扇子と手拭い

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古典落語はやはり雲助が当代一だ

2016-09-14 23:18:00 | 落語
 久しぶりに落語を聴きに行った。「今日は一日 古今亭+金原亭」と銘打ち、東京・水天宮の日本橋劇場で11日、催した五街道雲助と弟子たちの会である。3カ月も前から前売り券を買って、楽しみにしていた落語会だ。

 一番のお目当ては当然、雲助落語。それに加えて、弟子の「桃月庵白酒がいい」と聞いていたので一度、ナマで聞いてみたいと思っていた。

 昼夜二回の公演で夜の部を聴いた。一、二階合わせて440の客席は入れ替え制だがすべて満席。昼夜続けて聴いたという人が3割ほどいたのにはびっくりだ。何しろ午後4時から始まった夜の部が終わったのは7時30分。実に3時間半の長丁場。

 さて、肝心の落語だが、「雲助はさすがだ」と、居並ぶ客をうならせた。古典落語をやらせたら多分、当代一だろう。売れっ子噺家はほかにもいるが、玄人好みの雲助には「ガチのファン」がついている。

 あたしはガチではないが、雲助が演じる遊び人の町人はなんとも粋だ。聴いていて歌舞伎の舞台の絵が頭に浮かぶ。あたしも、あんな風に演じてみたいと思うが、そうは問屋が卸さないところが悔しい。

 雲助は、馬石「粗忽の使者」のあと、「家見舞」をかけた。この噺は兄貴分の新築祝いに、ゼニがないので、便所として使った肥甕を持って行くという滑稽噺だ。あたしは噺の中身がチョイト、えげつないのでこの噺はやらない。

 下手にやると匂ってくるような感じになるが、そこは雲助。肥甕にはった水で炊いためしを食べるところなんぞもサラッときれいに演じて見せた。噺の随所で客席は大笑い。

 馬石がもう一席、「夢金」を披露。雲助も「ずっこけ」を公演。ところで、白酒だが、中入りを挟んで「青菜」と「疝気の虫」を高座にかけた。期待したほどではなかった。ある落語仲間がいいというので期待していたが、期待外れだった。

 この程度の噺家ならどこにでもいる。特別扱いをするほどではない。気になったのは、やたら「くすぐり」を挿入。最近の噺家はがよくやる手だ。受けを狙って「笑いを取ろう」とするのである。

 あたしは、こういうのが好きではない。自然の中で笑いが起きる。これが話芸の本質ではないかと思う。雲助は、「若い人は、若い人なりにやればいい」と放任主義だ。ま、落語は好き好き。あたしは雲助のような、粋な「本寸法」を目指したい。