扇子と手拭い

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落語界の世代交代を予感

2015-05-30 20:18:02 | 落語
▼勢いがあるメンバー
 人形町寄席は回を重ねるごとに人気がうなぎ登りだ。これだけ勢いがあるメンバーを揃えた落語会はめったにない。早々に友人から「すばらしい高座でした。堪能いたしました」とのメールが届いた。落語界の世代交代を予感させるパワーを感じた。

 29日午後6時30分開演の人形町寄席。6時開場なので少し早めに会場に行った。ところがどっこい、すでに長蛇の列。時計を見るとまだ5時46分。8階ホールでエレベーターを降りた途端、係員が「下に降りてください」と促した。列の後尾に並べというわけだ。

▼「毎回、こんな調子です」
 8階から7階、さらに6階へと下に向かって長い列が続く。5階との踊り場でやっと並ぶことが出来た。私たちの後にも次々客がやって来て列が伸びた。こんなことは初めてだ。聞くと「ここんとこ、毎回、こんな調子です」と人形町のダンナが言った。

 前座なしで開口一番は瀧川鯉橋の「牛ほめ」。次いで桂文治の「木曽義仲」、古今亭文菊の「やかんなめ」と続いた。中入り後は桂三木男が「崇徳院」、立川生志は「悋気の独楽」。そして最後に三遊亭兼好が「天災」で締めた。

▼変幻自在の大熱演
 圧巻は文治師匠。他の若手を圧倒する迫力だった。「木曽義仲」は源平盛衰記の中から取った師匠得意の噺。「驕る平家は久しからず」と言って話を進めていたかと思うと、いつの間にか昭和の名人たちのエピソードを披露。

 その話に聴き入っていると、ポーンと元の「木曽義仲」に戻る。と思ったら時事ネタで巧みに客をくすぐる。その後はまた、源平盛衰記という塩梅で、客は話しの切り替えに思わず舌を巻く。

 それでいてきちんと「木曽義仲」の物語は本筋を追っているので、聴いていて違和感がない。変幻自在の大熱演で、ついつい持ち時間をオーバーした。

▼臨機応変に対処する
 メールの主がこんな感想を寄せた。「文治師匠は以前、聴いた時よりずっと迫力があり、内心驚きました。武家もの(歌舞伎で言う時代物にあたるのでしょうか)がお得意なのでしょうか? 切れの良さや声量、滑舌の良さ、闊達さ、頭の回転の鋭さなどなど感動しました」

 文治師匠の熱演で後の人の持ち時間が短かくなった。が、そこは売れっ子噺家揃い。短縮版でも「聴かせどころ」はちゃんと押さえていて、客を納得させる腕はさすがである。臨機応変に対処できるのがアマとの決定的な違いだ。

▼ガンバレ三木男君
 出演者の中で三木男君は唯一、二つ目。だが、腕っこきの先輩たちに囲まれて、いい勉強になったのではないか。祖父はあの大師匠、桂三木助。いずれは大名跡を継ぐのだろう。ガンバレ三木男君!!

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