという指示が、必要となるのですが、この『指示』を出しているのが、「自律神経。」です。
ところが、そんな専門化した、人間の体細胞のなかにも、かっての単細胞時代にような、何でも、自分でこなそうという、細胞が、残っています。
これが、「白血球。」です。 白血球は、単細胞生物時代の性質を、残しています。
つまり、殆どの遺伝子のスイッチが、オンになっていて、単細胞のアメーバのように、ありとあらゆる機能を、今でも『保持』しているという、そういう細胞なのです。
白血球は、アメーバみたいな形をしていて、標的となるものを、貪るように、食べた、消化・分解する能力を、備えています。
これを、『貪食』と言いますが、この能力を、生かして、異物を捉えて、消化・分解するということで、身体のなかでは、防御細胞になっているわけです。
白血球は、異物が、外から侵入してきても、戦って処理してしまうし、また、身体の内部で、害となるような、異常な細胞が生まれたときも、それを、排除・処理する力を持っています。
つまり、身体中を防御するシステムが、白血球なのです。
こう考えてみると、人間の身体で起こること、つまり、『病気』・健康と言うものを、総合的・全体的に把握するには、①、エネルギーのシステム、②、自律神経のシステム、③、白血球のシステムという、3つのシステムのありようと、その相互的な働きを知ることが、どうしても必要です。
1つ1つだけを、理解していても、『体調』というものを、把握することはできません。
この3つのシステムのバランス、相互作用を理解することが、大切なのです。
食事が進まない症状になる原因には、さまざまなものがあります。食道や胃・腸のように直接食べたものが通る場所の病気だけでなく、肝臓や膵臓などの消化器の病気、慢性腎不全・うっ血性心不全・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など腎臓・心臓・呼吸器の病気、脳血管障害などの脳や神経の病気、甲状腺機能低下症などのホルモンの病気、関節リウマチなどの膠原病、糖尿病、さまざまな感染症(結核や肺炎など)、悪性腫瘍(がん)など、体のあらゆる部位の病気によって、食事が進まない症状になることがあります。