<水野さんの知(6)。17世紀オランダのチューリップバブルは、21世紀に、新興国で起きるのか?>
「グローバリズム。」、「海に対する、陸の戦い。」、そして「人件費の変動費化。」は、いずれも同じ根っこを有しているのです。
すなわち、これら、3つは、21世紀の「利子率革命。」を、いかに克服するかを『共通』課題として、生じたのであり、これら3つは、「利子率。」、即ち、資本の利益率を、再び「引き上げよう。」とする、反「利子率革命。」として、捉えることができるのであります。
16~17世紀も、現在と同じであった。
大航海時代(当時のグローバリズム)、「陸に対する、海の戦い。」(「海の国。」、英国の勝利)、そして「利潤革命。」(実質賃金の『半減』)は、16~17世紀の反「利子率革命。」の性格を有していたのであります。
反「利子率革命。」は、既存の空間では、成就できません。
16~17世紀のイタリア、スぺインを中心に起きた「利子率革命。」を、『超克』したのは、英国、オランダが位置する、北部ヨーロッパ、そして、インド、新大陸をも含んだ新しい空間における、反「利子率革命。」であります。
グローバリズムとは、英国の「電子・金融空間。」で、そして、同時に、新興国における、「実物投資空間。」で、利潤を『極大』化するためのイデオロギーである。
「海に対する、陸の戦い。」は、具体的には、誰が、資源を支配するかの、戦いだが、これから先、資源ナショナリズムを背景に、陸の国が、有利戦いを進めていくことが、予想されます。
さらに、長期的視点からみれば、脱化石燃料社会を、どの国が、築くかにかかっています。
資源価格が、高騰している間、新興国の「実物投資空間。」で、利潤を極大化するために、先進国企業は、人件費を「変動費化する。」ことになります。
反「利子率革命。」を成功させるために、「グローバル金融資本。」は、超低金利で、資産バブルを起こし、まずは、「電子・金融空間。」で、巨額の資本を蓄積することに、成功しました。
それが、1995年から2008年までの間で、実現したのであります。
リスクの高い、新興国で、実物投資を行って、利潤率を上げるためには、リスクに『耐え』られるだけの資本を、蓄積しなければならないからであります。
16~17世紀の「利子率革命。」においても、事情は、同様でありました。
「利子率は、…1575年から1588年迄の、少なくとも、最も不景気な時期には、2%から、1.2%にまで、低下します。
これは、ジェノバに、銀と金が、殺到した時期にあたり、この時代には、銀と金は、投資の手段を見出すのが、困難である。」(プロ―デル、フェルナン)
現在の「利子率革命。」と同様に、当時も、豊富な資本の存在に対して、優良な投資機会が、なかったのであります。
高い利潤率が、期待できる実物投資先は、もはや、中世社会の成熟した、イタリアには、残されていませんでした。
当時、有望な投資先がなかったことは、「『イタリアは、自国の山の頂まで、耕作されている。」とグイッチャー二(1483-1540)は、『イタリア史』の冒頭で、得意そうに書いたことがあった。」(プロ―デル、フェルナン)ことに象徴されています。
16~17世紀の「利子率革命。」は、20~21世紀のそれと同じように、バブルの歴史でもあります。 利子率革命が、始まったまさに、1555年に、投資家から、一般の人までが国債に殺到しました。
国王が、発行する国債は、デフォルトのリスクが、常にあり、ジャンク債でありました。 「ジャンク債ブーム。」が、起きたのは、それだけ優良な投資先が、無くなったからであります。
宗教戦争とオランダ独立戦争で、アントワープが、没落すると、アムステルダムに、世界のお金が集まるようになりました。 いわゆる、「チューリップ・バブル。」へと突き進み、それが、1637年2月に突然、崩壊しました。